ノートで学ぶマネーの「常識」

FP fumicoの“Live colorfully”#21 ヒヤッとに備える!個人賠償責任保険

「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~30代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさん。お金に対する苦手意識を克服する方法や、ちょっとした工夫などをfumicoさんのインスタでお馴染みの手書きのノートでお届けする、21回目です。
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子どもがいないと、不要?

個人賠償責任保険に加入する必要があるのは、子どもがいる家庭というイメージをお持ちの方も多いと思います。備えるのは、子どもが自転車でモノや人に衝突したり、スーパーで走り回って誰かに怪我をさせてしまったりといったときだから、と――。

ですが実際は、どなたにとっても入るか否かを検討するべき保険です。大人でも様々な場面で物質的、あるいは身体的損害を負わせるリスクはあるからです。
加えて健康保険や年金の制度があり、多くの人が民間の自動車保険や医療保険に入っている日本では、保険については「必要分は入っている」と思いがち。しかし、思わぬ落とし穴もある。その少なくない部分を個人賠償責任保険はカバーしてくれます。

もちろん保険は万能ではないので、様々な保険に入っていても当てはまらないケースも無論、出てきます。

複数加入でも補償額は増えません!

その個人賠償責任保険は、ご自身が入っている火災保険や自動車保険、クレジットカードに付いている場合もあります。ですからまず、ご自身やご家族が加入しているかどうかを確認するようにしてください。無料で付いている場合は問題ないですが、プラスαの金額を支払って、個人賠償責任保険に複数入っていたとしても、補償額は増えませんので留意してください。

最近は特典やポイントの還元率競争の激化もあり、複数のクレカを持っている方もいらっしゃるでしょう。注意が必要なのはクレカが多過ぎて逆に不便を感じ、減らそうとするとき。そのクレカだけに個人賠償責任保険が付いている場合には、クレカの退会と同時に解約になりますので。ご自身の持っているクレカの詳細をしっかりと確認するようにしてくださいね。

相手の配慮や厚意に甘えないために…

結婚している/する場合は、どちらかが個人賠償責任保険に入っていれば基本的に双方がカバーされますが、結婚の形式も多様化。事実婚の場合は認められない場合もあるので、内容について保険会社などに問い合わせてみてください。

個人賠償責任保険に入っている最大のメリットは損害を負わせた相手方に金銭的にはしっかりと弁償できるということ。先方がご近所さんや知り合いの場合は遠慮して、全額を請求してこないことがあります。しかし、個人賠償責任保険に入っていれば、損害を負わせた相手からの配慮や厚意に甘えずに済むので、この点も加入のメリットになりますね。

お金の不安だけでも取り除く!

上のノートでリスクについて説明していますが、様々なリスクに対する対処法を考えることは日常生活と仕事の双方に使えるので、意識していただきたいです。

例えば病気や怪我への備え。医療保険に入る【移転】だけではなく、運動や食生活など気を付けて健康的な生活を送る【軽減】、健康保険の仕組みや預貯金があるので特段の対応をしない【保有】という選択肢もある――といったようにです。この場合の【回避】は、病気にならない、怪我をしないために外出しないということになります。ですが外出しないと運動不足になり、逆に不健康になることもあるので、あまり現実的ではないですね。

以前からご説明していますが私は、新卒で民間の生命保険会社に就職し、その後、市役所で介護保険を担当しました。その私が考える保険の役割とは“お金の不安だけでも取り除くことができる”ということです。

たとえば医療保険に入っていても病気になることはありますし、地震や火災保険に入っていても天災は避けられません。
つまりリスク自体はなくならない。しかし、医療保険に入っていれば病気になっても治療費の心配をしなくて済みますし、地震や火災保険では天災に遭った場合に、お家の修復方法などについて様々な選択肢から選ぶことができます。

今回ご説明した個人賠償責任保険においても、物質的、あるいは身体的損害を負わせたという事実や、自責の念は消えないけれど、弁償することで先方に金銭面で迷惑をかけないし、ご自身の生活が立ち行かなくなることは避けられる――。この点が大きいと思いますね。

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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。

FP fumicoの“Live colorfully”#20 標準報酬月額で決まる「アレ」と「コレ」
CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。
ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。