女子アナの立ち位置。

家族や周りの人に、素直な「感謝の気持ち」を伝えるコツ【古谷有美】

ミレニアル世代ど真ん中のTBSアナウンサー古谷有美さんによる、テレビとは一味違う本音トーク。なかなか上手に伝えられない「感謝の気持ち」、古谷さんならどう伝える?

●女子アナの立ち位置。

<愛媛県の大学生さんからのご質問(一部抜粋)>
僕は今、就職活動をしています。就職活動を通して多くの人と話す機会があり今の自分がいるのは家族や友達のおかげだとしみじみ感じ感謝の気持ちでいっぱいです。 就活を無事に終えたら周りの人に感謝の気持ちを伝えたいのですが、なんだか照れくさいです。古谷さんは感謝の気持ちを伝えるときはどうしていますか? コロナが治ったら僕が住んでいる愛媛県にもぜひ遊びに来てください!

子どもの頃の話をすれば、自然に感謝が伝えられるはず

私はもともと、人に感謝を伝えるのが好きなほうなんです。
お世話になっている仕事関係の方々や、大好きな友達には、ちょっとしたお礼のギフトやカードを渡すこともしばしば。ステイホームで会えないときには、ふとお花を贈ったりしていました。そういうささやかな贈りものを、年々、素直にできるようになってきている気もします。

でも、関係が近い家族には、ちょっと気恥ずかしいもの。
しょっちゅう連絡は取っているけれど、「いつもありがとう」なんて言葉は、やっぱりなかなか言うきっかけがありませんね……。そういう改まった感謝は、お誕生日や記念日みたいに、なにか特別なタイミングまで取っておこうと思ってしまいます。

親子仲がよいアラサー女性の私でさえ、そうなんです。
大学生の男の子だったら、もっと照れくさいのではないでしょうか?

そこでひとつ、おすすめの方法があります。
「家族から、自分が子どものころの話を聞くこと」です。

「僕が小学生のとき、どんなごはん作ってくれてたんだっけ?」「サッカーの試合、見に来てくれてたよね?」などというように、親御さんに昔のことを尋ねてみてください。

「あのとき、ママはこうしたかったんだけど、あなたがこんなことを言ったんだよ」「えっ、そうなの? わがままな子でごめんね、ありがとう!」なんて……親から自分への愛情をしみじみ感じたあとは、自然に感謝の気持ちが伝えられると思います。
いまだったら、親御さんが社会人になるときのこと、就活のときの話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。

いまの自分があるのは、確かに家族のおかげ

私は就活のとき、とにかく自分自身と対話した記憶があります。子どものころから好きだったこと、いまも大切にしていること、これからしたいこと。いろんな思い出を手繰り寄せて、自分のことを見つめ直していきました。

そこで出てきたキーワードのひとつが「英語」です。
昔から英語がすごく好きだったので、アナウンサーになって海外の人にインタビューをしたり、旅ロケに行ったりしたいと思っていたんですね。

そして、なぜ自分が英語を好きになったか振り返ってみると、家庭環境が大きく影響していると感じました。8歳上の姉が英語教室に通っていて、親から「みんみんも行ってみる?」と誘われたのが、私と英語との出会い。それで英語が大好きになり、ずっと楽しく勉強を続けてきて。いま英語が話せるのは、そんなきっかけがあったおかげです。

共働きの両親なのに、習い事にはいつも、車で送り迎えをしてもらいました。月謝袋をこっそり見てみたら、5000円くらいのお札が入っていて「私のためにこんな大金を払ってくれているんだ……!」と思ったことも覚えています。

いまの私がいるのは、そうやっていろんなサポートをしてくれた家族のおかげなんですよね。豊かな土壌をつくり、可能性の種と水を与えてくれたから、ちょっとずつ根を張って、いくつか花を咲かせることもできました。子どものころにしてもらったことが、確かにいまの仕事や人生に、活きています。

「ちょっとした連絡」をまめにするだけでも、気持ちが伝わる

そういえば先日、いつもお世話になっているかなり目上の仕事関係の方から、あるメールをいただきました。「仕事で自己肯定感が低くなったとき。「親の気持ち」と「ルーティーン」で乗り切る!【古谷有美】」のコラムへの感想です。

内容は「新社会人ばかりでなく、おじさんも、少し気が楽になりました」……といったもの。

最後には「つまらないメールをしてしまいました」なんて自嘲ぎみな言葉が添えられていたけれど、私、すごくうれしかったんです。読んでくださるだけでもありがたいのに、そこからわざわざスマホやパソコンを開いて、メールを打ってくださるというアクションが、本当にうれしい。

ダイレクトな感謝の言葉じゃなくても、こういう「あなたの頑張りを見ているよ」という一言って、すごくパワーになるんですよね。
私も、そういうちょっとした連絡をまめにできる人でありたいなと思いました。そんな習慣ができていれば、日ごろの感謝を伝えることも、すこし上手になるかもしれません。

愛媛県、行きましたよ!

そして最後に。じつはしばらく前、ちょうど愛媛県に遊びに行きました!
新型コロナウイルスで外出できなくなる前に、松山の温泉に行ったんです。どこを見渡しても柑橘系の木が茂っており、すごくフレッシュな香りがそこかしこに広がっていて……とても癒される場所でした。

愛媛、本当にいいところですよね。また心置きなく遠出ができるようになったら、ぜひ再訪したいです。

コメントをいただいてからお時間が経っているので、もう就活は終わっているかもしれませんが……もしまだ続けていらっしゃるなら、納得のいく仕事と出会えますように。応援しています!

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。