ノートで学ぶマネーの「常識」

FP fumicoの“Live colorfully”#35 貯蓄から投資への助走の年〜相場格言で飛躍の卯年を!

「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~30代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさん。お金に対する苦手意識を克服する方法や、ちょっとした工夫などをfumicoさんのインスタでお馴染みの手書きのノートでお届けする、35回目。2023年の初回は卯年のマネープランに役立つ相場格言について解説します。
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新たなコトを始める際は「裏」で差別化を!

昨年8月に相場格言を取り上げたときは、投資を始めるにあたっての心構えを中心にお伝えしました。今回は実践編ともいうべき内容になっています。

「人の行く裏に道あり花の山」は、様々なことに当てはまります。たとえば新たなコトを始める際。ほかの人と同じようなことをすれば、ほとんどの場合、差別化できず、利益を得られない。
だから、仕事や事業を始めるときにも「人の行く裏」を狙う必要があります。
「表」とは、たとえば飲食店を始めたいと思ったときに、流行りのものに後から手を出を出すといったようなこと。わかりやすくいえば、それは2019年のタピオカ大ブームの渦中に新たに専門店を出すような行為を指します。こうした“後追い”は、その時点ではうまみがなくなっていたり、流行が終わりかけていたりしていて、得にならないことが多い。

一方、「裏」を進めば、フロントランナーになれたり、「ブルーオーシャン」(競争のない市場)を見つけられたりする可能性が出てきます。ただ、やみくもに先駆者がいないから、と突っ走るのは得策ではありません。流行ったり、興味を持たれたりしないから、誰も手を出していない可能性があるからです。新しい場所や市場に挑戦するときに大切なのは「根拠を持つこと」。「裏」をかきすぎて需要のないところに飛び込んではいけません。相場格言に書かれているわけではないですが、この点を私としては、強調しておきたいですね。

株式の話に戻せば、万年、株価が安値のままで推移している会社に「好機がある」とやみくもに投資をすることはオススメできません。業態が古くなったり、手がけている商品が魅力的でなかったりしていて、株価が低迷を続けているに過ぎない場合があるからです。

積み立て投資だけにするのも大いに“アリ”

「頭と尻尾はくれてやれ」を実践できずに失敗した経験が、私にもあります。それは日用品を販売する会社の株を持っていたとき。含み益がかなりあったのですが、「もう少し上がるのでは」と欲をかいて……。そうこうしている間に株価は急落。含み益があった時点で、売却していれば利益を得られたのに、実際は当時、かなりの含み損が生じてしまいました。

そもそもtelling,読者の多くはお仕事をされている。投資をする場合でも常にマーケットに張り付いて、値動きを見ることは事実上、不可能。その場合は、底値で買って天井で売ることは、別世界の話と思った方がいい。
そのうえで大切にして欲しいのは、私のように“欲をかかない”こと。そして株式を売った後に「上がった」と悔しくなるタイプの方なら“売った後に、その銘柄の株価を気にしない”ことです。

株式投資だと、値動きが過度に気になってしまったりする場合は、値動きを気にしないで済む積み立て投資だけにするのも大いにアリです。
積み立て投資であれば、ドル・コスト平均法で購入価格をなるべく抑えることができますし、相場の上がり下がりを気にする必要もそれほどありません。

来年に控えるNISAの大幅拡充

「他人を頼るべからず、自力を頼むべし」と「人の商い うらやむべからず」は投資だけでなく仕事にも通じる格言です。同僚や取引先などが推奨する方法を鵜呑みにして、仕事を失敗すれば、自身の成長に繋がりません。あるいは他人の成功例を真似して上手くいかないといった場合も、そう。

投資においては、私自身も「自力を頼むべし」ができなかったことがあります。これまでもお伝えしたかと思いますが、同僚から薦められて買った教育系の会社の株で、損切りせざるを得なかったことがあります。銀行に勧められるまま十分に理解せずに投資信託を購入して、一定の損を出したことも……。「自力」で判断しなかったことを今でも反省しています。

24年からはNISA制度が大幅に拡充され、これまでできなかった一般NISAとつみたてNISAの併用も可能になる予定。これにより、積み立て投資だけをしていた人も、非課税口座で株式投資を始めることができるようになります。これから投資を始めようという方は、こういった相場格言を頭に入れておくと、役立つことがあるはず。

変動の世界、個人のマネーに影響も

私は個人的に23年は、これまで以上に世界や日本の動向と、ご自身のマネーが関係する年になると思います。

というのも、インフレで急激な利上げを行ってきたアメリカでは、景気への影響が心配されていますし、物価高が続く日本でも、日銀総裁人事などもあり、長年のゼロ金利政策が終了となる可能性がささやかれています。前述の来年からのNISA拡充で、本格化する貯蓄から投資への助走にあたる今年。どんな方法でお金を守って、増やしていくのかを考える時期だと思います。

みなさんには、ニュースなどで積極的に新しい情報を取っていただきたいですね。

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、1月27日に公開の予定です。

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CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。
ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。