telling, Diary ―私たちの心の中。

「30歳までに○○」のその先に。―telling, Diary

telling,世代のライター、クリエイターたちが日々の思いや本音を綴る「telling, Diary」。今回は、IT企業の会社員・hacoさんのダイアリーです。「同世代のミレニアル女性から、悩みや迷いを打ち明けられることが多い」というhacoさん。「ちょっと、話してみようかな……」と思わせるのは、どんな悩みに対しても、ふっと肩の力を抜いてリラックスできるような言葉をかけてくれるから、かもしれません。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

「30歳までに○○」のその先に。

 私は、都内の会社に勤務している普通の会社員です。月曜日から金曜日は定時に出社し、定時少し過ぎに帰宅して、という日々を送っています。昔から文房具や本の香りが好きで、見かけたらつい寄り道してしまいます。

 最近結婚をして、旦那さんと2人暮らしを始めました。新緑の季節に生まれたので今20代最後の一カ月を過ごしています。今回のtelling,diaryでは、そんな私が日々感じたことを少しだけ皆さんにおすそわけして、ちょっぴり明るい気持ちになるお話をお届けしたいと思います。

 30歳までに結婚したい。30歳までに子どもが欲しい。30歳までに起業したい。30歳までに手に職をつけたい。

 SNSのタイムラインや女子会でもこれまでたくさんの「30歳までに〇〇」を聞いてきました。

 もちろん私もそのひとり。「30歳までには自分が好きなことを仕事にして結婚したい」そう思っていました。30歳で何かが劇的に変わるわけではないのはわかっているけれど、アラサーという流行り言葉に触発されて、なんとなくキリが良くて、近いようで遠い「30歳」が何者でもない自分にはちょうど良かったのです。

 私が30歳を急激に意識し始めたのは、27歳の頃。長く学生をしていたこともあり、社会に出てすぐに「アラサー」になってしまった私は恋も仕事も、猛烈に焦っていました。当時は、自分が焦っているなんて自覚もしていませんでしたから、やることなすことすべてうまくいきません。

 好きな人とは結婚をしたいし、自分が好きで得意なことを仕事にしたい。でも何が好きなのか、なんで好きなのか、何が得意なことなのかもわかりませんでした。

 何かあれば「相手」や「環境」が悪い。自分は悪くない。相手のことを考えているようで、考えていたのは全部自分のことでした。

 でも、それに気づいたのは、「30歳までには自分が好きなことを仕事にして結婚したい」なんてことを思っていたことすら忘れかけた最近のことです。

 その間に何をしていたのか。何一つ特別なことはしていません。憧れの海外に一人旅に行くわけでも、立ち直れないほどの大事件があったわけでも、人生観を変える何かがあったわけでもありません。

 私は、ただ目の前のことに夢中になっていました。月曜日から金曜日は定時に出社し、定時少し過ぎに帰宅する。そんな生活の中でもたくさんの学びがありました。先のことばかり気にして足元を見ないふりをしていた自分から、目の前のことに向き合って...ふと顔をあげたら自分が変わっていたんです。

 目の前のことは点。

 ふとした時に目の前にあったできごとを振り返ると、スッと線で繋がる日がくるはずです。実は語られないだけで、社会にはそんな人の方が多いのではないでしょうか。

 人のせいにする自分から、自分のよくなかったところを認められる自分に。相談する自分から、相談される自分に。肩に力の入った自分から、肩の力が少し抜けた自分に。

 30歳のその先に、何があるのか私はとても楽しみです。

渋谷で働く、ミレニアル世代の会社員。旦那さんと二人暮らしをしています。好きなことは文房具屋と本屋への寄り道。
東京生まれ東京育ち。羊毛フェルトを使ったイラスト、愛猫ゾロとダルタニヤンをモチーフとしたぞろだるシリーズなどに明け暮れる。oekaki creatorである。
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