「ちょうどいいブス」問題で話題を呼んだお笑いコンビ・相席スタートの山崎ケイさん

相席スタート・ケイさん本人に、炎上中の「ちょうどいいブス」問題を聞いてみた

お笑いコンビ・相席スタートの山崎ケイさん(36)のエッセイ『ちょうどいいブスのススメ』がドラマ化されることで、「ちょうどいいブス」という言葉がネットで話題になっています。女性が自分を形容する言葉として「ブス」を使うことに、心がざわついた人も多いのでは?後編では、ケイさんご本人に「ちょうどいいブス」にこめた思い、容姿に悩む女性たちへのメッセージを伺いました。

――「ちょうどいいブス」がウェブで炎上中ですが……。

山崎ケイさん(以下ケイ):  シンプルに最初は悔しかったですね。そういうことを言ってるんじゃないのにな、と。自分の伝えたいことが伝わらず、知らないところで「ちょうどいいブス問題」となっていて。

例えば、やせたいと言っている女性への励まし方って何通りもある。「やせなくても魅力的だよ」という人もいれば、「私はこれで5キロやせたよ」っていう人もいていいと思うんです。そういう時は悩んでいる側がどちらの意見を参考にするか決めますよね。

同じように、「容姿のせいでモテない」と悩んでいる人がいたとする。以前の私ですね。

自分のことは美人だとも思えないし、すごいブスだと思うと生きにくい。そういう子たちに、「ちょうどいいブス」っていう立ち位置はどうですか、っていう一つの提案です。そういうとらえ方をすることで、楽しく生きられる人がいるといいなと。

「ちょうどいいブス」問題について語るコンビ・相席スタートの山崎ケイさん

美人とかブスとかカテゴライズすること自体が、おかしいと思う方もいると思います。だけど、私の場合、どうしても自分の立ち位置が気になっちゃうんです。完全に自意識の話です。私はずっと「めちゃくちゃモテるタイプではないだろうけど、もうちょっとモテても良くない?!」と正直思っていました。自分の自己評価ほど、まわりから評価されない。それがどうしてなのかはわからずモヤモヤしていました。それが、自分の「ちょうどいい」立ち位置がわかったことで、楽になれたんです。この顔面でマックスたたきだそう!と思えたんです。

――ケイさんは、自分を受け入れて、最大限自分を魅力的に見せよう、というポジティブなメッセージを伝えようとしてるんですね。

ケイ:  はい。私はずっと自分の顔と向き合ってきた分、私の顔のベストな状態は私が一番よくわかっているつもりです。私は、テレビ局などでメイクさんがいてくださる場合でも、基本的にメイクは自分でします。というのは、メイクさんが普段、施している美人と私は顔の作りが違うんで。「キャンバスが違う」と表現しているんですけど(笑)。

もちろん外見のことだけではありません。 同じ外見だとしたら、人が嫌がることを率先してやったり、色気だってないよりはあった方がモテますよね。モテることが人生の全てではない。でも、モテた方が楽しい。 私なりに努力した結果、昔よりモテるようになった。だから「モテたいなあ…」と思っている女性に「私はこれでモテるようになったよ、良かったら試してみて」と言っているつもりなんです。私としては。

「女性はみんな美しい」と思えたらいい、だけど…

――ケイさんの考える美人とはどういう人でしょう?

ケイ:  私が思う美人は造形として美しい人。誰もが納得するとんでもない美人のことです。なので、こういう話になった時に「ケイさん美人」と言われると、「それは違う」って思っちゃうんです。

――手足が長くて、目が大きくて、体が細いという「一般的な美」、とは違いますが、「ふくよかな美」のカリスマとなっている渡辺直美さんについてはどう思いますか?

ケイ:  直美さんは、スーパースターだと思っていて、本当にかっこいいです!自分の外見にも誇りがあって、きらきらしてて。女性としても芸人としても尊敬しています。でも私が直美さんみたいになれるか、というとなれないわけです。

私の「ちょうどいいブス」論は、よく直美さんと比較されちゃうんです。ありのままの自分を楽しんでいる直美さんに対し、私は「容姿コンプレックスを自覚して、ブスなんだから努力しなさいよ!」と言っていると思われるようです。

「あなたは十分美しい」という言葉を受けとめられるなら、それは本当に素晴らしいことだし、その人たちの肩を揺さぶって「あんたは美人じゃなくてちょうどいいブスだよ!!」と言いたいわけではないです。

容姿で悩む人が前向きになれるといいな

私は自分が美人だと思ってないですけど、自分のこと好きですし、昔より今の方がずっと好きです。 私の考え方を聞いて「前向きになれた」と言ってくれる人も実際いるんですよ。その人たちにまで「そんなの異常だ!」と攻撃する人もいて……。

「ちょうどいいブス」問題について語るお笑いコンビ・相席スタートの山崎ケイさん

たくさんの情報がある中で、自分がより楽しく生きられる情報を選んで生活していく。それがその人にとって直美さんであることもあれば私であることもある。 うまく伝えきれないのが歯がゆいのですが、容姿で悩んでいる人が1人でも前向きになれたらいいなと思っています。ただ今回の「ちょうどいいブス問題」で、伝え方って難しいな、と勉強になりました。全く事実と違うことをSNSで書かれることも経験しました。

「深夜に妊婦を呼び出す人」と誤解され

――「妊婦を深夜の飲み会に呼び出した」という投稿についてでしょうか?

ケイ: そうですね。私が呼びつけたわけではないです。何人かで飲んでいて、先輩が、後輩の奥さんが妊娠中であることを考慮した上で「良かったら一緒に」と誘い、その奥さんも「行きたい」ということで待っていたんです。

元の文章は私がやっているウェブ連載の記事なのですが「深夜近く」という表現も、その奥さんが来ないまま2.3時間経ったので「深夜近く」になったのです。 それが、「深夜に妊婦を呼び出した挙句、先輩である私を散々待たせておいてバッチリメイクしてオシャレしてくるなんて何事?」と私が怒った、ということになりそれが拡散された。

「ちょうどいいブス」問題について取材に応じたお笑いコンビ・相席スタートの山崎ケイさん

――なぜ誤解が拡散されてしまったのでしょうか?

ケイ: ファンの方なら、そんなことをする人間ではない、という前提で読んでくれると思うのですが、今回のことで私を知った人には、「男性にこびる女だから、男性を立てるために女性を踏みつけることを当たり前にするんでしょ」という風に思われてしまったのかもしれません。正直悲しかったです。私、そんなことしそうな人間に見えてるんだ……と。

ただ読み直してみたら確かにそうも読めたので、色々な方に読んでいただけるようになったということを自覚しなくてはと思いました。 「ちょうどいいブス」と言う言葉を使い始めて7年くらいでしょうか。「ブス」という言葉の強さにも、慣れてしまっていたかもしれません。 受け取る側によって解釈が異なることを理解しつつ、楽しんでくださる方には引き続き楽しんでいただけるように、努力していこうと思います。

  • ●山崎ケイさんプロフィール
  • 1982年千葉県柏市出身。NSC東京校13期生、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2013年に相方の山添寛さんとコンビ「相席スタート」を結成。2016年M-1グランプリファイナリスト。自身のちょうどいいブスハウツーをまとめたエッセイ『ちょうどいいブスのススメ』(主婦の友社)を発行。
telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。