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公務員を辞め転職でベトナムへ。「彼との未来はわからないけれど」

今年の6月、フィリピンのセブ島で1週間の超短期語学留学を体験してきました。そのときに出会った一人の日本人女性は、公務員を辞めてベトナムの企業への転職を決めたといいます。詳しくお話をうかがうと、そこには意外な理由が……。

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10年先が見えているからこそ、違う未来を見てみたい

彼女の名前は千恵さん(仮名)、37歳。今年の3月末で公務員を辞め、7月からベトナムの日系会社で働くことが決まっているとのことでした。

千恵さんは独身。公務員を続けていれば、この先ずっと安定した生活が送れる可能性も高かったはず。なぜそれを捨ててまで海外に出るのかを聞いてみました。彼女の答えはこうでした。

「一つの理由は、職場の人間関係です。数年ごとにあちこち異動する仕事のせいか、上司になるのは『自分が今の職場にいる間に問題が起きなければそれでいい』という考えの人ばかりで、仕事について改善を訴えてもまったく耳を貸してくれませんでした。そんな状況が何年も続いてストレスがたまっていましたし、このままでは仕事のスキルアップも望めないと考えたんです」

一度きりの人生、どうせなら海外で働いてみたい!

仕事に悩んでいた時、知り合いと一緒にベトナム旅行に出たことがきっかけで、転職を考えるようになったと千恵さんは話します。

「初めて訪れたベトナムはすごく活気があって、街を歩く人たちの顔がイキイキしていました。こんなふうに生きてみたい……と強く感じました。

旅に出ると、今までの生き方を振り返ったり、新しいことにチャレンジしたくなることってありませんか? 私もまさにそんな感じだったのかもしれません。ちょうど転職を考えていたときで、せっかくなら、もっと視野を広げて海外に出てみたいと思いました。そこで、ベトナムで働いてみるのもいいかと思って、転職エージェントにベトナムでの仕事の斡旋を依頼したんです」

現地で出会ったバツイチのベトナム人男性、彼との関係を確かめたい

ただ、彼女がベトナムへの転職にこだわったのには、もう一つ、意外な理由がありました。ベトナム旅行で知り合ったある男性の存在が、彼女の頭から離れなかったのです。

「ベトナム旅行中、一人のベトナム人男性と出会いました。彼は45歳でバツイチ。知り合いの知り合いという感じの関係です。最初はなんとなくいい人だなと思って、ラインをやりとりしていました。そのあと、やっぱり気になるなって思い始めて……。でも、この気持ちがお互いどこまで本当かわからないから、再度ベトナムに旅行して、彼に会うことにしました」(千恵さん)。

この再訪問も含め、千恵さんが彼に会ったのは2回だけで、あとはラインでのやりとりのみ。本当にベトナムに決めていいの? というのが私の率直な感想でした。 37歳といえば、結婚や子供のことを考える時期でもあるわけで……千恵さんは結婚についてどう考えているのかを尋ねてみました。

「親の結婚を見ていて、私は結婚がいいものだとは思えなくて。だから、私は、結婚願望はまったくないです。子どもも欲しくない」

飛行機で2時間。なかなか会えないくらいの距離がちょうどいい

千恵さんが就職するベトナムの日系企業はハノイにあります。そして、気になる彼が住む街はホーチミン。2つの都市は飛行機で2時間かかる距離にあるから、ベトナムに移住したからと行って、そう簡単に会える場所ではありません。

「そのくらい離れていたほうがいいんです。べったりする関係は好きじゃないので。まずは1年、ベトナムで頑張って働いてみようと思います。

日系企業なので、お客さんも一緒に働くスタッフも日本人や、日本語ができるベトナム人がほとんど。英語を使う機会はそれほど多くはないかもしれません。でも、仕事柄、英語を使う機会もないとはいえません。それにこれから先、また違う国に行くかもしれないから、ベトナムに行ってもオンラインで英語は学び続けようと思います」

フィリピンのセブ島語学留学で出会った彼女は、とてもイキイキした表情で、私にそう話してくれました。私は、これからも彼女のことを応援し続けたいと思います。

明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
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