FP fumicoの“Live colorfully”#11 今さら聞けない年末調整!
年末調整は「見込額」と「実額」の精算
そもそも、源泉徴収では所得税の「見込額」が引かれています。このため年末に「実額」が確定した時点で精算し、払い過ぎ分が返ってきたり、不足分を追加で支払う必要があったりするのです。
とはいえ、年末調整をすると、還付金としてお金が「戻ってくる」のが一般的です。これは多くの人が入っている生命保険や住宅ローンの控除が年末に一斉に行われるため。一方、急に収入が上がった人は、さらに徴収される場合があるので、注意してくださいね。
以前も触れましたが、給与から税金が「天引き」される源泉徴収は戦時下の1940年に効率よく戦費を調達するためにナチス・ドイツにならって取り入れられたシステムです。効率的に毎月、徴税・徴収できるという行政側のメリットの側面が強く、自動的に取られることで「税」や「社会保険料」に対する関心が薄くなりがち。telling,読者のみなさんには、意識を高く持っていただきたいので改めて強調しておきます。
“○○控除”は税金が減らせるサイン
年末調整にあたって必要な書類には「○○控除申告書」といったように基本的に「控除」と書かれています。みなさんのポストに届いたはがきや、会社から提出を命じられた文書の中にもあると思います。この表記は「申請すれば、税金が減らせますよ」というサイン。面倒がらずにしっかり中身を確認して、確実に処理するようにしてくださいね。
コロナ下で在宅勤務が広がる中、会社から年末調整の書類提出の督促が無かったり、同僚の提出の状況が分かりづらかったりするかと思いますが、ご自身で締切を確認して忘れずに提出を!
天から降ってきていない「還付金」!
年末調整の還付金は原則、12月の給与と一緒に受け取ります。還付金を“臨時収入”のように捉える方がいますが、取られ過ぎていた所得税を年末に取り返しているだけ。翌年以降も必ず得られるものでもないので、浪費せずに一定程度を資産運用に回すことをオススメします。
年末は冬のボーナスも支給されるので気持ちも大きくなりがち。還付金を天から降ってきた臨時収入と思わず、有意義に使うようにしましょう。
来年のお金の使い道、年末調整をきっかけに…
ちなみに可処分所得の計算式で、社会保険料について(源泉徴収票の「社会保険料等の金額」)と説明していますが、ここには「小規模企業共済等掛金控除」という社会保険料以外の項目が含まれます。iDeCoの掛け金もこれにあたるので、加入している場合は内書きに書かれている金額を見て、1年間の掛け金を確認しましょう。
本来は還付金も含め、年末調整は費用の精算。だから精算後には1年間の税金や社会保険料の支払額、手取り額、貯蓄額、投資額を確認するようにしてください。そして、ご自身の年間の収支を確認することで、2022年に向けてのお金の使い方や、貯蓄・投資の目標額を決めてみてはいかがでしょうか。たとえば今年、貯蓄や投資が十分にできなかったという方は来年、プラス○%という目標を立てて、4半期ごとに見直す――。年末調整は、そのきっかけにも使えますよ!
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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。