FP fumicoの“Live colorfully”#36 ホントは手厚い公的医療保険~高額療養費制度で私もホッと!
「医療保険」と聞いてイメージするのは?
「医療保険に入っていますか?」と聞かれて、どの保険をイメージするでしょうか。
日本では、「医療保険」と聞くと、「がん保険」や「終身医療保険」といった民間の保険会社の商品を思い浮かべる方が多いと思います。テレビCMなどの影響もあるのでしょうが、公的な医療保険をイメージする人は少ないでしょう。しかし、日本では、生活保護の受給者を除いた全員が、保険料を納め、「公的な医療保険」に加入しています。このことはつい、忘れられがちなので、ノートでも「公的な医療保険」と私も書きました。お勤めの方は毎月、給料から何万円も保険料が天引きされています。加入しており、保険料を支払っているからこそ、高額療養費制度などを利用できる――。この点は忘れないでいただきたい。
しかも公的な医療保険は手厚い。民間の保険に入るか否かは、これらの前提を正しく認識してから、判断するようにしてください。
「公的な医療保険に入っている」
公的な医療保険への意識という意味でもう1点。多くの方が医療を受けた際は窓口でかかった医療費の3割を負担しています。つい、全額を支払っていると思いがちですが、実費なら、その3倍程度を支払わなければならない。これも、公的な医療保険に入っているから抑えられているのです。
医療費の負担割合は年齢と所得によって違います。また、現役世代の医療保険は、お勤め先によって加入制度が異なります。
ノートに書いた以外には、公務員や私立学校の教職員と、その家族が加入する共済組合、船員保険などがあります。75歳以上が加入するのは、後期高齢者医療制度。2008年の施行の際に「後期高齢者」という名称が、批判を浴びたことで、ご記憶にある方もいらっしゃるでしょう。
高額療養費制度は、直接的に負担を軽減!
ちなみに連載の16回目でご紹介した医療費控除は、「医療費がたくさん掛かった年に、税金の負担を減らしてくれる制度」。今回、ご紹介している高額療養費関連は、「直接的に医療費の負担を軽減する制度」です。この違いを押さえておきましょう。
また、19回目には高額療養費に加えて付加給付があるケースもご説明したので、参考にしてください。
高額療養費については多数回該当・世帯合算などさらに細かく負担を軽減する仕組みがありますが、telling,読者層には直接的には関係がない場合が多いため、今回は省いています。関心のある方は、厚生労働省のサイトなどで確認するようにしてください。
退院時にドキドキしたけど…
限度額適用認定証については、私自身も受け取った経験があります。
30歳の頃に、人間ドックで病気が見つかり入院。手術を受けるときに、病院に勧められて、認定証を申請しました。そのときは、CFPⓇというファイナンシャルプランナーの資格を持っておらず、本格的にも勉強していなかったので、訳もわからず受け取りました。一週間ほど入院し、「いくら請求されるんだろう」と退院時にドキドキしていましたが、認定証を提示していたおかげで、支払いが一定額まで抑えられホッとしました。
公的な医療保険は安価で手厚い!
繰り返しになりますが、認定証を使って支払額が抑えられたり、後に申請して自己負担限度額を超えた金額が戻ってきたりするのは毎月、天引きという形で健康保険料を納めているから。“天から降ってきた特典”ではありません。
これら公的な医療保険は安価で手厚いですので、まずは毎月の支払額を給与明細などで確認。そして受けられる給付、ご自身の預貯金などを確かめることが大事です。ちなみに、今の時期にお勤め先から受け取る源泉徴収票でも、支払った医療保険料を含め社会保険料などの額が確認できますので、ぜひ目を通していただきたい。
民間の医療保険に加入するかどうかは、様々な確認を終えた後に検討するようにしてください。民間の医療保険に入っていて、入院・手術をしたら、「プラスになった」「結果的に儲かった」と喜ぶ方もいらっしゃいます。ですが、それは民間の医療保険への支払いの対価。入院や手術をしなかったとしたら、そもそも不要だったかもしれない……。この点もあわせて“医療保険”について、改めて考えてみましょう。
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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、2月10日に公開の予定です。