「バズの女王」あいめこさんが伝えるTwitterとの効果的な付き合い方

彼女がツイートした商品は売れる――。「バズの女王」とも称されるあいめこさん(30)は、シングルマザーとして奮闘しながら、得意のTwitterに着目。SNS運用代行会社を立ち上げて年商1億まで成長させました。大きな影響力を持つ一方、使い方によっては時に炎上や誹謗中傷もはびこるTwitter。効果的な付き合い方について聞きました。
あいめこさん カネなしコネなしのシングルマザーがTwitterで経営者に 「出国女子」が語る生きづらさ ロンドンなら仕事も恋も子育てもハッピー?

Twitterで炎上させない秘訣とは

――コロナ禍で「オンラインキャバクラ」のサービスを作ったり、10万超の「いいね」がつくTwitterの投稿を連発したりするなど、ネットを駆使してきました。現在Twitterフォロワー数1.9万人の「あいめこ」アカウントでは、プロフィールに顔写真を出しておらず、第一人称を「ぽく」としています。これはSNS上の戦略なのでしょうか?

あいめこさん(以下、あいめこ): はい。アカウントによってブランディングを変えています。「あいめこ」アカウントでは、属人感を出さないことが戦略の一つです。本名や顔出しをせずに、あくまで「あいめこ」というキャラクターを自分で作っている感覚です。自分のことを「ぽく」というのは、面白味を残したいという思いがあります。賢さを全面的に出すより、ちょっと変な方が憎まれにくいと思うので、定期的に一人称を変えています。

――投稿をバズらせることを得意とされていますが、Twitterの魅力とは、どんなところにあるのでしょう。

あいめこ: 普段出会えない人と出会えること、インプット量が増えること、本音で話せる友達が作れること。あと、自分が知らなかったお金の稼ぎ方や価値観に触れられることが、Twitterの面白さだと思っています。

6年ほど前から使用しているあいめこアカウントは、炎上したことがありません。基本的に、自分の行動線上以外のことは発信しないこと、そして、他人のことに対して言及しないと決めています。そうしたことが理由だと思っています。

オンラインとオフライン両方のコミュニケーションにおいて、面と向かってきちんと言えることしか基本的には言わないですし、みんなが気分よくいられるような発信を心がけています。

Twitterの基本は「楽しむ」こと

――オンラインにおいても、一方的ではなく双方向のコミュニケーションが大事なのでしょうか。

あいめこ: そうですね。例えば、Twitterで育児アカウントを作る人がいますよね。私も以前は作っていました。離乳食において、育児本では鍋から作る「7倍がゆ」のきちんとしたレシピが載っていますが、毎日がそれでは大変です。一方、Twitterではレンジでチンして手軽に作っているという投稿をしている人がいて。一般の他の人の様子が見られて良かったです。

大人になると、なかなか本心で話せる人は少ないと思います。環境や収入、時間の使い方などの価値観が違うと、話すのに気を使うこともあります。子どもの夜泣きの対応がつらい時、リアルの場だと「みんなやってることだし」とか「それはマシな方ですよ」とか思われてしまうことも怖い。でも、オンラインだと同世代の子どもがいる親が集まって、本音で「うちはこう」って言い合える。それがストレス解消になった記憶があります。

リアルな場では、自分の立場が気になってなかなかコミュニケーションを取れないことが、ネットの世界ではできることが今の時代はすごく良いなと思いますね。

「無印アロマオイル」の場合。過去に似た商品がバズっていたことを知っていたあいめこさん。その投稿の文書をリサーチし、参考にしてテキストを作る戦略を立てた結果、2.3万リツイート、10.4万件の「いいね」を得た。ツイート後、店頭から商品が消えたほどの影響力があった。もちろん、クライントから宣伝・拡散を請け負った案件ではない

――Twitterを使うにあたっての、コツや心構えを教えてください。

あいめこ: 皆さんに伝えたいのは、難しく考えず「自分の楽しいようにやればいいですよ」ということです。コロナ下で、SNSの需要が高まり、Twitterやインスタグラムなどを使う人が増えたと感じています。利用者が増えるのはよいことである一方、不安をあおる材料が増えたり、娯楽ではない空気感に変わってきたりしていることが少し心配です。

有益なことを発信しようと考え過ぎてしまったり、他人と比べてしまって気持ちが引っ張られてしまったりする面もあると思うのですが、まずは「楽しむこと」が大切。何事も楽しいと思えないものは長続きしないと思うので、相手からの反応を過剰に気にすることなく、自分なりの楽しさを見つけてみてください。

――中学生の頃からネットやSNSに親しみ、リアルな場よりオンラインの方が友達は作りやすかったそうですね。

あいめこ: 私がオフラインで人付き合いが苦手な理由は、「間」が怖いことなんです。私は友達と3人で並んで歩く時に、つい自分から後ろに下がってしまうタイプ。相手に気を使い過ぎてしまう傾向があります。

SNSでの文章のやり取りは、話す内容を考えたり、文章を推敲したりする時間を持てます。私の場合、それだと自分が伝えたいことを伝えることができて、人付き合いがうまくいったんです。

SNSを好きになった理由の一つは、自分がなりたい人物像を実現できたことでした。リアルでできなかった、「友達が多くて、明るくて、ポジティブな人間」というのを、ネットで表現できている感じです。

シングルマザーや主婦層向けの講座を作りたい

――今後の仕事の目標を教えてください。

あいめこ: 今後さらに需要が高まると予測するSNS運用において、困っている人のサポートをしながら、向こう2年で10億を稼ぐことを目標にしています。

事業を推進していくには、その意義が重要です。私はTwitterで社会的弱者を救うことを目的としています。その中で、シングルマザーの方や、子育てがひと段落した主婦の方らに、出来れば仕事をお願いしたいと考えています。

私自身、二人の小さい子どもたちを育てながら仕事をするシングルマザーです。経済的に苦しく、仕事と子育ての両立がいかに難しいかも身をもって経験しています。同じような環境の方で、本来は優秀な力を持っていながら、その力を発揮する機会がなく能力が埋もれているのはもったいないと感じています。

一方で、社会復帰しようとする女性に、私の会社からSNSの運用代行などをお願いしたいと思っても、SNSやデザインの知識がないとすぐには厳しいのが現実です。そこで、シングルマザーや主婦層に向けて、ライティング講座やSNS運用が無料で学べる場を、会社としても何か作れたら良いなと考えています。職業訓練的な場所が必要だと思っています。

――「Twitterで社会的弱者を救いたい」という思いについて、改めて教えてください。

あいめこ: ただ稼いでいる人は、周りからなかなか応援されないと感じています。稼ぐだけではなく、そこに社会的大義があることが大事だと思っています。誰もが知る有名な経営者のレベルまでいくと、いくら稼いでいるかではなく、その人の活動に注目が集まるようになると思っていて。

私は、結婚、出産、入院、離婚を経験し、現在は二児のシングルマザーとして奮闘しています。同じシングルマザーの方をはじめ、「私はもっとできる」と思っている女性の力になりたいという思いを持っています。私自身がTwitterで救われたので、同じようにTwitterを通して社会的な立場が弱い人に働く機会や夢を提供することで、社会に貢献していきたいと思います。

あいめこさん カネなしコネなしのシングルマザーがTwitterで経営者に 「出国女子」が語る生きづらさ ロンドンなら仕事も恋も子育てもハッピー?


●あいめこさんのプロフィール

1992年、滋賀県生まれ。本名は上村志津瑠(かみむら・しづる)。SNS運用会社、企画マーケティングを主な業務とするwithera(ウィゼラ)、sizuru wizの社長を務める。中学生からSNSの世界に浸り、大学時代は京都・祇園のクラブで水商売のアルバイトも経験。進学塾に就職後、結婚、出産、離婚を経験した二児のシングルマザー。独学でwebマーケティングなどを学び、2020年に生み出したオンラインキャバクラが話題に。社会と経済に貢献したクリエイターやインフルエンサーを表彰する「World Creator Awards 2021」を受賞。

『パソコンも持ってなかった私がTwitterで年商1億円稼ぐ理由。』

出版社:主婦と生活社

価格:1540円(税込み)

同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。