女子アナの立ち位置。

仕事で自己肯定感が低くなったとき。「親の気持ち」と「ルーティーン」で乗り切る!【古谷有美】

ミレニアル世代ど真ん中のアナウンサー・TBS古谷有美さんによる、テレビとは一味違う本音トーク。今回は読者の方からの相談にお答えしています。

●女子アナの立ち位置。

<みずきさんからのご質問(一部抜粋)>
今年、新社会人として看護師になりました。 日々慣れない環境と人間関係の中で気を張り詰めながら、なんとか仕事を覚えようと頑張っています。

『今の私の態度、先輩に嫌われたかな?』、『今の返事、もっとシャキッと出来たんじゃないか』、『あの先輩、私の仕事の出来なさ具合にイライラしてるな』などと、他者からどう思われているかばかりを気にして、自己肯定感が低く低くなってしまいます。

自分の親が「いまの私」を見たら、どう思うかな?

まずは、みずきさん、コメントありがとうございます!

私の日々の心構えは、とてもシンプルです。
仕事でどんな大失敗をしても「自分の親が、いまの私を知ったときにハッピーでいてくれたら、それでいいや」と思うこと。

たとえ仕事や恋愛でまったく成果が出せなくたって、ギリギリなんとかやれていれば、親は私のことを笑って見ていてくれると思うんですね。「私が仕事を覚えられない」よりも「私が毎日くよくよと泣いている」ほうが、悲しませてしまう気がします。

もちろん、恋人や友達といった、ほかの大切な人でもかまいません。自分がずたぼろの雑巾みたいに思えちゃう日は、そんな大切な人の顔を思い浮かべて、ポジティブな気持ちを取り戻すようにしています。

先輩だって、最初は新人だったんだから

とはいえ、つい先輩や周囲の目が気になってしまうこともありますよね。
入社したばかりの自分に比べて、先輩方のほうが仕事ができるのは当たり前。そんな方々と一緒に働けば、どうしても「できない自分」ばかり目についてしまうと思います。

私たちの場合、同じ現場にアナウンサーが二人いることって、基本的にありません。
直接比べられないのは気楽かもしれないけれど、目の前にお手本がないため、いつも手探り。だから、身近に「お手本」となる人がいるみずきさんが、ちょっぴりうらやましくもあります。いい部分も悪い部分も、先輩方から見て学んで、どんどん自分を成長させていってください。

どんな先輩だって最初は同じ「新人さん」だったんです。でも、いま目の前にいる先輩はみんな、バリバリ仕事をこなしていますよね。だったら、みずきさんも私も、頑張れば必ず先輩のところまでいけるはずです! 自分を信じていきましょう。

「働く前の自分」と「働き出してからの自分」は、違っていい

仕事が終わってホッと一息ついても、仕事に就く前の自分と現在の自分が同一人物ではないような気がして、『自分らしかった自分はどこに行ったのかなあ』と悶々とする日々です。

有美さんは、新社会人として働くようになってから『自分らしい自分』というものを模索したり、見失って葛藤したりすることがありましたか?

働いているあいだは一生懸命に自分をとりつくろって、ようやく帰宅しても「こんなの私らしくない」と感じる……それは、とてもつらいと思います。

では、こう考えてみてください。
「仕事に就く前の自分」は、ただの「自分の一部」であって、それが「自分のすべて」ではない、と。
学生のころ、のびのびしていた自分だけを「本当の自分らしい自分」だと考えることが、逆にみずきさんを苦しめてしまっているように思えます。社会に出たんですもん、どんどん変化して当然です!

プライベートではのんびりしているタイプなのに、いま職場ではハキハキ返事をして、もしかしたら無理やり笑顔を貼りつけて、お仕事をしているのかもしれません。でも、そんな「働く自分」も、続けているうちに板についてきます。

私も仕事場では挨拶やリアクションが大きいけれど、プライベートではそれほどではありません(笑)。そして、昔はそんな「オンの自分」と「オフの自分」に、ギャップを感じていました。むしろ、10年働いているいまでさえ、どこかでその違和感を持っています。

だけど「働く自分」との付き合いが長くなるほど、「この自分がいるおかげで、物事がうまくいくこともあるなぁ」と思う瞬間も増えました。
たとえば、プライベートですごく落ち込むことがあっても「オンの自分」が「オフの自分」を引っ張り上げて、前向きにしてくれる。いまのみずきさんとは逆の現象が、起きることも出てきたんです。

だから「仕事に就く前の自分」と「現在の自分」は、同一人物じゃなくてもOK。
同一人物じゃないからこそ、どっちもいてよかったな、と思えるようになってくるんですよね。なんとなく……ですけれど。

毎朝「HP100」で出かけよう

ゲームで、打たれ強さや生命力をあらわす「HP(ヒットポイント)」ってありますよね。
私の場合は、朝食に納豆ごはんと生卵、お味噌汁を食べると、その日一日すごく元気に過ごせます。「朝ごはんでHPを満タンにできたから、今日は頑張れるぞ!」って思うんです。

みずきさんも、朝起きてから仕事に行くまでのステップのなかに、HPをチャージするためのルーティーンをつくってみてはどうでしょうか?

「大好きなこの曲を聴いて出社する」とか「コンビニでおいしいコーヒーを買う」とか、特別がんばらなくても毎日できることがいいと思います。朝が忙しければ、夜眠る前のルーティーンでもかまいません。

前日のテンションを引きずって、HP60で出勤してしまったら、ミスしたり怒られたりしているうちに、あっという間にゲージが赤になって息絶えてしまうはず。でも簡単なルーティーンで毎日回復しておけば、とりあえずいつも、HP100の状態からスタートダッシュを切ることができます。

社会人一年目で、看護師といういま最も大変な仕事のひとつに就いていること、それだけで尊敬です。すでにもう頑張っていらっしゃる方に「頑張れ」と言うのは気が引けるけれど……どうぞ、これからも頑張ってください。本当に、いつもありがとうございます。

古谷有美へのご質問、募集しています

引き続き、私へのご質問を募集しております。
この記事の下にある「コメント欄」にて受け付け中。
いただいたご質問は、このコラムではお答えできないものも含めて、私がすべて目を通しております。もしかしたら、SNSなどでも投稿のヒントにさせていただくかもしれません。

アナウンサーというお仕事のこと、わたし個人のこと、他愛ない質問まで、どんどんお寄せくださいませ。

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。