XXしない女たち #01

彼氏がいらない女たち。28歳女性「なりたい自分に一直線の今、彼氏はむしろ私を引き留める存在」

情報爆発時代の中で、私たちはさまざまな「HAVE TO:やらなければならないこと」に囲まれている。でもそれって本当にやらなきゃいけないことですか?自分ルールの中で生き、社会の“こうあるべき”を手放す人たちだっている。働く女性たちを研究している博報堂キャリジョ研による連載「XXしない女たち」第1回目は、彼氏がいらない女たちをお送りします。
良妻賢母はもはや幻? “3脱”で、母こそNEO自分本位に 管理職になりたくない女たち。27歳女性「私の人生に、管理職になることは本当に必要ですか?」

「好きな人はいないし、好きな人を探しに行こうと思ってもいないんです」。ハッキリとした口調で、そう語るIさん。
海外で働くという夢があるIさんは、自分の時間を英語と韓国語の勉強に費やしている。平日の19時頃までメディア関連の会社で働き、退勤後は英語の勉強、週末は友人とのランチや韓国人との語学交換……と、1週間はあわただしく過ぎていく。
そんなIさんにも、かつては付き合っている人がいた。その彼との結婚を考えたことが、自分の胸の奥にある本当の願いに気づくきっかけだった。

「もっと仕事をがんばりたい自分」に気づいた日

結婚話がチラつきはじめていた5年前、彼が突然、会社から海外転勤を言い渡された。Iさんの周りには、友人の結婚や出産の報告が続いていた。彼の転勤先について行き、結婚するか、それともまずは日本に残るか――。
「彼について行くなら、現地で彼を支えながら専業主婦になることが頭の中にありました。海外で働く自分っていうのが、当時は想像つかなかったんですよね」
迷っているさなか、母親にかけられた言葉にハッとさせられた。
「結婚することは、働かないことではないよ?」
これまでIさんにとって、結婚とは「パートナーを支えること、それは同時に自分が働くのをあきらめること」を意味していた。
「母にそう言われた時に、結婚しても働き続ける選択肢があることに気付かされました。その選択肢が見えた時に、『仕事を頑張りたい』っていう自分の気持ちに気づいたんです」
その心の声に従って、日本に残ることを選んだ。
遠距離で交際を続けることを決めた彼とは、時差によるすれ違いもあって、最終的に別れることに。それでもIさんは、自らの選択を後悔していないと言う。
「あのことがきっかけで、自分が本当に望んでいたことが分かったんですよね」

パートナーはケアしなければならない存在?

5年前の「彼の転勤についてく?問題」以来、Iさんに彼氏はいない。そして作ろうとも思っていない。
「やりたいこと、学びたいことがたくさんある中で、彼氏がいると自分の時間が奪われていく感覚があるんです。デートしたり、週末も会うか気にしたり。相手のメンタルもケアしなきゃいけないじゃないですか。それって正直うっとうしいんですよね。今は、自分の時間は100%自分に使っていたいというか……」
彼氏がいなくても、目の前の仕事を頑張りながら夢を追いかけるライフスタイルに満足しているという。

だが、そんなIさんを周りはそっとしておいてはくれない。「彼氏いなくて大丈夫?」や「出産は早いほうがいいんじゃない?」と心配されたり、挨拶のようにパートナーの有無を聞かれたり。「結婚することで自分は幸せになれた」「女性の独り身はいざという時に不安だ」など、いろんな言葉をかけられる。

「周りが勝手に心配してくるんですよね。私の人生に勝手におせっかい焼いて、アドバイスするのはやめてほしいです」

彼氏がいないことを心配された経験がある女性は88%

「彼氏やパートナーがいないことを冷やかされたり、心配されたりした経験はあるか?」という質問に対し、88%の女性が「ある」と回答(※)。「心配されて、『彼氏がいないと人生損しているのか?』と感じた」「彼氏がいないことを冷やかされた時は、みじめな気分になった」など、不快な思いをした人も少なくない。
本人はパートナーがいないことを気にしていなくても、同僚や親、既婚の友人から心配されることによって、焦りや寂しさを感じるといったケースが多数だった。「パートナーがいないのは、しっかりしていないからだ、と言われたことがある」など、人格と過度に結びつけられてしまうこともあるようだ。
また、「カップルだからしなければいけない」と感じていることとして「旅行」「デート」「プレゼントの贈り合い」「毎日の連絡」などが挙げられた。「週末はパートナーと過ごすために、友人との約束は極力、入れないようにしている」など、「パートナーへの気づかいが必要だ」という意識は根強い。一方で、「パートナーだからといって一緒にいる時間を絶対に持たないといけないのは窮屈」 というコメントも見られた。
パートナーがいない人に対する根強い偏見が、同調圧力を生んでいることがアンケートから伺えた。

選んだ自分を肯定するにあたっての、「時間投資」の考え方

男女問わず、自分で人生を切り開いていく時代に、パートナーは本当に必要不可欠な存在だろうか。一人で生きていくことだって、尊重されるべき選択だ。
「もし、あとからパートナーがいたらよかったな、子供ほしかったな、って後悔したらどうする?」。そんな声が、聞こえてきそうだ。
人生は消費ではない。選択肢を比較することもできない。何を選ぶかよりも、選んだものを正解にしていくこと、選択した自分を肯定するための行動や努力を積み重ねていきたい。

その人生の選び取り方と、肯定の仕方として、「時間投資」という考え方から始めるのはどうだろうか。
時間の使い方は大きく3つに分けられる。①自分のための余暇の時間 ②パートナーとの時間 ③仕事の時間。このうち、すべてを1日のうちに詰め込もうとすると、24時間ではとても足りない。3つのうち、最大でも選べるのは2つまでだろう。もちろん、大胆に1つに絞ってもいい。
 Iさんは①余暇の時間 ③仕事の時間の2つに大きく投資することを決めた。将来の夢に向けての初期投資――それは自分の心の声に従った結果だ。
人生には限りがある。だからこそ、自分が幸せだと感じられる時間に投資していいのではないだろうか。

※…2021年6月3日博報堂実施オンライン定性調査 N=80

良妻賢母はもはや幻? “3脱”で、母こそNEO自分本位に 管理職になりたくない女たち。27歳女性「私の人生に、管理職になることは本当に必要ですか?」
1993年生まれ。中国出身、東京都在住。慶應義塾大学で美術を学んだのち、外資系エージェンシーを経て現在は博報堂キャリジョ研所属。戦略プラナー/サービスデザイナーとして食品、トイレタリー、化粧品などの分野で、クライアントのコミュニケーション戦略や商品開発、新規事業立案に携わる。男女ともにフラットな社会を実現するため、プランニングに日々邁進。最近は筋トレとコーチングの学びにいそしむ。
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