元CA芸人CRAZY COCOさん『SCHOOL OF LOCK!』初の女性教頭に!「お笑いもラジオもOJTで」
「ああいう人とは一緒に番組やりたくない(笑)」と“校長”に……
「日系CA vs 外資系CAの明らかな違い」「オツボネCA」あるあるなど、ショート動画で注目を集める元CA 芸人のCRAZY COCOさん。その異色のキャリアとネタで注目を集めています。デビューから1年も経たないうちに『アメトーーク!』(テレビ朝日)、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ)などをきっかけに一気にブレイク、4月からは『SCHOOL OF LOCK!』のパーソナリティ・COCO教頭に就任しました。
――COCOさんにとって、もともとラジオはどういう存在でしたか?
CRAZY COCOさん(以下、COCO): 私にとってラジオとは、“母と一緒に聴くもの”だったんです。私が14歳の時に父が他界し、母はいつも忙しく働いている人でした。でも週末にはよく一緒にドライブをして、車内で山下達郎さんだったりとか、関西ローカルでキヨピーさん(谷口キヨコ)の番組を聴いたりとか。だから「やっとお母さんと一緒にいる時間できたな、っていう時に一緒に聴いてたもの」という感じですね。
――ラジオパーソナリティは芸人として「やりたい仕事」のひとつに掲げていらっしゃいましたよね。
COCO: 直にリスナーとコミュニケーションをとれるのがすごくいいですよね。SNSでもファンの方に向けて発信はできますが、ラジオはより幅広い層にリーチできる。留学だったり外資系企業での就職だったり、ほかにも自分が経験してきたことで何か若い人たちの背中を押せたらと以前から思っていました。特に『SCHOOL OF LOCK!』では、パーソナリティがリスナーに電話をかけてお悩み相談に乗る“逆電”という名物コーナーもありますしね。
――番組のリスナーの多くは中高生ですが、生放送で直接声をかけるというのは正直緊張しませんか?
COCO: 「こんなこと言って大丈夫かな」「こういうアドバイスって大人っぽすぎるかな」みたいな線引きには、まだ全然慣れないですね。この間もオープニングトークで「週末オカンとゴルフしてました」とか話しちゃって(笑)。相方のこもり校長(小森隼)がうまく笑いに変えてくれたんですけど、そういう10代向けのマインドへの切り替えはまだまだ課題です。
――『SCHOOL OF LOCK!』のパーソナリティはオーディションで勝ち取られたそうですが、そういったCOCOさんらしいキャラクターも期待されているのではないでしょうか?
COCO: 出演にあたってスタッフさんからは「新しい風を吹かせてほしい」というようなことを言われました。今まで18年間、『SCHOOL OF LOCK!』には女性のパーソナリティがいなかったこと、それから、全然堪能ではないですけど英語を話せることや、勉強方法についても少しはお話できるので、長くエンターテインメントの世界でやってきたこもり校長と補い合えるような関係になることを期待してもらっているのかなと思いました。
でも実はこの間、こもりくんから言われたことがあって……。オーディション最終に残っていた面々の中で「ああいう人(COCO)とは俺、一緒にできひんでってスタッフさんに言ったのにCOCOさんになっちゃったんですよ」って(笑)。
――なんと(笑)。
COCO: 私もすぐに「こっちもアンタととかイヤやし!」って言い返して(笑)。でもそれぐらい適当にいろいろ言い合える関係なので、私が緊張しててもこもりくんが男子校ノリみたいなチョケ方でいじってくれたりして、すごく感謝していますね。
――おふたりのコンビネーションが今後も楽しみです。新しいことへの挑戦、課題をどんなふうに乗り越えていこうと思いますか?
COCO: トライアンドエラー、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でやっていくしかないと思ってます。
――「OJT」で! まさにビジネスマン経験者ならではの方法!
COCO: この番組だけでも、月曜から金曜の担当スタッフさんが毎日違って、言われることもそれぞれ違うんですよね。「もっとこうしたほうがパーソナリティとして上手に聞こえるよ」というアドバイスをいただくこともありますが、それは最終的に私が目指しているところなのかな?とか、振り返ったりしながら咀嚼(そしゃく)していく。いろいろな意見を一旦聞きつつ、自分のものにしていく感じですね。
でも、最優先にしたいのはやっぱりリスナーにどれだけ寄り添えるかっていうことだと思っています。たとえば私は今まで洋楽ばっかり聴いてきてたんですけど、番組にも出演されているMrs.GREEN APPLEさんとか、Saucy Dogさんとかを最近聴き始めています。そういうところからリスナーに歩み寄っていくことが、まず今できることかなと思ってはいます。
本当にやりたいことをやってこなかった自分
――芸人に転身したのが35歳の時ですよね。その年齢から新しいことを始めるのには大きな勇気がいりませんでしたか?
COCO: CAを辞めてからいくつかの仕事を経て、外国人の就労サポートのお仕事をしていた時に、新型コロナに罹って入院したんです。その時「本当にやりたいことをやってないな、自分」っていう気持ちが沸き起こってきて。退院までの2週間、ひたすらベッドの上で自分の人生を振り返って、掘り下げて――クラシックバレエの発表会ですごくテンション上がってたなとか、文化祭でダンスやったりネタやったり、みんなを笑かすのが好きだったなとか、友人の結婚式の余興に10回は呼ばれたなとか……。
そういう「点」が「線」になって「私のやりたいことは芸人だった、エンターテイナーだった」って気づいたんです。同じタイミングで20代の後輩が同じくコロナに感染して亡くなっていたことを知り、そこからはまったく迷いはなく、衝動のようにお笑い芸人の道に進みました。
――生き死にについて考えた時に、たとえば好きな人と一緒にいたいとか、結婚したいとか、そういったことは頭をよぎらなかったですか?
COCO: 実はコロナにかかる2週間ぐらい前に、付き合ってた彼氏と別れたんです。「幸せか幸せじゃないかで考えたら、全然楽しくないし幸せじゃないから別れよう」とふと思ったから。「自分が人生で本当にやりたいこと」を考えるタイミングでは、別の男の人と付き合うとか結婚するとかいうことは全然考えられなかった。もしこの先ひとりで死ぬとしたら、どんな人生にしたかったかっていう方向に気持ちが向いていきました。
――芸人の活動を始めて1年半になりますが、面白いなぁと思うのはどんな時ですか?
COCO: 私のターゲット層って20代〜30代の女子が多いんですけど、芸人としてテレビに出るとそのターゲット層じゃないところへの影響力もすごいというところですかね。もともといずれテレビ出演につながればと思ってSNSで毎日動画を上げていましたが、『アメトーーク!』とか『細かすぎて〜』とかに出ると、一気に1週間でフォロワーが1万人とか増えたりして、そこは面白くもあり、怖くもあるという感じです。
――テレビ出演で新鮮だったのはどんなことですか?
COCO: バラエティー番組に出ると「こういうネタやってください」と指示がでることがあるんですけど、この間、関西ローカルの番組で「なにわのジェニファー・ロペス、CRAZY COCOです」って言ってくださいって言われて(笑)。「大丈夫かこれ? 自分なにやってんねやろ?」って思いつつも、全力でやると周りが笑ってくれたりして、これでいいんだって。
――業界ならではだなと感じる部分はありますか?
COCO: 番組に出る1週間前に打ち合わせをしても、当日収録に行ったら「今日これやってください」って急に全然違うこと言われたり……。私実はそういうの、すっごくイヤなんですよ。収録に向けて1週間前から用意してきてるのに、どう転ぶかもわからないことを直前に提案するって、今までの社会人経験ではありえなかったので。
たとえばプレゼンを1週間後に控えてたら、事前に資料提出して、チェックしてってやりますよね。それを当日になって「やっぱやらなくていいです」とはそうはならないじゃないですか。「会社やったら通用しないからね?」って思います(笑)。やらないと仕事を貰えないと思って今はやっていますが……業界のその感じはもうちょっとどうにか変わってくれないかと思いますね。
――芸人になるという夢を叶えて、その中でもひとつひとつ目標を達成していますが、次に目指しているのはどんなことですか?
COCO: 大きな目標で言うと、MCをやりたいです。ピンなのか、ほかのタレントさんと一緒になのか、どんな形でもいいです。どちらかと言うと、ネタで笑かすというよりは、喋りだったりとか、自分の言葉で誰かの背中を押したりできる立場になりたいという気持ちがあるので、そこを目指していきます。それからいつか、それがお笑いという形に限定されるかはまだわかりませんが、やっぱり海外進出もしたいと思っています。
●CRAZY COCO(クレイジー・ココ)さんのプロフィール
1986年、大阪府生まれ。大学を卒業後、商社などさまざまな職を経て27歳で外資系航空のキャビンアテンダントとなる。2021年、新型コロナウイルス感染をきっかけにお笑い芸人の道へ。CA経験を生かしたショート動画がSNSを中心に反響を呼ぶ。主な出演番組に『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』、『アメトーーク!』、『上田と女が吠える夜』など。