Ruru Ruriko ピンク 69

上の年代は性差別してもしかたない?人はいつからだって変われるのだろうか? [Ruru Ruriko ピンク69]

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、森元会長の女性蔑視発言から、上の世代の人の差別発言にどう向き合うかを考えます。これを機に、世の中のジェンダー平等を進めていくためにすべきこととは?

●Ruru Ruriko ピンク 69

差別発言に対抗できていますか?

いきなりですが、差別発言を聞いたときに、みなさんはどう対応しているでしょうか?
私自身、今までを振り返ってみると、全く差別に対抗できていませんでした。

最近、大きなニュースになった東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗元会長の女性蔑視発言。オリンピックというジェンダーの平等を掲げている国際的な「スポーツの祭典」の責任者の発言とは、本当にあきれてしまいました。この森元会長の発言と日本の性差別について話す緊急企画番組「#わきまえない女たち」(Choose Life Project)やネット上で発言している人たちの意見を見ていて、私自身がどこかで「上の年代の人に言ったってどうせ性差別なんてわからない」と諦めてしまっていることに気がつきました。

私は母とも性差別を含めた社会問題について話しますし、母に対して反対意見を言うこともあります。しかし、祖父母とは母と同じようには話すことができず、反対意見があったとしても言わずに流してしまうことが大半です。

「わきまえ癖」が身についてしまっているかも

これは、祖父母に対してだけではなく、年が離れている人に対しては大体そうしてしまいます。
以前留学していた時に、同じコースに親よりも少し上の年齢の男性がいました。
彼はとてもフレンドリーで、ほかの多くの学生たちが20代でも、休み時間にみんなと積極的に話すムードメーカーでした。しかし、私を含めた女性たちに対して、たびたびセクハラ発言をするので、女性たちの間でも話題になっていました。ところが、誰も彼に直接やめてほしいとは言いませんでした。

その時、私は「どうせ彼はもう年だし言ったって通じないよねー」と思ってしまっていたのです。それを聞いた18歳の学生(問題発言現場にはいなかった)が「そんな発言は許されない。何歳からだって人は変われると思うから、もし彼が次に同じようなこと言ったら私が言う」と言っていて、頼もしい!と思うと同時に反省したことを思い出しました。

仕事となると反論をするのはさらに難しく、むしろ一緒になって笑ってしまうことさえあり得るでしょう……。「#わきまえない女たち」(Choose Life Project)のなかで、年上男性が話す時に空気を読みながら相槌を打ったりする「わきまえ癖」がついてしまっているという意見がありました。わきまえ癖がついてしまっている女性、多いのではないでしょうか。 私も「うわーー!!!わかるーー!!!」と何度も頷いてしまいました。

わきまえ癖を直したい。ちゃんとNOと言えるようになりたい。
でも実際には、難しかったり、それで自分が傷付いたり、怖い思いをしてしまうこともあるでしょう。だからこそ、日常生活では今はできなくても、今回のように公人の不適切な発言に対して署名をしたりSNSでシェアするだけでも、世論の変化に繋がっていくと思います。

みんな誰かの大切な娘

今回の森元会長の発言について、森元会長の娘と孫娘が「問題発言は事実だが、年齢的に理解は難しい。家では普通の父であり祖父」と話したそうですが、言いたいことはわかります。世の中の多くのセクハラおじさんたちも、家ではその家族の大切な人であるのでしょう。でも森元会長は、権力のある男性であり、公の場での発言は「年齢的に仕方ない」ですませてはいけないと思います。

2020年に、アメリカの下院議員テッド・ヨーホーがアメリカ史上最年少の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスに対して、侮辱的な言葉を発したことに対して、コルテスは「妻や娘がいるからといって、女性蔑視の言葉が許されるわけではない。私も誰かの娘です」とヨーホーを批判しました。身内の女性や仲間の妻や娘に対しては良くしていても、それ以外の女性たちに対してひどい差別をする男性は多くいます。

自分の大切な父や祖父に対して批判をするのは、辛く大変なこと。私ももし祖父が性差別発言をしたら、はっきり言えるでしょうか。今回改めて、それでも言わなくてはいけないんだと思いました。差別に立ち向かう勇気を持っていたいです。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。