若さこそが正義? 相手を条件で線引きする婚活というジャッジの世界 『婚活1000本ノック』9話
婚活はジャッジ&ランク付けの世界
綾子の幸せを見届けないと、成仏してもしきれない……。そんな山田の思いを背負い、あらためて婚活へと舵を切り直す綾子。大池貴司(野村周平)の誘いもあり、静岡県でおこなわれる一泊二日の婚活ツアーに参加することに。
わかっていたことだが、婚活はジャッジ&ランク付けの世界だ。相手の顔・身長・年収・家族構成・子どもがほしいかどうか・家事や育児への参加意欲など、自分が結婚相手に求める条件と照らし合わせながらジャッジし、ランク付けしていく。
ツアー参加者の中には、あからさまに容姿の良い男性にしか興味がなかったり、高年収と知ったら目の色を変えたりする者も。「S」や「D」などといったアルファベットでランク付けし、手帳に記録している強者もいて、やはり婚活はまだまだ弱肉強食の世界なのだ、と思わされる。
なぜ、結婚相手に容姿や高年収を求めるのか? それはやはり、結婚して家庭を持ったときのことを想像するからだろう。家族を養っていくために、お金はないよりもあったほうが安心できる。それに、自分の好みの容姿を持つ相手と結婚したほうが、もめ事があっても必要以上にイライラしないらしい……と聞いたこともある。
ツアーに遅れてやってきた大池も、大池貿易の御曹司であることを知る女性たちからの人気が殺到。映画『モテキ』よろしく神輿(みこし)のように女性たちに担がれていた。実際にはあんなことにはならないだろうが、年商5000億円の会社がバックについていると知れば、どうしたって見え方が変わってくるものなのかもしれない。
「僕、20代しか無理なんです」事件
「今は、私と話したい人へのチャンスタイムをつくってるの」などと言いながら、若干その場の雰囲気に飲まれ、ほかの女性から遅れをとってしまう綾子。山田のサポートもあり、一番人気の男性と一対一で話す機会に恵まれたものの……。相手の男性は、綾子の年齢を聞くなり、衝撃の一言をぶつける。
「ごめんなさい、僕、20代しか無理なんです」
世の中の30代以降の女性を軒並み敵にまわすこの言葉。聞こえてくるなり、わかりやすく耳を疑ってしまった。現実の婚活現場で聞いたことはないけれど、ほとんどの男性の本音は「20代しか無理」なんじゃないか、と思えてきてしまう。
実際に、都内の某バーで隣り合わせた50代前後の男性たちが「20代前半の子と付き合ってみたいよね」「30~40代とは肌が違うよね」と話していたのを聞いてしまったことがある。大変申し訳ないけれど、怖気(おぞけ)が走り、まったくお酒の味を感じなくなってしまったので、会計をして退店した。
よくよく見てみれば、婚活イベントにも女性の参加条件に「20代」と書かれていることは、決して珍しくない。この市場において、何よりも女性に求められているのは若さだということの証左だろう。
衝撃の一言をぶつけられた綾子は、早々に引き下がっている。条件が当てはまらないなら頑張って話したところで無意味、と判断した結果だろうけれど、あからさまに年齢で女性差別されたことに怒らず、平静でいられる綾子の胆力に恐れ入った。
綾子と大池の間に、結婚フラグ?
無事に九本凛(関水渚)と堂島(風間俊介)は結婚。二人は出会った瞬間から惹かれ合うものを感じていたはずなので、なるべくしてなったと言える。
そうなると、綾子と大池の間に立ったフラグも、いよいよ無視できなくなってきたのでは?
綾子にとって、大池は婚活ロードを突っ走ってきた途中に出会った、数多い男性のうちの一人である。しかし、貿易会社を継がずに母親と絶縁し、独立したことで、彼は自分らしい人生のリスタートを切ることができた。それは、綾子と出会い、彼女から「自分の人生なんだから、自分に正直に、幸せだと感じられる道を進んだ方がいい」と教えてもらえたからだ。
綾子と大池の間にも、ガンガンにフラグが立っている。綾子自身、大池のことは「婚活仲間」と称しているけれど、相手の容姿や年収などでジャッジなんてしない、素の部分で飾らない会話ができている様子は、どこから見てもお似合いの二人だ。
婚活ツアーで実家と縁を切っていることが知られた大池は、手のひらを返されたように人気を失うが、参加者の女性・オカメこと福留小春(足立梨花)といい雰囲気になっているようだ。そして終盤、なんとカツラだったことが判明!
餅つき大会に乱入した地元の漁師たちに絡まれている綾子を助けようと、咄嗟(とっさ)に自分のカツラを投げ、見事なハゲ姿を披露した大池。そんな彼の捨て身っぷりを見て、綾子は「こんな風に身を投げ打ってまで助けてくれる男、これまでにいただろうか?」「私は、小池が好きだ」と、ようやく自分の気持ちに気づくのだ。
視聴者の間では、やはり綾子と山田は二人で生きていくのでは? という見方も多い。しかし、あえて厳しい言い方をするなら、何をどう転ばせたって山田は故人なのだ。幽霊として現れた、という展開はファンタジーだけれども、ずっと成仏せずに綾子と生きていく展開は、さすがにリアリティに欠ける。
最終話で、綾子と大池の関係はどのように決着するのか。そして、山田は今度こそ成仏できるのか。
フジ系水曜22時~
出演:福田麻貴(3時のヒロイン)、八木勇征、関水渚、野村周平、白河れい、橋本マナミ、中越典子ほか
原作:南綾子
脚本:ニシオカ・ト・ニール、松本美弥子、山岡潤平、藤平久子
主題歌:水曜日のカンパネラ『幽霊と作家』
プロデュース:羽鳥健一、矢ノ口真実、髙石明彦
演出:田中亮、西岡和宏、 吉野主
-
第585回「恋愛がダメなら仕事だけでも」。すり減った心は満たされる? 『婚活10
-
第586回「結婚は幸せを保証しない」。パートナー選びの最適解は 『婚活1000本ノ
-
第587回若さこそが正義? 相手を条件で線引きする婚活というジャッジの世界 『婚活
-
第588回迷える婚活女子必読! 名言で振り返るドラマ『婚活1000本ノック』
-
第589回自分の幸せのためにどんな生き方を選ぶ? 綾子(福田麻貴)がたどり着いた境