ノートで学ぶマネーの「常識」

FP fumicoの“Live colorfully”#22 介護保険制度 基本を押さえて!

「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~30代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさん。お金に対する苦手意識を克服する方法や、ちょっとした工夫などをfumicoさんのインスタでお馴染みの手書きのノートでお届けする、22回目です。
FP fumicoの“Live colorfully”#21 ヒヤッとに備える!個人賠償責任保険

被保険者の対象は拡大?

介護保険の被保険者は40歳からになっています。なぜ? と思われる方もいらっしゃるでしょうが、厚生労働省のサイトによると40歳からの理由について「老化に起因する疾病により介護が必要となる可能性が高くなることや、ご自身の親が高齢となり、介護が必要となる状態になる可能性が高まる時期である」などと説明されています。

ただ、制度が始まった頃に比べて、高齢化が急激に進み、介護保険の財源が悪化しています。そのため、私は被保険者の対象が40歳未満の人にも広がる可能性があると思っています。30代であっても「ご自身の親が高齢となり、介護が必要となる状態になる可能性が高まる時期」と言えるからです。

ですので、40代になっておられない方でも、ご自身が介護保険の当事者になる可能性があることは心に留めておいてください。財政状況の悪化も鑑みれば年金と同じく20歳からということも……。

段階に応じて決まる“限度額”

普段、使っている健康保険と介護保険には、似ている点と異なる点があるので留意が必要です。
1か月あたりの本人負担額が高額になった場合には、健康保険において上限を超えた場合に利用できる、負担が少なくなる制度があるのは介護保険でも同じです。

健康保険では必要があれば、誰でも医療機関で様々な診療科にかかったり、検査を受けたりすることに制約はありません。
しかし、介護保険のサービスの一部には、要支援や要介護の段階に応じて限度額が月ごとに決まっているモノがあり、その超過分は全額自己負担になります。

介護保険の存在を知らないと…

介護保険で別途、みなさんに強調したいのは、自ら申告しないと制度を利用できないということ。実際、芸能一家で知られる高島ファミリーは介護保険の存在を知らず、父の忠夫さんの介護の際にマンションを売却するはめになったと、息子の政宏さんが明かしています。

困ったときには「何か利用できる仕組みはないか」と考え、自治体や詳しい人に相談するなどして、このようなリスクを低くするようにしてください。

介護保険サービスについて以下のノートでは、「自宅での生活を続けやすくするもの」として住宅改修・福祉用具のレンタルを挙げていますが、イメージしにくい方もいらっしゃるでしょう。たとえば住宅改修であれば手すりの取り付けや、住宅内外の段差解消のためのスロープ設置工事が対象になりますし、福祉用具では介護用ベッドや車椅子のレンタルが介護保険サービスの対象。ちなみにポータブルトイレや入浴補助用具といった衛生用品は購入となりますが、こちらも介護保険サービスを利用できます。

知識があれば力になれる!

telling,読者のみなさんの中にも今後、両親や祖父母などをサポートする必要が出てくる方もいらっしゃるでしょうから、介護保険については他人事とは思わないでください。

かくいう私も、祖父が介護認定を受けたときには介護保険に対する知識がまったくなく、力になれませんでした。その後、市役所に転職し、介護保険の担当になって初めて祖父の介護認定を受けるまでの手続きや、利用していたサービスの詳細について知りました。
知識があれば、祖父や両親の力になれたのに――という思いがあります。

だからこそ、みなさんには私の二の舞いにならないよう、今のうちから知識を身に付けていただきたいのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。

FP fumicoの“Live colorfully”#21 ヒヤッとに備える!個人賠償責任保険
CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。
ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。