本という贅沢80『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)

片づけの本だけど「捨てる」本じゃない。「何を残すか」を決める本

毎週水曜日にお送りする、コラム「本という贅沢」。12月のテーマは「大掃除」。 書籍ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんが、夜の長いこの季節におすすめの本を紹介します。今回取り上げるのは近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)。彼女が「KonMari(こんまり)」として世界を舞台に大活躍するきっかけとなったこの一冊。多くの支持を集めた理由とは、何だったのでしょうか。

●本という贅沢80『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)

『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)

今月のテーマは大掃除!
物理的な大掃除もメンタルの大掃除も、いろいろあるよなあ……と思って本棚を眺めていたら、超絶安直だけど、やっぱ最初はこの本しかないでしょってなりました。
Netflixで全世界でも話題騒然の、こんまりさんこと、近藤麻理恵さんのミリオンセラー『人生がときめく片づけの魔法』です。ときめき、英語風にいうとスパークジョイね。

まだ読んでいない人のために、この本の骨子をひとことで紹介すると

ときめくものは残す。
ときめかないものは捨てる。

本当にひとことで言えてしまうくらい、ものすっごくシンプルで、ちょっとぶっとんだメソッドが、世界中を席巻した。

なんでだろう。なんでだろう。ほかの断捨離本や整理術と何が違うのだろう。そんなことを考えながら、過去に何度もこの本を読んだ。
で、3回目に読んだ時に、「はっ」と気づいたことがあったんですよね。それは、
この本が、「物を捨てる」本じゃなくて、「残すものを決める」本だったのか!ということです。

そう考えると、片づけをすると人生がなぜか上向いていくという、彼女のクライアントの変化もよくわかります。
なぜ片づけだけで人生が上向くのか。
それは、片づけを通して「不要なものを捨てる→快適になる」からではなく、「自分にとって大切なものは何かを考え選び取る→自分のことを大切にする」行為だからだ!

いま、多くの女性(とくにtelling,世代の女性たち)が、自分がどうしたいのか、どの方向に向かえばいいのかが、わからなくなって悩んでいると聞く。
そういう女性には、まず、この本を読んで、部屋を片づけすることをおすすめしたい。

片づけ? と思うかもしれないけれど、これがなかなかどうして。この本を読んで真剣に取り組むと、自分がどんなものに囲まれて生きていきたいか。つまり、自分がどんな自分になりたいかが、見えてくるなあって思います。

2019年の大掃除は、片づけしながら、自分のこともすっきり整理しましょ。

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この本は2011年、震災の直前に出版された本なのだけれど、いわゆる「女性実用」と言われる、「ファッション、くらし、美容」などの分野は、この本以前とこの本以降で明確に線引きされると、私は思っています。

実用的(ファッション、料理、メイク、掃除、ダイエット……etc)なことがうまくいくと、自分の人生を自分でドライブすることができるようになる。
そんなメッセージを明確にしていく本が増えたなあと感じます。

そんな本のひとつが、こちら。
料理だけじゃない。これは生き方を教えてくれる本

よかったら、こちらもどうぞ。

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それではまた来週水曜日に。

佐藤友美さんのコラム「本という贅沢」のバックナンバーはこちらです。

『三体』(劉 慈欣/早川書房)/半径5メートル以内で一喜一憂している人生にカンフル!
『読みたいことを、書けばいい。』(田中泰延/ダイヤモンド社)/なぜ私はこの本が嫌いなのか。嫌いだと思い込んだのか。
『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(中川淳一郎/星海社新書)/やればできる子なんですと言い続けて、はや何歳になられましたか

ライター・コラムニストとして活動。ファッション、ビューティからビジネスまで幅広いジャンルを担当する。自著に『女の運命は髪で変わる』『髪のこと、これで、ぜんぶ。』『書く仕事がしたい』など。