女子アナの立ち位置。

おうち時間を心おだやかに過ごすには。TBS名作ドラマもセレクト!【古谷有美】

ミレニアル世代ど真ん中のアナウンサー・TBS古谷有美さんによる、テレビとはひと味違う本音トーク。何かとこころの曇ってしまうこの時期に、古谷さんとひとやすみしてはいかがでしょうか。

●女子アナの立ち位置。

オンエアがあるかぎり、テレビの役目を果たす

毎日のようにショッキングなニュースが飛び込んできますね。気分を晴らそうにも、なかなかお出かけができない……。リモートワークができる業種ならいざ知らず、お仕事さえままならない方も、大勢いらっしゃると思います。

私たちテレビ局は、オンエアがあるかぎり、仕事を続けなければなりません。そのために「不要不急を慎む」「3密を避ける」という要請に対して、完璧なアクションができないこともあります。でも、社内で人が集まる機会を減らしたり、放送中でも出演者同士の距離を大きく離したり。ドラマやバラエティは一部の収録を見合わせるなど、できるかぎりの努力をしている状況です。

多くの人にアプローチできる「テレビ」を通じて、正確な情報を伝え、必要な警鐘を鳴らすのが私たちの仕事。その一方で、いつもどおりのやわらかな気持ちになっていただくのも、大切な役割です。こんなときだからこそ、テレビを見てラジオを聴いて、楽しい気持ちにもなっていただきたい。「あってよかった」と思っていただけるように、毎日コンテンツをお届けしています。

お料理にテレビ電話、先々の楽しみを想像……ゆたかなおうち時間

もちろん、お仕事のないときには、私も「おうち時間」を過ごしている一人。どうせ外出を自粛するなら、家で心地よい時間をおくりたいものです。

自宅でできる楽しいことはいろいろあるけれど、私の一番は「おいしいものを食べる」こと。最近はSNSでも、餃子をつくったり、パンやケーキを焼いたり、すこし凝ったお料理をしている人が増えたように思います。私もそれにならって、丁寧なお料理を満喫中。

ほこりをかぶっていたレシピブックを引っ張り出して、ストウブでの煮込み料理にハマっています。普段の自炊はつい、冷蔵庫にある材料を優先したり、足りない調味料はなにかで代用したりしてしまいがち。でも、家にいる時間が長いいまだからこそ、ちゃんとレシピどおりの食材を用意して、レシピに忠実な料理をつくります。

「お腹すいたからなにかつくらなきゃ」ではなくて「このお料理をつくってみたい!」で腕を振るうのは、なんだかとても素敵なこと。ハッシュタグ「#ていねいなくらし」よろしく、とても贅沢な時間の使い方をしているなぁ、と感じます。

それから、普段は時差でなかなかタイミングが合わない海外のお友達と、テレビ電話。国内の友達とリモートランチ、リモート飲み、なんて機会も増えてきました。画面越しでも、顔を見て話せるのはよい気分転換になります。

あとは、海外の写真集やお洋服のECサイトを見るのもおすすめです。「ヨーロッパの〇〇に行きたいな」「こんなお洋服を着て、出かけたい」なんて、いつか状況が落ち着いたあとの楽しみを想像しましょう。小さくてもいいから、先々の楽しみを蓄えておく。それだけで、この毎日をすこしだけおだやかに過ごせる気がします。

古谷有美セレクト! TBSの名作ドラマ

あとは、古いドラマを観るのもいいですよね。TBSの過去ドラマから、私の好きな作品をいくつかピックアップしてみました。いずれも『Paravi』で視聴できます(2020年4月10日現在)。

『凪のお暇』(2019年)
このコラムでも何度か書きましたが、すごく好きな作品です。黒木華さんも高橋一生さんも、もともと大好き。誰も傷つけない、かわいらしいダメな人がいても悪者はいないドラマだから、安心して楽しめます。いまの状況も「お暇」だと思えるかもしれません。

『ビューティフルライフ』(2000年)
木村拓哉さんと常盤貴子さんはいまでも素敵だけれど、このドラマではとくに“黄金時代”を感じます。当時、中学生くらいだった私にとって、大人へのあこがれがつまった作品です。

『オレンジデイズ』(2004年)
柴崎コウさんのかわいさに、言葉を失いました。主人公たちは、当時の自分よりちょっとだけ年上。数年後にキャンパスライフをおくる理想の自分を、おこがましくも重ねながら見ていました。同世代でこういう方、たくさんいらっしゃるのでは?(笑)

『SPEC』(2010年)
大人になってからハマったのは、こちら。たしか社会人になる直前だったように思います。先日ちょうど全話無料公開されていたのを見返して「TBSって、こんなにしゃれたドラマをつくっていたんだなぁ」と誇らしくなりました。

あらためて振り返ると、本当に名作ぞろい! オリンピックが延期になって放送する番組に困ったら、いっそ過去のすばらしいコンテンツを再放出してもいいのでは……? と思えてきます。先日も「どんな作品が見たい?」という話で、マスクが息苦しくなるほど、思いきり盛り上がりました。

小さな危険をひとつずつつぶしていく、だけでいい

自粛とはいえ、おうち時間をこんなふうに楽しめるのも、その裏側で毎日頑張ってくださっている方々がいるからです。医療従事者のみなさまには、本当に感謝しかありません。そういう専門的な技術をもたない私たちは、しずかに家にこもって、力を蓄えておきましょう。

いま、この世界をがらりと変えることは、きっと誰にもできません。だけど、自分や周りにいる人を守ったり、笑顔にしたりすることは、誰にでもできるはず。どんなにささいなアクションだっていいんです。神経質になりすぎる必要はないけれど、小さなことの積み重ねが、たしかに安心につながります。

いつどこで、自分が感染するかもしれない。大切な人たちに、ウイルスを広めてしまうかもしれない。そんな危険が身の回りに100あるとしたら、それをひとつずつつぶしていくのは、いまこの瞬間から自分にできることだと思っています。

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。