古谷有美✕真船佳奈#2 後輩指導は子育てと一緒…かも?
●みんみん×まふねこ対談 お仕事を語る〈後編〉
「鼻毛が出てるなら教えてほしい」(古谷)
真船さん(以下真船): 今回の対談テーマは後輩指導、だそうです。私末っ子なんで、後輩が苦手。「しぇんぱい、しぇんぱい」って甘えるのはできるけど、後輩のトレーニング係になると「うぇーーー」ってなっちゃう。
古谷さん(以下古谷): でも、真船さんのマンガ「親指レディOLサム子。」のサム子先輩はいい先輩ですよね? どなたかモデルはいらっしゃるんですか?
真船: 基本は私自身です。「顔のフォルムが親指みたいだね」って言われたことがあるんですよ。
古谷: え、親指……(笑)。
真船: ただ、私はサム子先輩みたいに上司にはっきりと文句は言えないですね。後輩に対する適当さは似ているかもしれない(笑)。
エクセルの使い方とか、実務は教えた方が良いんだろうけど、「あいつあのとき手土産買ってこなかったんだぜ」みたいな暗黙のルールはどこまで言っていいのかなって思うんですよね。
古谷: 真船さん自身は言われたくない方ですか?
真船: 私は言われないと何も気づかない人なので、言われたいです。でもいざ自分が言う立場になると本当に自分が正しいのかも自信ない。「うるさくて嫌な先輩」になるのも怖い。
古谷: 私も言われたい方ですよね。鼻毛が出てるのと一緒。その日一日、全員にさらすくらいなら、その場で言ってほしいなあって(笑)。
例えば、飲み会で先輩が多く出してくれたときは翌日に「昨日はありがとうございました」ってメールするという基本動作(笑)。しない子もいるみたいなんですが、それだけで「あの子ちゃんとしてるな」って思ってもらえるなら、すればいいのになって思うんです。
真船: 「昨日ありがとうございました」メールなんて定型文コピペでいいですもんね。
古谷: でも、それを言うのもうるさいかなあって。「昨日さ、ごちそうしたんだから何かないの?」って言うのも、ちょっとあれですよね(笑)。
真船: うん、言えない。
古谷: 自分に対してだけならいいんですど、他でもやってたら……と思うと心配になっちゃうんですよね。
「私は叱るのが苦手なので理由を聞くなあ」(古谷)
真船: 手土産もそうですよね。社会人のマナーっていうよりは、気持ちの部分じゃないですか。そこを指導するのはどうなのかなって。ある意味、価値観の違いとも言えるし……。
古谷: 私の場合は、先輩に相手への手土産をこっそり渡されて「私たちからっていうことにして、古谷から渡して」言ってもらえたことがあって、すごくかっこいいなと。
真船: 「手土産を買っておかなきゃだめだよ!」って言うのでは無くて、態度で示すってスマートだなあ。
古谷: ですよね。これは本当にスマートな例ですよね。私は、叱るのが下手な性格なので、「だめじゃん!」って言うのではなくて「なんでそういうことしたの?」って聞くようにしてるんです。もしそこに理由があるなら聞いて「もっとこうした方がいいんじゃない?」って言いますね。
「架空の娘にお弁当つくっています」(真船)
真船: それ、育児本にも書いてありました。理由を聞いて、そっと受け止める。私、育児マンガを読むのが好きなので、子どもいないのに育児のことは詳しいんです。自分のお弁当をつくるときも、架空の娘に向けてつくってますし。おにぎりをかわいく丸めたりなんかして。行き場のない母性を弁当作りにぶつけてしまう。
古谷: あはは。育児と後輩指導は近いものがありますよね。育児したことないので妄想ですけど。
真船: 古谷さんとは仲良くなれそうです。おすすめの育児マンガ教えますね。
古谷: ありがとうございます(笑)。何で上手に叱れるようになりたいかというと、将来の結婚・出産・子育てを見据えてのことなんですよね。子どもが「お母さんうるさい!」ってならずに「よし頑張るぞ!」ってなるにはどうしたらいいのかなっていう疑似トレーニング(笑)。
真船: 育児マンガには、ストーブに近づこうとする子を「ダメ!」って止めるか「放っておく」かどちらがいいのかっていうのが載っていたんですね。大概の人は「危ないからダメ!」って叱ると思うんですけど、その本では、一度ストーブに近寄らせてみて「熱い」ということを身を持って学んだ方がいいんじゃないかって書いてあったんです。
古谷: なるほど。それは確かにそうかも!
真船: 昔は、後輩になめられちゃいけない!と思って、小姑のようにいちいち怒ってたんですけど、私もパニックになって怒ってるから「何言ってるんだろうこの人」ってなっていたと思う。それがうまくいかなかったので、今はもう褒めて褒めて「うちの後輩が一番かわいいですぅ」というように生まれ変わりました。まあ痛い目にあっても自分で学ぶでしょ。あとは勝手にやってよと思ってます(笑)。