Ruru Ruriko ピンク 48

元彼からの“暴力”に立ち向かった、クウェート出身22歳ノールが気づいたこと

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回はRurikoさんがお話を聞いたのは、クウェート出身のノールさん。元彼からの精神的、肉体的暴力について客観的に見られず、自分に価値がないと思い込んでいたこともあったのだとか。ノールさんが立ち直るきっかけになったこととは?

●Ruru Ruriko ピンク 48

5年近くも気づかなかった、彼からの“暴力”

私は17歳から5年近く同じ人と付き合っていて、そのうちの数年間は遠距離だった。彼は常に全ての問題は私のせいだと私に感じさせていた。それは精神的な暴力。私もやられたらやり返したり抵抗もしてたけど、数回は身体的な暴力を振るわれたこともあった。私は暴力に反対だし、もし誰かが私と同じ状況だったら「なにそれ、最低!」って思ってたのに、自分の恋愛関係では長い間それが普通の関係じゃないって気付かなかった。

彼と別れるまで、身体的に暴力を振るわれたことは誰にも話したことがなかった。別れてすぐ、別れを乗り越えようと、今まで辛かったことやトラウマに感じていることをノートに書き出したの。そしたら、書いたことは全て、身体的暴力についてだった。
電話で親しい人に別れた理由を話をしている時にも、冷静に自分で話している内容を聞いてたら、「これって暴力じゃん」って驚いた。5年近くも気付かなかったなんて信じられない。

いまだに起こっている女性への身体的暴力

去年1年間、日本に留学したんだけど、日本に行くことは昔からの夢。それを叶えて、留学先でも良い成績を取ったことで、自分に自信を持てたの。彼とは留学中に別れたんだけど、私は日本で今までより自立したし、精神的に落ち着いて幸せだったから、彼にそれを壊させはしないって思ったんだ。

最終的には、私が彼の人生を滅茶苦茶にしてるから別れたいと言われて別れた。それまでだったら、常に私が彼に謝って自分が悪いと責めていたけど、「もう謝り続けるのには疲れた。問題の原因は私じゃない、あなた自身でしょう」と気づけたの。

付き合っている間は、「自分たちの恋愛関係の問題は僕たちの問題であって、他人には関係ないから言うべきでない」と彼から言われていたし、自分でもそう信じていた。だから、誰にも相談しなかったの。でも別れてからは、家族や友達とたくさん話して客観的に見られるようになった。本当に気持ちが楽になったし、頭の中も整理できた。そういうときは、エクササイズも頭がスッキリしておすすめ。

母と姉は勿論100%私の味方だったけど、身体的な暴力を振るわれた話をした時にすごく悲しかったのが、「私(母)もあなたのお姉ちゃんも経験したことがあるし、女の人は人生で経験することよ。あなたは強いし大丈夫、いつか立ち直れる」って言われたんだ。大したことないって軽く扱われた訳ではなく、私たちも経験してるし、サポートするって意味で励ましてくれたんだけど、いかに女性への暴力が頻繁に起こっていて、それが普通になってしまっているかと考えさせられた。

ほとんどの友達はみんな味方でいてくれたけど、数名の男友達は「カップルの問題は他人には見えない問題だし、彼は友達としては良い人だから」と自分たちには関係ないって反応だった。私はそれは間違ってると思う。悪いと知っているのに知らないフリをして沈黙を続けるのは、問題に加担してるのと同じでしょう。

元彼との恋愛を通して、自分に価値がないと思っていた

彼との恋愛で、私は自分に自信をなくしてしまったし、私のセックスライフにもそれは影響した。セックス自体は好きだったのに、彼とのセックスの後はよく泣いてたの。今は本当に素敵なボーイフレンドができて、彼は私を心から愛してくれているし、大切にしてくれてる。でも長い間、自分には価値がないと思わされていたせいで、今も本当の意味で自信を持つのがすごく難しい。
今の彼を信用してるし、彼は絶対に暴力なんて振るわないと頭ではわかっていても、少しでも悪いことがあると、精神的に傷つけられるんじゃないかと怖くなってしまう。それに、楽しくて幸せなことがあっても、今に悪いことが起きるんじゃないかと、ついネガティブに考えてしまうから、今は自分自身のそんな部分と戦っているところ。

ネガティブな気持ちになってしまった時は、家族や友達、私は強くて素敵で価値のある人間なんだって思わせてくれる人たちと話すと気持ちが楽になる。オープンになって、他人に意見を聞いて客観的に見られることもあるし、コミュニケーションってすごく大事だと思うな。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。