酒井藍「吉本新喜劇の座長になれただけで幸せ。これ以上は贅沢や」
取りまとめるんじゃない。感謝の気持ちを伝えたい
吉本新喜劇って化け物というか、すごい先輩ばかりなので、座員の皆さんのほうが断然知識も豊富で、新喜劇のことをよく知っている。だから、言うことを聞いてもらえるんだろうかという心配はありました。もっとも、私が手綱を握るなんていう気持ちはまったくなくて、みんな一緒に横並びでやっていけたらいいなと思っていました。
私があまりにも未熟で若手過ぎるので、ベテランの皆さんが「なんでも言ってくれよ」とか、やりにくいところがあったら「ここをこうやったらいいんやないか」とか、力を貸してくれています。
たとえば、桑原和男師匠(82)という、吉本新喜劇のなかで一番ベテランの方がいるのですが、「藍、いつでも『垂れ乳』出すから言うてくれよ」、「ここで『垂れ乳』を出したら面白いかも知らんで」って言ってくれるんです。大ベテランさんなのに、本当に優しくしてもらえて嬉しいなと思いました。
新喜劇は周りの人が協力してくれないと成り立ちません。私が取りまとめるというのではなく、座員全員が新喜劇を良くしよう、完成度を上げようと協力してくれて、私は、ただただ「有難うございます!」と感謝しているんです。
その感謝の気持ちをどれだけ、どんなふうに皆に伝えられるかということは、いつも考えています。私が座長をしている時は、週に一度パンを買ってきて配ったり、クリスマスだったらサンタのモチーフのお菓子を配ったりしています。座員全員の誕生日も手帳に書いていて、「お誕生日おめでとうございます」ってお祝いしたいんです。
座員とのコミュニケーションも大事
後輩には、「こうして、ああして」と言うのではなく、まず「う~ん!ナイス!ナイス!ナイス!」と言うようにしています。で、「ナイスだったけど、こっちのほうがいいかも」とか「ナイスだったけど、もう一度やってみてくれへん?」とか言うんです。
新喜劇って、演者が楽しくやっていないと、お客さんに伝わってしまう。後輩のモチベーションを上げて、みんな楽しくやってもらいたいなと思っています。
先輩とか後輩に関わらず、座員には本音でこうしたいとか、ここはこうしたほうがいいとか言ってもらいたい。だから風通しが良くなるよう、普段から誰とでも密にコミュニケーションは取るようにしています。楽屋は男女分かれていて、男性の楽屋には入りにくいのですが、用事がなくても入っていってちょっかいを出すことも。「くな~!(来るな)」とか言われますけどね(笑)。
恋に恋する乙女
恋愛は、本当にすごくウェルカムなんですよ!優しくされるとすぐに好きになるタイプなんですが、冷めやすいんです。
恋も仕事もしたいけど、恋人には程よい距離感を保ってほしいかな。冬は、クリスマスのイルミとか見ると、いいなあってキュン!としちゃいます。でも、結婚は、できるのかなって思うんですよ。
私は、すっぽんぽんで家の中を歩いたり、めっちゃでかい屁をこいたりしたいんです。ドラマを見ていると、夫婦がお風呂に一緒に入るじゃないですか。でも、私は股ぐらまでしっかり洗いたいので、本当に彼の前でそんなことできるのかなって。
寝る時も、私は布団から足を出して寝るのですが、ベッドで一緒に寝たら、足を出せるのかなとか考えてしまうんです。結婚に興味はあるけれど、現実にはならない気がします。
座長にならせてもらっただけでもすごく幸せで、その上、これも欲しい、あれも欲しいと言ったら贅沢やと思うんです。だから、今は、新喜劇を一所懸命やって、あわよくば恋愛も結婚も出産もできたらいいなと思っています(笑)。
新喜劇を見ると、嫌なことやつらいことを忘れて、思いっきり笑えます。女座長としては、老若男女、誰でも昔の恋や現在進行形の恋に思いを馳せて“キュン!”としてもらえるものをつくりたい。悲しいシーンや大ピンチのシーンもあるけれど、必ずハッピーエンドで終わるんです。見終わった後に、お風呂に入ってさっぱりしたような感覚になってもらえたらいいですね。