「手塚治虫文化賞」受賞のカラテカ矢部太郎さん、画風は父譲り?
お笑いコンビ、カラテカの矢部太郎さんが、自身の漫画家デビュー作となる『大家さんと僕』で手塚治虫文化賞短編賞を受賞しました。お笑い芸人としては初、本職の漫画家以外での受賞も初とあって話題を呼んでいます。
実はこの受賞には父親の存在も大きく影響しています。というのも、矢部さんの父親・やべみつのりさんも絵本作家なんです。
朝日新聞の過去のインタビューで、「家は貧乏で、お母さんも介護の仕事をしていました。誕生日プレゼントはお父さん手作りのすごろくやドミノ。それにお父さんは基本的に家にいたので、平日の朝から晩まで一緒にツクシとかを採り、それを食べたりもしていました」と語った矢部さん。
朝から晩まで一緒にツクシ採り!そして食べる。『大家さんと僕』に勝るとも劣らないほんわか、ゆっくりした空気感……。矢部さんの原点、ここにあり、と優しい気持ちになります。
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ある時、番組で、親にも知らせないまま海外に連れて行かれたことがあったそうです。帰宅せず1週間がたったころ、相方の入江慎也さんが両親に事情を説明しに行くと、母親はうつむいて、今にも泣き出しそう。父親も同じように下を向いて、何かを一生懸命書いていたそうです。「息子への手紙だろう」と入江さんが思っていたところ、「じゃーん。入江君の似顔絵」と突然、披露したそうです。これには、矢部さんも「絵が好き、の一言で片付けてよいんでしょうか」と話しています。
親子のお絵かき好きが実って、2017年には「親子展」も開かれるまでになりました。「やまなし大使」を務める縁もあり、開催場所は山梨県甲州市の図書館。矢部さんが甲州市をテーマに描いたスケッチ13点が展示。父親のやべみつのりさんの代表作の一つである絵本「かばさん」の原画9点などを並べました。飾られている写真の、タイトルがまたゆるい……。
矢部さんは現在、新作漫画『ニームの森』をwebマガジン「PeLuLu(ペルル)」で連載中。朝日新聞社が運営する「telling,」でも掲載しています。歯磨きをテーマに働く女性の日常を描く「ニームの森」は、じわじわとくる笑いが人気を呼んでいます。歯磨きから広がる日常。ぜひチェックしてくださいね。
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