FP fumicoの“Live colorfully”#26 「72の法則」「世代の違い」投資の注意点はこれ!
かつての経験が通じない今…
telling,読者のみなさんの祖父母や親の世代は、金利が高い時代が長く続き銀行に預金していれば、お金が増えていく経験をしています。しかし今は預金金利は0.001%。100万円預けても税引き前で10円しか増えません。しかも、増えるどころか振り込み等の手数料でマイナスになることもあります。
高度経済成長期からバブル崩壊前までは右肩上がりの経済成長が続き、給与も自然と増えていきました。しかし経済が停滞する中で全体として、日本の平均年収はこの30年間、ほぼ横ばい。今は長く働いても必ずしも給与が自然と増えるわけではありません。それどころか社会保険料の負担が増えて、可処分所得が減少するといった事態も起こっています。終身雇用や年功序列といった慣行も崩れ始め、高齢化も進みました。その結果、退職金で住宅ローンなどを完済するといった人生プランも立てにくくなっています。祖父母や親のかつての経験は通じなくなったのです。
不確実性が高くなった今、前の世代や人と比べず、ご自身の人生設計をしっかり立てることが重要です。
倍になるまで7万2千年?
ここからは、投資の際に注意すべき点を考えてみます。
みなさんは「72の法則」をご存じでしょうか?これは金融商品に投資する際に金利次第で、元本が2倍になるまでの年数が変わるという法則です。
たとえば資産を金利3%で運用すれば72÷3=24ですので、倍になるのに24年かかる。
これが普通預金だと、金利は0.01%ですので、72÷0.01=72000。つまり倍になるまで7万2千年かかるのです。途方もないですよね。
世代によって頭に残っているスポット的な出来事も違います。高齢の方であれば1964年の東京五輪に向けて景気が拡大した「いざなぎ景気」などで、telling,読者の親世代ならバブル景気でしょうか。しかし30代から40代前半となると、リーマン・ショックなどの暗い記憶が多い。
人はついつい強く印象に残った記憶に引きずられて瞬間で判断しがち。ただ資産運用は長期でするモノなので、10年・20年というスパンで考えるようにしてくださいね。
資産運用は長く続ければプラスばかりではない一方、マイナスも緩和されます。○○ショックといったことが起こったとしても、長期に資産運用を行えば、平準化され、最終的にはプラスになる可能性が高いのですから。
NISAとiDeCoの動向に注視を!
今後、仕組みが変わる予定のNISAとiDeCo。詳細は過去の私の記事を読んでいただくとして、簡潔に言うとNISAは投資を後押しする制度で、iDeCoは老後資金をご自身で準備するモノで、NISA以上に税制優遇が大きい。
NISAは今後、「抜本的拡充」がなされることになっているので、現役世代は動向を注視しておく必要があります。iDeCoについては現在は加入できる年齢が65歳未満ですが、70歳まで延長される可能性もある。そうなればtelling,読者のご両親が加入する場合、その期間が長くなることで、よりメリットを得られます。ご両親の資産形成という観点も含めて、注意を払っておいてください。
第7波の中での夏休み、お金の使い方は?
まもなく8月でお盆休みに帰省や旅行を考えておられる方もおられると思います。
しかし、コロナは感染再拡大となり「第7波に入った」との指摘もある中で、予定を取りやめたり、行き先を近くに変更したりする方もおられるでしょう。
その際に注意していただきたいのは、浮いた費用を散財しないこと。少なくとも費用の一部は、将来に向けてのオンラインの講座の受講や、資産運用の書籍の購入などの自己投資に使っていただきたい。
予定をキャンセルしたり、小規模にしたりして手元に残った費用は、天から降ってきた臨時収入ではないことに留意し、有意義に使ってくださいね。
一方で今後、感染状況が落ち着いた時点で、旅行や行楽に出かけようと思っている方もおられるでしょう。そういった場合でも事前にしっかりと予算を決めることが大事。慌てて出かけてしまい、つい無駄使いをすることがないように、注意してくださいね。
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FP fumicoの“Live colorfully”は、8月は第4金曜に公開の予定です。