Ruru Ruriko ピンク 70

大人になるって、思ってたより悪くない![Ruru Ruriko ピンク70]

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。最近、子どもの頃のことを思い出すというRurikoさん。型にはめられて窮屈さを感じる子ども時代から大人になって、Rurikoさんが感じていることとは?

●Ruru Ruriko ピンク 70

最近思い出す、子どもの頃の私

最近、子どもの頃、特に小中学生だった頃について思い出すことがあります。
周りの人がどう思っていたかはわからないけれど、私は小中高とどちらかというとイケていなかったし、隠キャラ的な要素があった子どもでした。

友達がいないわけじゃないけれど、目立ちもしないし、何か特別に得意なことがあるわけでもなく、人とのコミュニケーションが少し苦手で、友達に意地悪してしまったり意地悪されることもあったり……。コンプレックスの塊で、ひねくれていて、大人からするとあまりかわいくない子どもだったかもしれません。

つまらない人生で終わるわけない!

山内マリコさんの小説「ここは退屈迎えに来て」を読んだことはありますか? 一度は上京したけれど結局田舎に帰ってきたり、高校生の時はキラキラ輝いていた憧れの人に再会したら普通の大人になっていてがっかりしたり……。そんな大人たちの物語に「私は違う。こんなつまらない人生で終わるわけない!」と思っていた少女時代の自分を重ねて、ズブズブと心臓に針が突き刺さって……痛い痛い……!

仲良しだと思っていて、グループで遊ぶ時に誘われると期待していたのに、振り返ったらもうみんないなくなっていた、遊びの計画に私は含まれていなかった……なんてよくある話。「うわ-!」と心当たりがある方は、私も仲間です。

小学生の時に取っていた朝日小学生新聞に、漫画家の山本ルンルンさんの「マシュマロ通信」という漫画が連載されていました。そのなかに、遊びに誘われたと思っていたら、自分以外で計画が進んでいたというエピソードがあり、あまりにわかりすぎて泣きたくなったことを今でも覚えています。

キラキラした子も私とたいして変わりない

私は大学生くらいまで、周りと上手くなじめなかったり、自分から参加したいと言えばいいのに言えなかったり、友達に対してうらやましいと嫉妬してしまうことがありました。
いつからか気持ちに余裕ができたし、自分に自信を持てるようになって、嫉妬したり他人と自分を比べることも少なくなり、生きやすくなったけれど……。

それは、大人になる過程で、映画や本、音楽から私と同じような人がたくさんいるんだと気づいて、キラキラして私とは違うと勝手に思っていた子たちも、本当は私とたいして変わりなくて、みんないろいろあるんだなーなんて、ゆったり考えられるようになったから。日本だけでなく、世界中の文化であることだし、共感する人がこんなにも多いのだから、つらい子ども時代に出会って、お互いに励まし合えていたらどんなによかっただろうと思うのです。

友達が100人いる人に価値がある?

この連載では、体型や恋愛など世間での理想形に当てはめられることの窮屈さを書いてきました。友情関係もまた、理想形を当てはめがちなもののひとつではないでしょうか。
「友達100人できるかな♪」の歌からも見て取れるように、友達が多くいることは素晴らしいこと、人気があるのはその人に価値があることと語られることが多いと感じます。

とある有名スポーツ飲料のCMで見られるような、仲間とスポーツに励む爽やかな青春のイメージは、万年帰宅部の私には程遠かったし、運動も音楽も苦手だったので、運動会や合唱コンクールをみんなで頑張ろうと言う雰囲気もつらかったです。

生まれ変わったら、スポーツができてみんなと仲良くなれて、部活で青春みたいな子になりたかったななんて、少し思ってしまうけれど、今の人生では、なれない人になろうとするのはやめました。

働くことで自信につながった

年下の友達から「大人になりたくない、働くのは大変そう!」と言われることがあります。確かに、働くって大変! 日曜日の夜なんて、「明日仕事行きたいくないー!!!」と毎週思うし、火曜日は「まだ火曜日か」と絶望。うれしいのは金曜日くらい(笑)

でも、私は大人になって、自分で家も友達も行く場所も食べるものも選択できることの自由で世界が広がったし、自分で働いて暮らしていくことは、自信に繋がりました。
私はまだまだ大人初心者ですが、大人になるって悪くないんじゃない?って思います。
これからも不安もあるけれど、楽しみでドキドキワクワクな春です。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。