ヒマでヒマでしかたがないあなたへ

フェミニズムの最前線を感じられる、世界が注目する本を紹介します

長い休日には毎日見ているケータイやパソコンの液晶画面、たまには電源を落として、ゆっくりしたくなりませんか?そんな時に良いのはやっぱり読書。今回は私がオススメの本を紹介したいと思います。普段あまり本は読まないという人も、本と小銭を少しだけ持ってお散歩に出かけてみたり、小さな本を常にカバンに入れておいたりすると、ついSNSを見てしまうような時間を読書に置き換えやすいのでおすすめですよ。

●ヒマでヒマでしかたがないあなたへ

最初は韓国人作家ハン・ガンの『菜食主義者』(発行:cuon)。イギリスの文学賞・ブッカー賞を受賞するなど、日本含め海外でも話題になった作品なので知っている方も多いのではないでしょうか。

普通の主婦がある日突然肉を食べることを拒否し、そこから壊れていく彼女と周りの人々。詩的でダーク、エロチックで少しグロテスクなこの小説。村上春樹が好きな人には是非おすすめです。私は読み始めたら止まらなくて一気に最後まで読んでしまいました。

オーストリア、ウィーンの世界一美しいと言われる国立図書館

同じく韓国の本で今話題の『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ/筑摩書房)は私もまだ読んでいませんが、韓国文学はここ数年かなり話題になっているので、今後もっと読んでいきたいなと思っています。

名作だから名前は知っているけれど、実は読んだことはない、という作品も多いのではないでしょうか?三島由紀夫の『仮面の告白』(新潮文庫)は、初めて読んだ時に衝撃を受けました。自伝的小説であるこの作品は男性性やセクシュアリティ、同性愛をテーマに書かれています。

イギリスの名作からはエミリー・ブロンテの『嵐が丘』。映画化も何度もされているこの小説は、キャラクターたちの感情が爆発しすぎていて、読んだ後私自身も感情が昂ぶっているのを感じました。読んでいると、イギリスらしい寒々とした風が強い野原の風景が目に浮かんでくるので、イギリスの歴史やドラマに興味がある人は是非。

欧米出身ではない作家だから描ける世界

同じイギリスから、現代作家アンジェラ・カーターの『新しきイヴの受難』(国書刊行会)は性やフェミニズム、宗教をテーマにした作品で、読んでいてどんどん引き込まれるパラレルワールド。ちょっとSFファンタジーっぽさもありな作品です。

たまには日本やイギリス、アメリカ以外の本も読みたい方にオススメの2冊。エジプトのフェミニストで作家、医者であるナワル・エル・サーダウィによる『0度の女ー死刑囚フィルダス』(三一書房)。著者が実際に死刑囚のエジプト人女性にインタビューし、彼女が語った人生を作品にしています。何故彼女は死刑囚になったのか。
エジプトで生きる女性が直面する、幼い頃から始まる性被害や強制的な結婚に暴力。読んでいて辛くなりますが、今でもエジプトだけでなくそういった環境で生きる女性が沢山いると思うと、自分には何ができるのだろうと考えさせられます。

同じ北アフリカ・モロッコからは、『ハーレムの少女ファティマ』(ファティマ・メルニーシー/未来社)。男性なしでは外を出歩けないなど、女性に自由が少なかった時代のモロッコで育った少女の目線で描かれる母や周りの女性たちの人生。
時代が変わっていくなか、教育を受けられなかった母は、学校に通える娘ファティマ(著者)に「あなたは私たちより良い人生を送れる、世界を変えるのよ」と言います。ファティマはその後、モロッコで初めて海外(フランス)で博士号を取得した女性になりました。

世界を変える女の子といえば『世界を変えた100人の女の子の物語』(エレナ・ファヴィッリ、フランチェスカ・カヴァッロ/河出書房新社)は近年、世界中で訳されベストセラーになった児童書としてご存じの方も多いのではないでしょうか。
タイトル通り政治家、アスリート、活動家、デザイナーなどいろいろな分野の「世界を変えた女性たち」がイラスト付きで紹介されています。子ども向けですが、大人も元気をもらえる一冊です。

『日本のヤバい女の子』(はらだ有彩/柏書房)は、かぐや姫やイザナミノミコトなど日本の歴史や昔話に出てくる女性たちについて、「本当はこうだったんじゃない?」という新たな視点を与えてくれる作品。彼女たちと友達になったように、みんな色々大変だよねと、ウンウンと頷いてしまいます。イラストも可愛いし、文章も読みやすくおすすめです。

小説以外を読みたい方には『ヴァギナ 』(ナオミ・ウルフ/青土社)がおすすめ。タイトルから分かる通り1冊丸々ヴァギナ (膣)について。医学、歴史、そして文化など多方面から見たヴァギナ について語られています。
セックスや精神的、身体的なことからヴァギナにどんな影響が出るのか、歴史的に社会やアートの中でヴァギナがどう見られ使われてきたりしたのかなどが解説されていて、身体って面白いな〜と、すごく勉強になります。情報量も多く分厚い本なので、長いお休みにぴったりです。

時間がある時こそ普段は読まないジャンルの本や分厚くて時間がかかりそうな本を読んでみたり、何冊読む!と目標を決めて読んでみたりするのもいいかもしれません。それでは良い休日を。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。
ヒマでヒマでしかたがないあなたへ