東松寛文さん「“生き方にはたくさん選択肢があり、自分らしいものを選んでいい”」と伝えたい
●自分を変える、旅をしよう。#31 東松寛文さん(34)後編
――リーマントラベラーでは、働きながら旅をすることを広める活動をしています。東松さんが考える旅のよさとは?
東松寛文さん: 僕自身、旅をするようになって自分のことがもっと分かるようになった実感があるんです。
旅を始めるまでの僕は、敷かれたレールの上を行くのが当たり前。世間一般に言われるような理想像や既存の価値観にとらわれていて、「自分らしさ」について考えたことがありませんでした。
でも、旅先には敷かれたレールがありません。特に一人旅がそうですが、すべて自分で決めなければならない。たくさんの選択を迫られて決断を繰り返す中で、日常では気が付かなかった「好き」「嫌い」「得意」「不得意」が見えてきました。旅という「非日常」かつ限られた時間の中だったからこそ、本当の自分が炙り出された。新しい自分との出合いが、旅に出る楽しみの一つになりましたね。
そうやって自分軸で行動するようになってから、ハッピーになったかな。旅をする前までは、日常でも常に周りに流されてたんですよ。例えば上司に飲みに誘われた時に、断れなかったり。行かないと自分がどう思われるのかが怖い、という気持ちがあったんです。旅をするようになってから、その考えはなくなりましたね。
――旅の中で自分を知ることによって、旅以外のシーンでも自分らしい生き方ができるようになるわけですね。
東松: そうですね。だからリーマントラベラーとしての活動を通じて「生き方にはたくさん選択肢があって、自分らしいものを選んでも良い!」ということを、たくさんの方に伝えていきたいです。
男女ともに生き方が多様化している時代ですが、かつての僕のように「大人はこうあるべき」といった思い込みに縛られている方が、まだまだたくさんいると思うんです。
僕の場合は偶然、旅に出て気がつくことができましたが、それって奇跡。あの時、血迷ってNBAのチケットを買っていなければ気づくことはなかったわけですから。この奇跡のお裾分けをしていきたい思いで活動をしています。
――ちなみに、海外が楽しすぎて仕事に身が入らなくなるようなことはないのですか?
東松: 旅が楽しいからといって仕事がつまらなくなった……ということは、まったくありませんね。
むしろ逆で、旅の中でたくさんインプットを得ることができて、それが仕事に生きたり、旅がきっかけで人とのつながりが広がったり、旅先での経験が自信に変わったりして、仕事がさらに楽しくなりました。
土日だけでの海外旅行だと、週明けから疲れ切っていることも正直あるのですが……(笑)。気持ちのリフレッシュができているので、むしろ仕事にはいい影響があります。僕の場合は家でダラダラ過ごすだけでは得られないような気晴らしができているのだと思いますね。
――今後行ってみたい旅先を教えてください。
東松: 僕の旅のゴールは宇宙なんです。
でも、すぐに行ける場所ではないので、それまでは地球を見尽くしたい。行ったことない場所が、まだたくさんあります。引き続き、サラリーマンとして頑張りながら。
やっぱりお給料が安定的にもらえるのは、旅の計画をする上で重要ですからね(笑)。僕の旅は、平日も週末も、まだまだ終わりません。
――2019年2月から始まった「自分を変える、旅をしよう。」は29人が出演し、今回が最終回です。
東松: 「誰かの勇気を出して踏み出した一歩が、また誰かの勇気につながる――」
そんな思いでこの連載を続け、出ていただいた皆さんには“勇気”をシェアしてもらいました。この連載が、読んだ誰かの勇気につながっていたら本当に嬉しいです。
これからも、また別の形で、勇気のバトンを繋いでいきますので、またどこかでお会いしましょう!3年間、本当にありがとうございました!
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