Ruru Ruriko ピンク

子どもがほしくないってワガママなこと?[Ruru Ruriko ピンク78]

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。27歳のRurikoさんは最近、結婚や出産のプレッシャーを感じる機会が増えたそう。だけどまだやりたいこともたくさんある――。パーソナルな選択について他人から口出しされる筋合い、ありますか?
性差別に立ち向かえなかった話[Ruru Ruriko ピンク77]

結婚して子どもを持つのは当たり前?

27歳、「結婚」と「子ども」の二つの言葉が20代前半の時よりさらに自分に近付き、どこにいても纏わりついてくるように感じる今日この頃。

私は、ウエディングドレスでバージンロードを歩き大勢の前で愛を誓ったり、子どもを産んで家庭を持ったりという夢をみたことは一度もないです。

今時は結婚式をあげない人も多いし、子どもを持たない夫婦や事実婚も増えてきています。幼少期にTVや映画で見たような、いわゆる“結婚”の形は少しづつ変わってきているだろうし、結婚に興味がないという人は少なくないでしょう。

それでもやっぱり、日々の会話の中で感じる「結婚して子どもを持つのが当たり前」という雰囲気にため息が出てしまいます。

「完璧な母」になることへのプレッシャー

「産まれたら可愛いよ」なんてことを多くの人に言われました。

たしかに、多分可愛いのでしょう。でも恐らく、すごくイライラして子どもに当たったり、酷いことを言ってしまったりもすると思います。大人は完璧ではないと今は分かっているし、「育児って大変なんだろう」と子どもを育てている人を尊敬するようにもなりました。自分が幼い頃はそれが分からなかったから、母の態度や言動にたくさん傷つきました。

Netflixで2021年に公開された映画「ロストドーター」では、子どもより自分の恋愛やキャリアを優先させた女性が過去を振り返る姿が描かれています。娘たちを愛しているけれど、自分の話を聞かず子育てを一緒にしようとしない夫や、育児と仕事との両立に耐えられなくなった主人公は突然、3年間の家出をしました。

「私は悪い母親だけど、結局は子どもたちに会いたくなって帰った」という彼女は、「子どもたちなしの生活はどうだったか」と聞かれると涙ながらに「It felt amazing(最高の気分だった)」と言います。

「子育ては母親の仕事」という考えは日本でも根強く残っていますよね。多くの母親が、社会の求める「完璧な母」になることへのプレッシャーを感じているのではないでしょうか。

母は「母親」である前に、ひとりの人間

私が小学生の時、母が家出をしたことがありました。その日のうちに帰ってきましたが、突然に母がいなくなった衝撃は大きく、その後数年間は「いつかまたはいなくなるのでは」と心配していました。

感情の起伏が激しく、イライラしているように見えた母。今思えばストレスフルな毎日だったのでしょう。「母親」である前に、ひとりの人間なんだと今は理解できます。でも、子どもの私には分からなかったし、八つ当たりされているようにも感じていました。

フランスに住んで驚いたことの一つに、子どもがいる女性であっても、ベビーシッターに預けて夜遊びやデートに出かけることが許されていることでした。日本でもできないことではありませんが、「お母さん」が子どもを預けてナイトクラブに行くことに眉を潜める人は多いのではないでしょうか。

結婚も子どもも、パーソナルな選択

結婚や出産が悪いことだとは全く思っていません。友達が結婚したら「おめでとう!」と言うし、子どもも可愛い。でも私にはまだやりたいことがたくさんあって、それを最優先したいのです。ワガママなんでしょうか?

そして私自身が「完璧な母親像」に縛られているのだと思います。母にされて傷ついたことを子どもにもしてしまう、「完璧な母」にはなれないだろう――という恐怖心が大きく、子どもを産み育てることへの幸せなイメージが持てません。

結婚や出産の報告を聞くようになった最近、一番自分にプレッシャーをかけているのは自分自身なのかもしれません。誰から「結婚しないの?」「子ども可愛いよ」なんて言われると「うるさーい!!!」と心の中で叫んでしまいます。

先日、ローマ教皇が「子どもを持たないでペットを買うのは身勝手」と発言してニュースになっていました。将来猫と犬に囲まれて暮らしたいと思っている私は、「出産というパーソナルな選択を誰かに口出しされる覚えはない」と呆れてしまいました。
身勝手で結構、私はワガママな自分を受け入れようと思います。

性差別に立ち向かえなかった話[Ruru Ruriko ピンク77]
18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。