【ふかわりょう】出かける必要なんてない!ゴールデンウィークは映画三昧!!
●ヒマでヒマでしかたがないあなたへ
最大10日間!海外?国内?周囲が大型連休を謳歌する中、どこにも出掛けないでいる方も少なくないはず。やることもなく時間を持て余してしまい、こんなことなら連休なんてない方がいい!そんな方にオススメします。今ではタブレットで閲覧も可能なので、必ずしも自宅でとは限りませんが、基本的には、特別外出する予定のない方にとっておきのシネマをご紹介したいと思います。夜更かしのお供に、気だるい休日の午後に、どっぷり浸かってください。
ため息が出るような作品
「ミツバチのささやき」1973年スペイン/監督:ヴィクトル・エリセ
舞台はスペインの小さな村。戦争の爪痕。小さなカバンを抱えた幼い少女の視点はあまりに純粋で、ドキッとさせられます。世界で一番美しい瞳。この瞳を騙すことはできません。美しい風景。ドラマやハリウッド映画ばかり見て来た方には少し拒絶反応が起きるかもしれませんが、理解しようとせず、感じてください。
「霧の中の風景」1988年ギリシア/監督:テオ・アンゲロプロス
大好きな監督。ワンカットが異様に長い彼の作品の中では、非常に見やすい作品。まだ見ぬ父を探しに汽車に乗り込む幼い二人を待っていたのは。胸が張り裂けそうなほど、美しく、切ない。現実と非現実の間を巧みに描いています。
「永遠と一日」1998年ギリシア・フランツ・イタリア/監督:テオ・アンゲロプロス
先日他界したブルーノ・ガンツ扮する詩人の一日は、過去の回想を旅する時間。とても耽美な世界観に触れたくて、何度も見たくなる映画。どこを切り取っても非常に印象的に残るカット。
音楽が好きな方に
「シング・ストリート 未来へのうた」2016年アイルランド/監督:ジョン・カーニー
彼の音楽3部作の中でも、これが一番好きです。ミミュージカルではないけれど、音楽で語ってくれるのがとても心地いい。高校生の淡い恋心を爽快なサウンドに乗せて。アイルランドに行きたくなります。
「あの頃ペニーレインと」2000年アメリカ/監督:キャメロン・クロウ
少年が大人になる過程で出会う、素敵な大人たち。憧れ。青春の輝き。ライターという目線で描かれる、バックステージ。監督自身の経験が元になっているそうですが、登場人物が皆どこかユーモラスで、音楽が好きじゃない方でも十分楽しめます。
「スクール・オブ・ロック」2003年アメリカ/監督:リチャード・リンクレイター
とても痛快。音楽愛に溢れています。「天使にラブソングを」「ブルース・ブラザーズ」とかが好きな人は、もう見ているでしょうが、もしまだという方は是非!お酒でも飲みながら観るのにいいでしょう。エンドロールまで楽しめる映画って、最高です。
心がじんわり温まる
「スモーク」1995年アメリカ・日本・ドイツ/監督:ウェイン・ワン
いいなぁ。本当に素晴らしい映画。人の温もりがじわーっと伝わって来ます。真面目なのにどこか滑稽さがある役者陣の演技と個性。やはり、ハーヴェイ・カイテル最高です。
「赤い風船」1956年フランス/監督:アルベール・ラモリス
絵本を映画にしたような素晴らしい作品。映画って素晴らしい。誰もが優しい気持ちになれます。人生の最後に観たい35分。
「バグダッド・カフェ」1987年西ドイツ/監督:パーシー・アドロン
一世を風靡しましたが、もしかしたら若い世代の方はご存知なかったりするのでしょうか。曲自体はどこかで耳にしているかもしれません。おしゃれ映画の金字塔ですが、単なるおしゃれで片付けてはいけない作品。
ロードムービー
「ストレイト・ストーリー」1999年アメリカ・フランス/監督:デヴィッド・リンチ
ツイン・ピークスやロスト・ハイウェイなど、難解な作品が多い中で、デヴィット・リンチ異色のハートウォーミングなロードムービー。非常にシンプルなのですが、ただシンプルという言葉で片付けてはいけません。登場する人物それぞれに、奥行きと繊細さがあり、そのへんを丁寧に描いています。時速8㎞だからこその景色、出会いに心温まります。
「春にして君を想う」2001年アイスランド・ドイツ・ノルウェー/監督:フリドリック・トール・フリドリクソン
舞台はアイスランド。大自然から都会に漂着した老人の逃避行。途中、妖精が現れたり、天使としてブルーノ・ガンツが。あえてロードムービーに入れましたが、深夜、ぼーっと眺めているだけでもいいくらい、美し光景を堪能できます。
「イントゥ・ザ・ワイルド」2007年アメリカ/監督:ショーン・ペン
最高の一言。これさえあれば、どこかに出掛ける必要はありません。最高の旅ができるでしょう。道中に出会う人々がまたいいんですよ。ラスト・カットはしばらく頭から抜けなくなります。
恋愛
「エターナル・サンシャイン」2004年アメリカ/監督:ミシェル・ゴンドリー
泣く子も黙る、ミシェル・ゴンドリーと、チャーリー・カウフマンですから、まぁすごいですよ。それに加えて、ジョン・ブライオンの音楽。思わずサントラCDを買ってしまいました。音楽を聴くだけで今でも泣きそうになります。もちろん、ジム・キャリーも素晴らしい!
「バッファロー’66」1998年アメリカ/監督ヴィンセント・ギャロ
気が小さいのに強がる男と、それを優しく包み込む女性のやりとり。ヴィンセント・ギャロはかっこいいし、ちょっとふっくらしたクリスティーナ・リッチも最高!「YES」の曲の使い方も秀逸です。PARCOが好きそうな、おしゃれ&ハイセンスで笑える映画です。
「しあわせ」1998年フランス・カナダ/監督:クロード・ルルーシュ
映画「男と女」の名匠クロード・ルルーシュが送る、愛と感動の120分。人生って、素晴らしい。ちょっと、重たい時間が続きますが、必ず最後は救われます。
「ベティ・ブルー/愛と激情の日々」1986年フランス/監督:ジャン=ジャック・べネックス
この映画を語ることはもはやナンセンス。本能のままに愛し合う二人を優しく包み込むピアノの音色。まだ観ていない方は、是非ご覧ください。
元気になりたい!
「コヨーテ・アグリー」2000年アメリカ/監督:デヴィッド・マクナリー
実在する、コヨーテ・アグリー・サルーンが舞台となっています。ちょっと落ち込んでいたり、元気を出したい時に効く映画です。
「潜水服は蝶の夢を見る」2007年フランス/監督:ジュリアン・シュナーベル
主人公の芝居もさることながら、これが実話というのだから衝撃です。希望を捨てないことの偉大さ。「ラ・メール」が流れるタイミングが絶妙すぎて、鳥肌立ちます。やはり、フランス人のセンスはすごいです。
「ミスター・ディスティニー」1990年アメリカ/監督ジェームズ・オア
かつて通っていた小さなレンタルビデオ屋さんの店長におしえてもらった映画。日本ではあまり知られていませんが、とても作品でした。そのお店は閉店し、どこで見られるかわかりませんが、ひょっとしたらどこかの小さなビデオ屋さんにあるかもしれせん。
狂気の世界
「時計じかけのオレンジ」1971年アメリカ/監督:スタンリー・キューブリック
言うまでもなく、スタンリー・キューブリックの代表作。原作があるとはいえ、70年代の作品とは思えない世界観。音楽の使い方が絶妙です。
「es[エス]」2001年ドイツ/監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
これも実話を基にした映画ですが、偶然出会った女性への想いや、人生賛歌の音楽が、彼らの狂気をより強調させます。
「ノーカントリー」2007年アメリカ/監督:イーサン・コーエン、 ジョエル・コーエン
ハビエル・バルデムのハマりっぷり。あの色男が、どこか滑稽でもある凶悪な男を演じるとは。観ている者に想像させる演出は、さすがコーエン兄弟。
オムニバス系
「美しい人」2005年アメリカ/監督:ロドリゴ・ガルシア
原題は「NINE LIVES」。いろんな環境に置かれた女性たちの人生における数分間を描いたオール・ワンカット映画。切り取られた数分間が、その余白を想像させます。
「10ミニッツ・オールダー」2002年
ヴィクトル・エリセ、ジム・ジャームッシュ、ベルナルド・ベルトリッチ、ヴィム・ヴェンダース、アキ・カウリスマキ、ゴダールまで名を連ねる、巨匠たちの描く10分。こんな夢のようなオムニバスが存在するんですね。1日1作品でもいいのですが、観だすと止まらないでしょう。
「コーヒー&シガレッツ」2003年アメリカ/監督:ジム・ジャームッシュ
ジム・ジャームッシュワールド、ここにあり。全てモノクロで描かれていますが、一つ一つのセリフの重み。日本人だと意味を理解できない場合もありますが。禁煙中の方は見ちゃダメですよ。
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ということで、たくさん並べてしまいました。人間性や価値観が露呈してしまいますね。もしご興味のある方はぜひこの機会にご覧ください。
タイトル写真:坂脇卓也
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