自分の幸せのためにどんな生き方を選ぶ? 綾子(福田麻貴)がたどり着いた境地 『婚活1000本ノック』最終話
綾子に学ぶ婚活三原則
綾子は、大池の母・サツキ(萬田久子)が送り込んできた、大池貿易秘書・オカメ(足立梨花)の妨害に遭うも、なんとか晴れて大池と気持ちが通じ合い、カップルになれた。二人で温泉旅行にいく夢も叶い、山田も成仏できた。
このドラマでの綾子の歩みから分かる「婚活三原則」。それは「行動し続けること」「失敗から学ぶこと」、そして「卑屈なまま終わらないこと」だ。
綾子はとにかく行動し続けた。ときに迷走し、思考が空回りし、周りからもクネクネした婚活をしているように見えたかもしれない。しかし最終的に彼女は、自分の見定めた幸せに向かって真っ直ぐに行動し続けたのだ。
もしも途中で綾子が婚活を諦めていたら、誰かと一緒に暮らすことなく、満足のいく人生を歩めなかったかもしれない。
たとえ上手くいかなかったとしても、そこから「失敗した要因」や「自分の良くなかったところ」を見つけ出して、次の出会いに活かす。シンプルだけれど、誰にでもできることではない。いわば綾子にはすばらしい胆力が備わっていて、その結果、素直に大池に気持ちを伝えることができたのかもしれない。
また婚活は、相手をジャッジし続けるとともに、自分の価値もジャッジし続けられる営みだ。なかなか相手と巡り会えないということは、自分に価値がないように思えてくるも同義。選ぶ側でありながら選ばれる側にもなる婚活は、相当強く心を保っていないと、すぐに卑屈になってしまう。
どうせ、私なんて……。綾子は自分を卑下し、自信をなくしてしまったこともあった。それでもまた立ち上がって、婚活に向き合ってきた。山田のサポートがあってこそだろうが、何より綾子自身が卑屈なまま終わらなかったことは、多くの視聴者を励ましたはず。
「相手に何かしてあげたい」気持ちがもたらす変化
綾子も人並みに、相手の見た目や持っているお金に執着したことがあった。しかし、最終的にはわかりやすい条件に惑わされず、大池を好きになることができた。
その理由のひとつとして、綾子も忘れていた「GIVEの心」が関係しているかもしれない。
自分の頭がハゲていることを周囲にさらしながらも、身をていして綾子のことを守った大池。そんな彼が、オカメや母・サツキに騙されかけている姿を見て、綾子は彼を助け、「あんな風にとっさに何かしてあげたいって思ったの、小池(大池)が初めてだったかも」と、後から山田に明かした。
「相手に何かしてあげたいって脳みそ、使ってなかったんだよね」と振り返る綾子は、確かに「自分を幸せにしてくれる相手」を見つけることばかりに躍起になっていたようにも見える。自分が相手を幸せにしたいと思えるような、一緒に幸せになりたいと思えるような相手は、おそらく大池が初めてだったのだろう。
それは、紛れもない純度100%の与える心。大池も、そんな綾子の気持ちを感じたからこそ、彼女の気持ちに応えたいと思ったに違いない。
描き続けた「結婚だけが幸せのカタチじゃない」
素直な気持ちを大池に伝えた綾子は、無事に彼と結ばれ、一緒に温泉旅行にいくことができた。あえて早々に結婚に踏み切らない選択も、綾子と大池の「世間が決めた型にはまらない、自分らしい人生を生きていきたい」という価値観を反映している。
幸せになりたい、そのためには、良い相手を見つけて一緒に暮らしていきたい。自分にとっての人生の定義をしっかり定めた綾子は、道中で迷ったり悩んだりしながらも、しっかり幸せを掴み取った。
人生は終わらず、これからも続いていく。綾子と大池のように、幸せが詰まったカップルにも、一緒に暮らしていくうえでさまざまな困難が降りかかるだろう。しかし、ともに手を取り合って、一緒に幸せを掴むんだ!と決めた二人の行く先は前途洋々だと信じたい。
綾子のように、誰かと生きていくことを選ぶのも幸せのひとつで、おけけ(橋本マナミ)のように推し活などの趣味に生きることも人生だ。結婚だけが幸せのカタチじゃない、と1話から徹底して描いてくれたこのドラマからは、既婚でも独身でも、自分の選んだ道が幸せに繋がっていることを信じさせてくれる力があった。
人の数だけ人生があり、また、幸せのカタチがある。あなたにとっての幸せは何だろうか? そして、その幸せのために、今日から何ができるだろう?
どんな選択をしたとしても、きっと綾子が励ましてくれる。力いっぱいぶつかっていけ!と、エールを送ってくれる。そして、湯煙に紛れて成仏した山田もきっと、幸せのために生きる私たちを見守ってくれているはずだ。
フジ系水曜22時~
出演:福田麻貴(3時のヒロイン)、八木勇征、関水渚、野村周平、白河れい、橋本マナミ、中越典子ほか
原作:南綾子
脚本:ニシオカ・ト・ニール、松本美弥子、山岡潤平、藤平久子
主題歌:水曜日のカンパネラ『幽霊と作家』
プロデュース:羽鳥健一、矢ノ口真実、髙石明彦
演出:田中亮、西岡和宏、 吉野主
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