片づけの本だけど「捨てる」本じゃない。「何を残すか」を決める本
●本という贅沢80『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)
今月のテーマは大掃除!
物理的な大掃除もメンタルの大掃除も、いろいろあるよなあ……と思って本棚を眺めていたら、超絶安直だけど、やっぱ最初はこの本しかないでしょってなりました。
Netflixで全世界でも話題騒然の、こんまりさんこと、近藤麻理恵さんのミリオンセラー『人生がときめく片づけの魔法』です。ときめき、英語風にいうとスパークジョイね。
まだ読んでいない人のために、この本の骨子をひとことで紹介すると
ときめくものは残す。
ときめかないものは捨てる。
本当にひとことで言えてしまうくらい、ものすっごくシンプルで、ちょっとぶっとんだメソッドが、世界中を席巻した。
なんでだろう。なんでだろう。ほかの断捨離本や整理術と何が違うのだろう。そんなことを考えながら、過去に何度もこの本を読んだ。
で、3回目に読んだ時に、「はっ」と気づいたことがあったんですよね。それは、
この本が、「物を捨てる」本じゃなくて、「残すものを決める」本だったのか!ということです。
そう考えると、片づけをすると人生がなぜか上向いていくという、彼女のクライアントの変化もよくわかります。
なぜ片づけだけで人生が上向くのか。
それは、片づけを通して「不要なものを捨てる→快適になる」からではなく、「自分にとって大切なものは何かを考え選び取る→自分のことを大切にする」行為だからだ!
いま、多くの女性(とくにtelling,世代の女性たち)が、自分がどうしたいのか、どの方向に向かえばいいのかが、わからなくなって悩んでいると聞く。
そういう女性には、まず、この本を読んで、部屋を片づけすることをおすすめしたい。
片づけ? と思うかもしれないけれど、これがなかなかどうして。この本を読んで真剣に取り組むと、自分がどんなものに囲まれて生きていきたいか。つまり、自分がどんな自分になりたいかが、見えてくるなあって思います。
2019年の大掃除は、片づけしながら、自分のこともすっきり整理しましょ。
・・・・・・・・・・・・・・
この本は2011年、震災の直前に出版された本なのだけれど、いわゆる「女性実用」と言われる、「ファッション、くらし、美容」などの分野は、この本以前とこの本以降で明確に線引きされると、私は思っています。
実用的(ファッション、料理、メイク、掃除、ダイエット……etc)なことがうまくいくと、自分の人生を自分でドライブすることができるようになる。
そんなメッセージを明確にしていく本が増えたなあと感じます。
そんな本のひとつが、こちら。
料理だけじゃない。これは生き方を教えてくれる本
よかったら、こちらもどうぞ。
・・・・・・・・・・・・・・
それではまた来週水曜日に。
●佐藤友美さんの新刊『女は、髪と、生きていく』11月27日発売!
『女は、髪と、生きていく』
著:佐藤友美
発行:幻冬舎
telling, の本の連載でもおなじみ、ヘアライターとして20年近く活躍されてきた佐藤友美さんの新刊が発売になりました。 ファッションより、メイクより、人生を変えるのは「髪」だった! 本当に似合う髪型を探すためのヒント満載の1冊です。
佐藤友美さんのコラム「本という贅沢」のバックナンバーはこちらです。
●『三体』(劉 慈欣/早川書房)/半径5メートル以内で一喜一憂している人生にカンフル!
●『読みたいことを、書けばいい。』(田中泰延/ダイヤモンド社)/なぜ私はこの本が嫌いなのか。嫌いだと思い込んだのか。
●『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(中川淳一郎/星海社新書)/やればできる子なんですと言い続けて、はや何歳になられましたか