FP fumicoの“Live colorfully”#20 標準報酬月額で決まる「アレ」と「コレ」
季節によって繁忙度が違う人は要注意!
今回はいつもより難しく感じられると思います。「標準報酬月額」という言葉を見ても、意味するところがわからないので仕方がありません。しかも実際、標準報酬月額によって決まるのは一つではなく、健康保険料や厚生年金保険料(社会保険料)なので、ややこしい。
ただ非常に重要な言葉なので、telling,読者のみなさんには標準報酬月額と聞いたら、それで社会保険料の額が決まるのだ、と知ってもらいたいです。
しかも、所得税と住民税の算出に際しては、時期こそ違えど1年の所得で決まるので繁閑の差は平準化されますが、標準報酬月額が決められるのは4~6月という特定の期間の報酬(定時決定)。だからこそ、季節によって繁忙度が違う部署で働いている方には、特に気をつけていただきたいですね。
ボーナスは「標準賞与額」
加えて所得税と住民税をあわせた金額より、多くの場合、社会保険料の支払額の方が高い。お勤めの方は、お給料から天引きされているので、この点も気づきにくいのです。
しかも社会保険料のうち、健康保険料の保険料率(%部分)は毎年、変更される可能性がありますし、厚生年金保険料の料率は2004年から17年にかけて、じわじわ上がりました。天引きで給与明細をしっかり見ていないと「手取りが少し減ったな」くらいにしか思わない。現在の厚生年金保険料の料率は18・3%で固定されていますが、高齢化が進むとどうなるかわかりません。ここは気に掛けておいてください。いずれにせよ、給与明細をしっかり見るようにしてくださいね。
ボーナスについても、税引き前の総額の千円未満を切り捨てた「標準賞与額」から社会保険料が算出され、引かれますので留意が必要です。
「得」と「損」に惑わされないで
今回、私が強調したいのは「得」とか「損」という言葉への対応です。インターネットを開くと、様々な制度などに対して、この言葉が使われていてドキッとしてしまいます。ですが、社会保険料や税金の分野では基本的に、「得」しかしない、あるいは「損」だけするということはありえません。これまで私は「つみたてNISA」でも「iDeCo」でも注意点をお伝えしてきたように、プラスしかないモノはないのです。今回ご説明している標準報酬月額も単に、多額が天引きされるというだけではない。支払う額が増えれば、傷病手当金や厚生年金の受取額は多くなりますから。
ですので、みなさんには「得」と「損」のワードが出てきても惑わされずに、官公庁などの公式サイトで正確な情報を確認してもらいたいです。
医療費控除の回で、“自分で気づいて申告しなければ、公的機関は教えてくれないので、払い過ぎた税金は戻ってこない”とご説明しました。同様のことは標準報酬月額についても当てはまる部分があります。たとえば育休明けで報酬が減ったときには、お勤め先に自ら申し出なければ、標準報酬月額は見直してもらえない。
また、標準報酬月額という制度を知らなければ、4~6月に残業を長時間してしまい社会保険料が高くなることを防げなかったり、やむなく残業をした場合に心の準備ができなかったりします。ですので、まだ間に合う5月の残業代については気をつけていただきたいです。
GWに使う予算は事前に決める!
給与明細を見ることの重要性は、これまでも強調してきましたが、「標準報酬月額の通知書」「源泉徴収票」「住民税の決定通知」という会社から受け取る3つの通知はとても大切。中身を必ず確認するようにしてくださいね。
まもなくGWです。今年は最長の10連休を取られる方もいらっしゃるでしょう。ご自身へのご褒美も兼ねて程よく息抜きするのはいいと思いますが、長期休暇で気も財布の紐も、緩みがち。なので、事前にGWに使う予算を決めてオーバーしないように気を付けつつ、楽しまれたらいいと思います。
GW開けの生活に向けて、英気を養ってくださいね。
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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。