Ruru Ruriko ピンク 57

Free the nipple? 好きな服を着たら安心できないなんておかしくない?

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。本格的な薄着シーズンがやってきた今回は、数年前に海外で盛り上がりを見せ、今では定着しつつあるFree the nippleについて考えます。ノーブラはラクだけど、薄着の時は恥ずかしい。もしノーブラが原因で危険な目に遭ってしまったら……。Rurikoさんはどう考える?

●Ruru Ruriko ピンク 57

どんどん暑くなり本格的に夏がやってきますが、みなさんお元気ですか?

薄着の季節になる夏、一枚でも着るものを減らしたいくらい暑くてベトベトしますよね。
私は家に帰ったら即座にブラを外してTシャツ1枚に着替えます。

冬はブラジャーをしてないことも多いのですが、夏はやはり気になるので、なしはなかなか難しい……でも夏こそ邪魔で邪魔で仕方なく感じてしまいます。

Free the nippleとは?

このコラムでも何度か「服装とフェミニズム」について取り上げてきましたが、みなさんは「Free the nipple(日本語訳では乳首解放運動)」について聞いたことはありますか?
これは2012年ごろから出てきたフェミニズム運動のひとつで、男性は乳首が出ていてもいいのに、なぜ女性の乳首は性的で人前で出してはいけないのされているのか、それは不平等だと訴える動きです。
SNSでも男性のトップレス写真はOKなのに、女性の場合は削除されることに反対して、多くの女性アーティストがトップレス写真を投稿したことでも話題になりました。

2020年になった今、私が知っている限り、欧米の若い女性の間ではノーブラはかなり浸透していて、特に驚くべきことでもないし、電車などでもノーブラの女性は普通にいるなという印象です。

この運動が盛んだった時、私はイギリスに住んでいたのですが、当時は特にノーブラになりたいとも思っていなかったし、あまり積極的に賛同していませんでした。

しかし、ここ最近は本当にノーブラは楽でいいなと思っています。
私もFree the nippleしたい!と思う反面、日本ではノーブラだとわかるような格好で外に出たらジロジロと見られてしまいますよね。

そんなことを気にする必要はない、好きなように好きな服を着ればいい!私自身、そんなせりふを今まで何度も言ってきたし、今もそう信じています。それでもジロジロ見られるあの不快感に耐えるのもつらい。私が気にしないと言ったって、見られることには変わりはないし、それでも気にしないでいられる人はいいのですが、私のように気にしてしまう人も多いでしょう。でも、なぜ私たちが我慢しなきゃいけないんだ!と頭の中がぐるぐるしています。

好きな服を着てオシャレしたいのに、無難な格好をしてしまう理由は?

ノーブラに限らず、私がファッションスタイルとして好きな短いスカートやボディーラインがはっきりしている服を着ることは、ファッションを楽しみ自信を感じさせてくれます(そのような服を着る=自信が出るではなく、好きな服装は気分をよくしてくれるという意味)。
その反面、帰宅途中の夜道や1人で電車に乗っている時、友達を待っている間の他人からの視線や時には「こんな服着てこなきゃよかった」と思わされることが多々あるのも事実です。

最近は思い切り好きな服を着てオシャレをしたいと思う一方で、いろいろなことを考慮すると、なんだかいつも同じような無難な格好をしてしまう自分がいます。

ノーブラになりたい人なりたくない人両方がいて、選択は個人の自由です。でも、女性が安全を考えて服装を選ばなければならないという現実があるということは本当に残念ですし、今後変わっていくべきことだと思います。
日本でもここ数年、性的同意について認知度が高まってきましたが、いまだに女性の服装などで性的に同意したとされてしまう、被害があった場合に被害者側の服装を責められることがあります。

好きな服を安心安全に着られる世の中に

私は今、私がノーブラで外に出て何かがあったときにそれは私の服装のせいではないし、それで判断されるべきではないと分かっています。しかし、何かがあるかもしれないという可能性について心配しなくてはいけないことが嫌でなかなか自由にできていません。

周りにも私と同じように感じている友人がいるので、みんなでノーブラでいれば気にならないかなと話したりしています。実際に友人といる時は安全に感じるし気になりません。
まだ視線を気にして、窮屈に感じる時も多いですが、少しずつでも好きな服を安心安全に着られる世の中になったらいいなと思っています。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。