FP fumicoの“Live colorfully”#30 「安いニッポン」への自己防衛、その方法は?
円安だから仕方がない?
「24年ぶりに円安水準を更新」「スーパーで〇〇が●●円に!」「10月は過去最大の□品目が値上げ」といった話題が、新聞やニュース番組を賑わしています。
これらを目にすると、円安で原材料や加工・輸送コストが上昇。その商品を購入することで、生活費などの支出が増加していると感じます。そして「お金が増えないし、貯まらないのは円安だから仕方がない」と思うようになりがち。
しかし、日本で“お金が増えない”のは、給料が上がっていないことや、社会保険料負担の増加など複数の原因があります。これは今に始まったことではなく、何年も前からで、単に向き合ってこなかっただけです。特に給料については長期間にわたり、横ばい状態が続いてしまっています。
しかも、これまでは消費税の税率アップなど見えやすい“負担増”への忌避感や、デフレが長く続いたことで物価は安かった。そのため、物価高の現状に対応しにくくなっています。
物価は上昇、賃金は横ばい
一方で「安いニッポン」が話題になっています。
回転ずしや100円ショップなど、日本では「高品質で低価格」を謳う業種が数多くあり、ディズニーの入場料は世界最安値だとか。
中藤玲さんが昨年著した「安いニッポン」(日経BP)で指摘していたように、そもそも日本は世界と比べて物価と賃金の双方が安いという話でした。
直近は物価は上昇する一方、賃金は上がらないという、より深刻な状況になりました。
物価・賃金ともに安いままなら、日本企業が、外資に買収されてしまったり、優秀な人材が海外へ流出してしまったり、海外からの高度人材の流入も見込めなくなったりというリスクも高まります。特に不足している高度な技術を持つIT人材を海外から呼ぼうとしても、日本の賃金水準では厳しい。
“使える制度は使いきる”
「現状維持バイアス」も働いています。
みなさんも「物価が高くなって負担が増えている」、「給料の手取り額が変わらない」といった実感はあると思います。それでも、現状を変えたくないので、何もせずに見て見ないふりをしているように感じます。この時代、ただただ流されることこそ、最大のリスク。国内外の情勢が流動的な今だからこそ、動くことが求められています。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
企業が積極的に賃金を上げればいいと個人的には強く思いますが、その体質が急に変わるとは思えず、現状では難しい。ならば、個人や家族で何とかするしかない。“使える制度は使いきる”ことで支出を抑えたり、積極的に投資をしたり、副業を検討したりといった対策が求められています。
ふるさと納税、返礼品の人気は…
日本では以前ほど充実していませんが大企業を中心に、十分な福利厚生制度があります。人間ドックの補助やグループ保険、自社やグループ企業の割安販売を活用することなどで、支出は抑えられます。
ふるさと納税も積極的に利用したい。これまでは名産の和牛などの高級品を返礼品として受け取る人が多かったですが、現在は農業が盛んな所からお米や野菜、製紙業で知られる自治体からはトイレットペーパーやティッシュペーパーといった生活必需品が人気の印象。生活費の負担を減らそうとしている方が多いと思われます。物価は上昇するが、賃金は上がらないニッポンを象徴しているように感じますね。
住宅ローン控除、生命保険料控除、医療費控除も、手続きしないと何のメリットも得られませんので、「面倒だから…」で済ませてはいけません。合言葉は「使える制度は使いきる」。
投資については、iDeCoやNISAのような国が政策として積極的に推進し、メリットが得られる制度は前向きに検討することをお勧めします。
もう1つの対策である副業については次回、詳しくご紹介しますね!
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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。