入山法子さん「年を取るのが楽しみで仕方ない」 何歳になってもワクワクを信じて

俳優の入山法子さんは、透明感のある美しさで存在感を示し、化粧品のイメージキャラクターや舞台、雑誌などで幅広く活躍するほか、映画『天上の花』やドラマ『雪女と蟹を食う』などの話題作ではチャレンジングな役にも挑戦されています。監督からの言葉で変化した演じることへの思いや、どのように年齢を重ねていきたいか、伺いました。
入山法子さん、リアルな心理描写で女性の闇と成長を描く ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」 【画像】入山法子さんの撮り下ろし写真

初主演作で監督から「今のままだと嫌われるぞ」

――2004年にモデルデビューし、2006年から本格的に女優活動を続けていらっしゃいます。現在37歳の入山さんにとって、人生のターニングポイントはありますか?

入山法子さん(以下、入山): 31歳の時に主演を務めた『きみはペット』という作品は、ターニングポイントになりました。連続ドラマの主演を務めさせていただいたというのもありますが、撮影の最中に、監督から強烈な一言をもらったからです。突然「お前、今のままだとみんなから嫌われるぞ」って……。どういうこと!?って衝撃を受けました。

――それはかなり強烈ですね……。どうやって気持ちを切り替えたのでしょうか。

入山: 監督は、なぜそう言ったのか、どうすれば良いのかもおっしゃらなくて……。乗り越えるには、自分でその言葉をかみしめ、とことん向き合い、監督が私に何を伝えたかったのかを考え抜くしかありませんでした。そこで気づいたんです。私はこれまで、自分が見せたい自分を演じていたのかも知れないと。監督が撮りたい演技、観客が見たいだろう表情ではなく、自分がどう見られたいかに意識が向いていたのであれば、それは嫌われてしまっても仕方ありません。でも私は嫌われる俳優になりたくない。そこから、今までの芝居を振り返り、改めて演技を見直すと共に、仕事への姿勢も変わりました。

雑誌のモデルでデビューして、CMやドラマ、映画など、さまざまな経験をさせていただきましたが、20代の頃は、周りが選んでくれた仕事という球を、ただ打ち返すことしかできなかったんです。周囲には順調にキャリアを積んでいるとみられていましたが、自分に自信が持てず、このまま俳優の仕事を続けられるのかと不安でいっぱいでした。そんな気持ちを引きずったまま30代になり仕事をしていたところへ監督からの言葉。ガツンときました。でもそれがきっかけで、演じることへの覚悟が決まり、それまでなんとなく抱えていた仕事へのモヤモヤも吹っ切れたので、まさにターニングポイントでしたね。

――監督さんの言葉が、その後の俳優人生に大きな影響を与えたのですね。

入山: そうですね。それからは、自分がやりたいことよりも、自分にやってほしいことは何かを考えるようになり、監督、他の出演者のみなさん、スタッフさんにも意見を聞くようになりました。それまでは、あれこれ考えて緊張して現場に入っていましたが、演じることへの捉え方が変わったことで、リラックスして臨めるようになり、今に至ります。

自分にブレーキをかけず、まず一歩踏み出す

――役者として、女性として、今後、どのように年齢を重ねていきたいですか?

入山: 役者としては、「入山がでているから見たい」と言ってもらえる俳優になりたいというのが、デビュー当時から思っていることです。女性としては、自分の嗅覚(きゅうかく)を信じて、好きなものやワクワクするものを大切にしていきたいですね。

――年齢を重ねることにネガティブな女性もいます。

入山: そんな風に思うなんてもったいないです! だって、歳をとるのって楽しいと思いませんか? 確かに、10代、20代の頃に比べると、体も痛かったり、ケガも治りにくかったり、悩んだり、落ち込んだり、私もしょっちゅうです(笑)。でも、いろいろなことを受け入れられるようになりますし、年齢を重ねるにつれて、視野が広がっていく気がするので、それを楽しんでいきましょう!

――仕事や結婚などに迷うtelling,世代の女性へのメッセージをお願いします。

入山:「やりたいことが見つからない」「やりたいことがあるけど踏み出せない」と思うことは、誰にでもあると思います。大人になると、どうしても損をしたくない、恥をかきたくないと自分にブレーキをかけてしまうから。そんな時、私は、「やってみないとわからないじゃない!」と自分に言い聞かせます。telling,の読者のみなさんも、迷ったときはそう自分に問いかけてみてはいかがでしょうか。あまり構えず、身軽に、心地よいと感じるものに向かって一歩踏み出してみてください。

ヘアメイク:美舟(SIGNO)
スタイリング:黒崎彩(Linx)

入山法子さん、リアルな心理描写で女性の闇と成長を描く ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」 【画像】入山法子さんの撮り下ろし写真

入山法子(いりやま・のりこ)さんのプロフィール

1985年、埼玉県出身。2004年4月、大学入学と同時に週刊朝日の表紙を飾りモデルデビューし、2006年、ドラマ『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系列)で本格的に女優デビュー。CMや舞台、雑誌、PVなど幅広く活躍。主な出演作に、映画『ハッピーフライト』『SP 野望篇・革命篇』『となりの怪物くん』『天上の花』、ドラマ『きみはペット』NHK連続テレビ小説『エール』『雪女と蟹を食う』など。

ドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』

出演:〈シーズン2〉茅島みずき、綱啓永、新井美羽、稲葉友、石川恋、橋本マナミ、入山法子 〈特別編〉齊藤なぎさ、本田響矢
原作:『明日、私は誰かのカノジョ』をのひなお/サイコミ(サイコミ/Cygames)
監督:〈特別編〉酒井麻衣〈シーズン2〉権野元 菅原正登
脚本:三浦希紗 イ・ナウォン 川原杏奈
製作:「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS
MBS(毎日放送)毎週火曜深夜0:59~
TBS 毎週火曜深夜1:28~
RKB(RKB毎日放送)毎週月曜深夜1:55~

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。