FP fumicoの“Live colorfully”#37 他人事じゃない傷病手当金~足らない出産育児一時金
保障が手薄な国保、健保組合は手厚いが…
ノートにも書きましたが、公的な医療保険の種類によって手厚さが違うことは強調しておきたいですね。
それも支払う保険料の多寡とは関係なく、健保組合、共済組合が最も手厚く、次に協会けんぽ。一方で国保は傷病手当金や出産手当金が基本的にないなど、保障が手薄なことは留意していただきたいです。
独立してフリーで働こうとお考えの方は健康保険のことより、仕事の内容や、その将来像をメインに考えていることと思います。ただ独立すると、入っている保険も保障の内容も変わるという点を、頭の片隅に置いておいてください。
また、当然ながらフリーで働いている方が、会社勤めになれば保障は基本的には格段に手厚くなります。
しかし、以前もお伝えしましたが、「健保組合に入っているから安心」ともいかなくなっている。財政悪化で解散する健保組合が増えているからです。
働く人が減るのを避けるため?
少子高齢化が進み、労働力人口が減る一方の日本。国は傷病手当金の期間を「通算」に変更するなど手厚くしています。
働く人を減らさないためにも、国としては病気になっても働き続けてもらいたいのでしょう。一方、働く人にとっても、がんなどに罹患しても入院期間が短くなり、働いたり休んだりしながら治療を続けるという選択肢も一般化。その中で収入が0になることは避けられるようになりました。
「就業不能保険」は制度を知ってから検討を
ここまで読まれて、telling,世代の方々の中には「関係ない」と思われた方もいらっしゃるでしょう。しかし、協会けんぽが一昨年10月に支払った傷病手当金を調べると、受け取る理由で一番多いのは、うつ病などが含まれる精神および行動の障害で約33%。がんが約15%だったそう。精神疾患は誰でもかかる可能性がありますから、無関係とはいきません。
そもそも、体力に自信がある人が病気にならないわけでもないですし、逆も然り。ぜひ自分事として傷病手当金の制度は知っておいてもらいたいですね。
最近、民間の医療保険で、病気などで長期間働けなくなったときに給付金を受け取れる、就業不能保険が人気です。ただ、休んだ期間のうち1年6カ月については、給料の2/3程度は傷病手当金で受け取れます。
民間の保険に入る場合は、傷病手当金の足りない分を預貯金などで賄えないなら考える、という順番がいいのではないでしょうか。
出産育児一時金は増額の見込みだが…
現在、増額が取りざたされるなど話題なのが、出産育児一時金です。これは出産に掛かる分娩費用の負担を軽減するための制度で、国保にもあります。
出産は病気の治療にはあたらないため、帝王切開の場合などを除いて公的な医療保険の適用外。費用は病院により異なります。
公的病院を対象にした厚生労働省の調べでは、室料の差額などをのぞく最低限必要な出産費用は2020年度は452,000円。都道府県によっても大きく違います。データによると、東京都が最も高く553,021円で、最も低い佐賀県では351,774円。
しかも出産費用は近年、上昇傾向です。これらを踏まえ、出産一時金は42万円から50万円に増額される見通しなのです。
しかし出産には、その前の準備や、産んでからのミルク代やおむつ代などで多額の費用がかかりますし、以降も養育費や教育費などがいる。少子化対策を本格的に国が行おうとするなら、出産時の「点」を支援するだけでなく、子育て前後の期間を「面」で幅広く支援できるような踏み込んだ対策が必要だと個人的には思っています。
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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、2月24日に公開の予定です。