笹川友里さん、“デジタル”を扱うラジオ番組のパーソナリティーを今春から。「苦手だからこそリスナーとの架け橋に」

昨年TBSテレビを退社し、多方面で活躍する笹川友里さんは、今春からTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(土曜夜8 時)のパーソナリティーも務めています。デジタルについて考えていることや、ラジオを通して伝えたいことなどを伺いました。

“産業革命に匹敵するような変化”のもとで…

――古巣のTBSラジオでも番組を続けられる一方、今春からTOKYO FMでもパーソナリティーを務めておられます。違いは感じられますか。

笹川: いい意味で文化や空気が違います。ラジオを聞くとまさに局によって雰囲気が全く違うのと同じですね。TBS ラジオは職人気質でスタイルを持ったスタッフさんが多く、新人の頃から育てて貰い、ラジオのことを0から教えていただきました。TOKYO FMは、営業や制作、ポジションの異なるスタッフさんが集まってつくっているのが印象的。当初はこれまでのラジオの経験の延長線上と思っていたのですが、所変わって、人も変われば、雰囲気も違う。同じラジオでも新しい仕事という感じがしています。

――「DIGITAL VORN Future Pix」は、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに、未来の社会について考えるという内容。以前のインタビューでご自身を“アナログ人間”と評されていましたが、オファーがあったときは?

笹川: パーソナリティーやアナウンサーをしている以上、デジタル分野から逃げちゃいけないと以前から感じていました。ただ局に在籍していた頃の私は、デジタル系はストレートニュースなどで扱いはしますが、深く解説する機会がなかった。だから、詳しくなくても仕事に支障はありませんでした。

今回のラジオのお話をいただいたときには、苦手意識があるからこそリスナーの方との架け橋になれるのでは、と思いました。自分なりに世の中で起こっているデジタル関係の変化はつかむように今は努めていますね。
番組で「かつての産業革命に匹敵するような変化がデジタルによってもたらされている」と聞いたんです。13年前のiPhoneの日本での発売に私は衝撃を受けました。今はそれ以上に動きが早い。番組開始から5回程度で、その時間軸を体得しました。そんな変革期に毎週、デジタルシーンの中心にいるゲストの方のお話を伺えることは、すごく面白い。毎回、私自身も興味津々です。

デジタルとアナログ双方の良さを伝えたい!

――番組が始まってからのご自身の変化は?

笹川: 見方が変わりました。たとえば、興味が薄かったモビリティーについてもゲストの方のお話を聞くうちに、未来のモビリティー社会について考えるようになりましたね。この番組では毎回、“ちょっと先に見える風景”を尋ねることにしているのですが、デジタルの専門家の方の予測のスピード感はすごい。2歳半の娘がいる私は「娘が10歳になった時、どんな社会になっているのかな……」と想像しながら、街を歩くようになりました。そもそも“アナログ人間”だった私は娘にYouTube を見せることにも以前は躊躇がありました。一方、夫(フェンシング銀メダリストの太田雄貴さん)はデジタルに強いんです。その夫から「娘はデジタルネイティブの世代。あえてシャットアウトしなくてもいいんじゃない?」と言われたのが、この番組が始まったのと同じタイミング。今はデジタルとアナログ双方の良さを子育てで伝えるように意識しています。

――番組で印象に残っているのは?

笹川: アメリカ西海岸で起業した複数の日本人の方を、西海岸シリーズとして番組にお呼びしたことですね。西海岸のとてつもないスピード感の下で、日本とはアピールの仕方や資金の集め方も全く違う環境で戦っておられる姿が印象深かったです。特に日本コスメの情報プラットフォームを展開している高橋クロエさん。同世代だったこともあり、盛り上がって収録後にお茶も行きました。“命を懸けている”ことが、言葉でビシビシ伝わってきましたし、日本の化粧品を世界に広めたいという熱量があって……。

デジタル分野の方は高橋さんに限らず、興味関心と仕事がリンクしている場合が多くて、少年少女のようにお話しされるんですよね。その様子も面白くて、温度感をリスナーの方まで届けたい思いもあるので、台本に書かれていない方向へ深掘りすることもあります。

コロナを“逆手に取った”キャスティングで…

――コロナ下の番組収録です。

笹川: これまでならゲストの条件はスタジオに来て下さる方だった。それがコロナで対面が難しくリモートでお話を聞く機会が増えて逆に、地球の裏側にいる人にもゲストのオファーをして出演してもらえるようになりました。コロナを逆手に取った面白いキャスティングにもつながっています。コロナだからこそ、ですね。しかもデジタル関係の方々なので、リモートでも実際にスタジオに来られたのと同じような音質で話される。

――コロナ下の暮らしはいかがでしたか。

笹川: 我が家では「外に出ずとも楽しもう!」というのをテーマにしていました。ホットプレートや鍋、カセットコンロなどを新調し、おうちご飯を毎回工夫をして過ごしていました。これまで夫は、海外や国内への出張が多くて、物理的に家にいないことが多かった。それがコロナで出張が激減。夫と娘と3人で過ごす時間が長くなり、家族の絆が深まりましたね。仕事でも打ち合わせに関しては雑誌もイベントも含めて90%くらいはリモートになりました。移動時間も減って効率的だし、打ち合わせも必要以上に長くならない。仕事面でもプラスの要素もあったと感じています。

 

――ラジオのような音声メディアについては、笹川さんはどのように捉えていますか。

笹川: 音声メディアは本当に好き。テレビは映像が強く記憶には残るのですが、私はあまり器用ではないので、内容が入ってこないことがあります。情報を自分の中で一回かみ砕いてから飲むという作業が、映像だと疎かになるんですね。ながら聞きという楽しみ方もあるラジオですが、意識して聞く際は自身で音声から情報を咀嚼する行為をしていると思います。喋り手のみなさんも映像がない前提で「伝えたい」と思って話すので、抑揚が出たり、声に温度が乗ったりします。喜怒哀楽がより伝わりやすいのも、大きな魅力ですね。

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●笹川友里(ささがわ・ゆり)さんのプロフィール

日本女子大卒業後の2013年にTBSに入社し、制作局に配属。14年4月からアナウンス部に異動し、「王様のブランチ」などに出演。21年2月に退社。自ら立ち上げた「setten株式 会社」の代表や、雑誌「VERY」の専属モデル、プロダクト開発など幅広く活躍している。

「DIGITAL VORN Future Pix」

■放送日時:毎週土曜日 20:00~20:30

■放送局:TOKYO FM

ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。
1983年生まれ。出版社勤務を経て、2008年 フリーランスフォトグラファーに。「温度が伝わる写真」を目指し、主に雑誌・書籍・web媒体での撮影を行う。