telling,編集部コラム

滝クリ×進次郎から考える令和時代の「授かり婚」のかたち

衆議院議員の小泉進次郎氏とフリーアナウンサーの滝川クリステルさんの結婚には、本当に驚きました。組み合わせにも驚いたのですが、こんな超国民的カップルが「授かり婚」であったことが、とても令和っぽいなと思ったんです。

●telling,編集部コラム

偶然か、計画的な授かり婚か?

AbemaTVでひっきりなしに流れた、小泉進次郎さんと滝川クリステルさんの結婚発表会見の動画。
会見中何度も連発された「自然な流れ」という言葉に、昭和的な結婚してから妊娠するべきという価値観を持つ勢力に対して「文句は言わせないぞ」と威圧するすような強い意思を感じた。

2018年に付き合い始めてから一度も外でデートしたことがないというくらいストイックな2人。
どうして、昭和・平成時代はタブー寄りとされていた妊娠先行型の結婚という形をとったんだろう。本当のところはもちろん当人たちにしか分からないものの、その理由を、想像してみた。

元首相の息子で自らも衆議院議員として一線級の活躍をしている小泉進次郎氏。親の地盤を子が世襲することが当たり前になってしまった日本の政界で生きている以上は、結婚したら周囲から子どもを強く望まれることは、容易に想像できただろう。

滝川さんは、41歳。

20代に比べたら40代の妊娠確率が低いのは当然とされているし、もし子どもを授かったとしても35歳以上の初産婦は高齢出産扱いになり、妊娠中や出産時のリスクは決して低くない。

もし、妊娠するより前に結婚を発表したら……滝川さんにかかる「お世継ぎ懐妊」へのプレッシャーの壮絶さは想像するだけで、寒気がする。

「できちゃった婚」ではなく「作りました婚」?

歳を重ね、お互いに自立し、とてつもなく大きな社会的期待を背負った2人。
意図的だったのか、偶然そうなったのかは知る由もないが、今回の授かり婚によって彼女たちは結果的に、もっともお互いの負担少なく、もっとも世の中に対して誠実な形となるよう、ふたりの関係を築くことができたのではないだろうか。

そして、あれほど注目されながらマスコミにすっぱ抜かれることもなく関係をはぐくんだ2人なのだから、やはり、世の中のルールにただ流されるのではなく、自分たちにとって最適な方法を考えた結果の意図的な授かり婚だったとしても不思議はない、とついつい考えてしまう。「できちゃった婚」ではなく、「作りました婚」だったとしたら、と。まあ、これは、完全に妄想なんですけどね……。

「デキ婚とかwwwヤバイでしょwww」と無計画な性行為を前提にした妄想もネット上でたくさん見た。そいいうとらえ方をする人もいるだろう。プライベートなことは無理に究明する必要なんてないと思う。

ただ、どちらだとしても今回の件、かつて家族社会学者の永田夏来先生がtelling,のインタビューで語っていた「ドラクエ人生」と「ポケモン人生」という対比が思い浮かんだ。

「攻略本の通りに進んで、ボスを倒せばクリア!」という昭和的な「ドラクエ人生」から外れ、「変化や試行錯誤をしながら自分が心地良いと思うもの(=ポケモン)を迷いながら決めていく」という「ポケモン人生」的な価値観を体現した結婚・妊娠を、日本のトップとなり得る政治家が選んだ(かもしれない)ということが、私は少し嬉しかった。

昭和・平成的なクラシックな価値観が少しずつ今の時代に合った形に変わっていくのを今まさに体験している、ような気がしている。

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