FP fumicoの“Live colorfully”#10 株主優待のポイント これだけは!
“提供する側のことをより知ってもらう仕組み”
株主優待だけで生活する桐谷広人さんの様子が、テレビなどで紹介されているので、株主優待の存在自体はご存じの方が多いでしょう。
一見すると、ふるさと納税と似ていると感じられる方もいるかも知れません。確かに、ふるさと納税も株主優待も、“提供する側のことをより知ってもらう仕組み”。株主優待では企業への、ふるさと納税では返礼品などを通して自治体について、理解を深めてもらおうという目的があります。私たちも、お祝いに対して半返しするように、個人的には日本では“返礼”が根付いているようにも感じます。ちなみに海外では株主優待はほとんどありません。
株主優待は多くの場合、その企業の商品ですが、サービスやプリペイドカードの場合もあります。
NISAはマイナスになるとメリットが…
NISAについては留意点も。
NISA口座で投資する際に利益が出たときの税金はゼロになりますが、問題は損失が発生した場合です。NISA口座でなければ、1つの投資で10万円のマイナス、別で30万円のプラスが出た場合は相殺され、確定申告などの際に20万円に課税がされます。しかしNISAで10万円のマイナスが出たら、別の投資で30万円プラスだとしても、課税は30万円に対して行われ、納税額が高くなるのです。
毎年確定申告を行うことにより、その年に控除しきれない損失金額を、最大3年間繰り越して控除することができる「損失の繰越控除」という制度もNISA口座では利用できません。そのためNISA口座の投資で損失が出た場合にはメリットが、ほとんどありません。
また、一般NISAは選べる商品の幅が広いので、その範囲で個別株式を購入すれば株主優待を受けられる一方、つみたてNISAでは“プロが選んだオススメセットを買うようなイメージ”と以前説明した投資信託しか購入できない点は改めて強調しておきます。
REIT、ロールオーバーを説明します!
REITやロールオーバーという言葉が登場していますが、聞き慣れない方もいると思います。これまで触れてこなかったので、補足させてください。
REITは不動産投資信託と呼ばれています。不動産への投資は実際の物件などを買うと高額になりますし、流動性も低い。その不動産投資を小口化(証券化)して、たくさんの人が少額のお金を出し合ってマンションや商業施設などへ投資する仕組みがREITです。不動産投資に興味があっても、手を出しづらいと思っている方にオススメ。
次にロールオーバー。これは“非課税期間が満了したモノの延長手続き”のことで、対象の銘柄を翌年の非課税枠へ丸ごと移すことで、非課税期間を最長でさらに5年、延長できるのです。
NISAでは一般的に使われますので、押さえておいてくださいね。
ちなみにNISAは買った年を1年目にして、5年目の年末までしか非課税で持つことができません。そのため2017年末に買ったモノでも21年末で非課税期間が終わります。
ふるさと納税と株主優待は大違い?
冒頭でふるさと納税と株主優待の類似点についてお話ししました。しかし、ふるさと納税はノーリスクで、寄付をした時点で返礼品を貰えたり、税金を減らしたりできる一方、株主優待は、廃止や縮小のリスクがあったり、そもそも購入した企業の株価が下落する可能性もあります。
株主優待の縮小は私も経験しています。美容関係の会社の株を持っていたのですが、株主に占める外国人投資家が多いことで、株主優待で受け取れるヘアケア商品が半額程度のモノになったのです。
一方で保有株式数が多かったり、保有年数が長かったりすると内容が豪華になることも。あるファストフードでは株数が多くなれば、商品引換券が一定程度まで増えますし、商品と交換できるポイントが株数と保有期間により加算される化粧品会社もありますよ。
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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。