#ミレニアルズのモヤモヤ考察

副業って、ホントにやってる人いるんですか?興味がある人は7割、でも実際は・・・

働く女性たちを徹底研究している「博報堂キャリジョ研」のメンバーが、同世代のミレニアル女性たちのモヤモヤについて、熱い思いと豊富な分析資料を交えあれこれ考える連載。第4回は、「副業ってよくきくけど、みんな本当にやっているの?」との疑問にお答えします!

●#ミレニアルズのモヤモヤ考察04

社会人年次が上がり、募る焦りとモヤモヤ

4月ははじまりの季節。と言われるけれど社会人年次が繰り上がっただけの私は、舞い散る桜を目で追いかけながら「また一年上がってしまった……」とあいまいな焦燥感を覚える。SNSのタイムラインには定番の【ご報告】から始まる、転職や結婚などのニュースが並ぶ。Instagramのストーリーでも、ほぼ毎週末、誰かの新たな活動レポートが流れ込んでくる。学生時代に熱中していた音楽をもう一度はじめた人もいれば、webメディアでコラムを書き始めた人も。
最近特に目立つのは、副業・兼業に関する近況報告だ。いきなり副業をスタートするというよりは、趣味の延長でゆるく活動していたら自然と副業につながった……というケースが多いように感じる。
思えば「副業元年」といわれた2018年からもう2年が経つ。世の中の流れを見ても、オープンイノベーション的な文脈で会社への還元を視野にいれ、副業解禁を表明する企業が増えている。

副業への意識と実態。あなたの同僚も、副業してるかも?

では、実際に副業をしている人はどれほどいるのだろうか。調査データを見てみると、働く女性のうち、何らかの副業を実践しているのは15%ほど。(*1) だが、「可能であれば副業をしてみたい」と副業への興味を持っている人はなんと全体の7割にも及ぶ。(*2)

また、世代別に見るとより若い層の方が副業に意欲的なことがわかる。人生観・キャリア観をヒアリングしたところ、20代前半の若年層では「数年後さえも、どんな時代になっているか予想できないので、いつでも職や住まいを変えられるよう身軽でいたい」「今の仕事は修行期間。いずれ好きなことを仕事にして生きたい」などの意見が多く聞かれた。(*3)

このような「好きなこと」「身軽さ」という視点を考えると、もはや副業とは「本業以外の収入源」という意味合いにとどまらず、ある人にとっては次のキャリアを模索するための助走期間だったり、ある人にとっては自分の“好き”や“得意”を叶えるささやかな自己実現だったりするのだろう。

自分の「できる」が誰かの「ほしい」に

「副業」というと、一昔前はアフィリエイトや株式投資などが主流だったように思えるが、今はずいぶんと副業の幅が広がったのではないだろうか。試しに検索してみると、実に多様なジャンルにおいて、需給のマッチングを生む環境が整えられていることがわかる。
まず手軽に取り組めるものとしては、アンケートモニターやアプリレビュー、データ入力などが挙げられる。これらはクラウドソーシングを使って、自分のできることやそのレベル・量に応じて単発で案件を受注できる。趣味や特技を活かすならば、手作りのアクセサリーをハンドメイド専門ECで販売したり、イラスト制作の依頼を受けたりすることもできる。

事務作業もモノづくりもできない!という人でも、たとえばフリマアプリで要らないコスメや雑貨を販売したり、貯金を元手に民泊を始めたり、と工夫次第でいつでも自分なりのビジネスを始められるだろう。
また、SNSを上手く使えば個人名で指名をもらい活躍することも夢ではない。周りを見渡すと、美容やグルメなど自分の好きなことについてSNS・ブログで発信し続けた結果、PRの仕事や記事の執筆依頼を受けている人も多い。書籍出版やテレビ出演を果たした人だっているのだ。

副業デビューはすぐそこに。今この時代に働ける幸せ

膨大な量の情報を、一瞬で高密度に届けられるようになった今日。一人ひとりの働き方に意識が向いているこの世情は、副業の追い風になるはずだ。そして、「副業」だからこそ挑戦できること、失敗できることがある。副業は自分の市場価値を知るバロメーターであり、失敗の経験値も得られる挑戦の場でもあるのだ。組織の事情や制約にとらわれることなく、自己責任のもと自由に活動できる機会だととらえれば、「副業」に取り組む心理的ハードルも下がるのではないだろうか。

“パラレルキャリア”(=本業や一つの組織に依存するのではなく、第2の活動にも自身の時間と労力を費やす生き方)の概念をドラッカーが提唱したのはもう20年以上も前のことだ。彼が指し示したように、今泳いでいる生けすからときどき飛び出して、新たな世界や居場所を見てみるのもいいかもしれない。むしろ、これから私たちに求められるものは、副業や課外活動で得た経験とそこで身につけた度胸、そしてそれらを自身のキャリアや本業に還元する力かもしれない。

【データ出典】
*1 ミレニアル女性意識調査
2020年1月実施 インターネット調査(全国)、20~30代の未婚女性150名が対象
*2 若い世代の働き方やリフレッシュの意識と実態に関する調査
2019年2月実施 インターネット調査(7大都市エリア)、20~34歳有職子なし男女1,351名が対象
*3 世代別キャリア・人生観についてのグループインタビュー調査(都内)
2020年1月実施 22〜41歳有職女性16名が対象

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「働く女性」(キャリジョ)をテーマに、博報堂&博報堂DYメディアパートナーズの女性プランナーやプロデューサーで立ち上げた社内プロジェクト。女性のトレンドを集めたインサイト分析や有識者ヒアリング、定性・定量調査やクラスター調査などから「働く女性」を徹底的に分析し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしています。