大原櫻子さん「裏切られたら、いい経験したなって捉えています」
ドラマの千歳、演じられるのが楽しみだった
――小学校の非常勤講師をクビになった千歳は、芸能事務所で働くことに。そして人気上昇中の若手俳優・藤代瀬那のマネージャーになります。千歳は噓が大嫌いなのに、瀬那は噓つき。しかも千歳は瀬那に騙され、恥をかかされた過去が……。
大原櫻子さん: ドラマの脚本は、原作の漫画の世界観とはちょっと違って、オリジナリティーにあふれている。特に千歳のキャラが全然違うんです。
漫画の中では“テキパキ仕事をこなす女性”ですが、ドラマでは“ちょっとどんくさいところがある女性”。漫画は「かっこいい女性」という印象でしたが、ドラマの脚本を読むと「かわいらしい女性だな」と感じました。
ドラマの千歳って、とにかく“ピュア”の一言に尽きるんです。将来は「小学校教員になりたい」という思いも伝わってくるし、正直でまっすぐな女性。そんな千歳を演じられることが、すごく楽しみでした。
――ご自身との共通点は?
大原: 自分のことを「かわいらしい」と思ってるわけではないんですけれど(笑)、ドラマの千歳の“おっちょこちょい”な部分は似てるんじゃないかな。一生懸命だからこそ、空回りしてしまう性格って言ったらいいのかな。でも、テキパキしてて、ちょっとピリッとしている漫画の千歳にも似てるかもしれない。ドラマと漫画、半々ですね。
たくさん噓をつかれる千歳と同様、私も嘘をつかれることが多いんです。「嘘を言いたくなられる存在」なのか、わからないですけど(笑)
決して簡単ではなかったけど、非常に演じやすかったです。「この役の思考がよくわからない」となることは、あまりなかったかな。
――演じたのは芸能人のマネージャー。役作りはいかがでしたか?
大原: 常に現場にいてくれる私の担当や、他のタレントさんのマネージャーさんなどを思い浮かべながら役作りしました。今回のドラマのために勉強したというよりは、このお仕事を始めてからずっと見てきた姿を思い返すような感じで。
マネージャーって、何を求めているかっていうことに、常にアンテナを張ってくれている。いつもお世話になっている立場だけど、現実は想像以上に大変なんだろうなと、すごく考えさせられましたね。
自分も他人も、まずは信じることが大事
――女癖が悪く噓つきな瀬那と、千歳は恋仲になります。瀬那のような男性について、どう思いますか?
大原: 男としてかっこつけたがっているというか、強がってツンツンしているような瀬那の感じは、客観的に見ていて非常にかわいいですよね。ただ、嘘をつかれる千歳の身としては「いい加減にしてほしい」と思うところはあります。私だったら多分、彼を好きにはならないです(笑)。
千歳と瀬那の関係は、気取ってないところがいいですよね。お互いに「こんなところを相手に見せたくない」みたいな気持ちがあまりない。千歳は瀬那に騙されて恥をかかされた過去があるから、「嫌い」っていう感情から始まる。マイナスからのスタートだからこそ、オープンでいられる2人の関係はすごくいいなと思います。
――噓つきな瀬那を信じる難しさもあるように感じます。大原さんにとって人を信じるとは?
大原: 永遠のテーマですよね。裏切られるのを怖がっていたら何もできなくなってしまうから、先のことは考えずに人を信じないといけないのかな。そうしないと、自分のことも信じられなくなってしまいそうじゃないですか。だから、自分のことも他人のことも、まずは信じることが大事なのかなと思いますね。あんまり人に期待をしすぎないようにしつつ、ですが……。
噓をつかれたり、裏切られたりしたことが後からわかることもあって……そういう時は「いい経験したな」とか「いろんなことを教えてもらったな」って捉えています。悔しさは後々バネになるから、「見てろよ」って気持ちにもなりますね。
疲れを吹き飛ばしてくれるラブコメです
――撮影現場はいかがでしたか?
大原: めちゃくちゃいい雰囲気でした。スタッフさんがたくさん動いてくださって。悪い意味でのピリつきが、全くなかった。和やかだけど、非常に引き締まっているような空気が流れていましたね。
換気などコロナ対策をしながらでしたが、みんなで和気あいあいと仲良くやらせていただきました。相手役の櫻井海音さんとは、カメラがまわっていないときにも、「次の休みは何したい?」とか、たわいない話をしました。
――最後に改めて見どころを教えてください。
大原: ラブコメなので、芸能事務所の同僚などキャラの濃い人物がたくさん出てきます。しかもコミカルなお芝居をされる方々ばかりで、楽しんでもらえると思いますね。若い女の子や男の子はもちろんですが、深夜枠なので、仕事が終わった大人の方にも見てもらいたいな。キュンキュンしてもらって、疲れを吹き飛ばしていただけたらうれしいです。
●大原櫻子さんのプロフィール
1996年、東京都生まれ。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」で俳優デビュー。第23回日本映画批評家大賞で新人女優賞の小森和子賞。テレビドラマでは「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」(2019年、ドラマParavi)、連続テレビ小説「なつぞら」(同年)などに出演。歌手としても活動し、アルバム「HAPPY」(15年)や「V(ビバ)」(16年)、「l」(21年)をリリースしている。
■ドラマParavi「つまり好きっていいたいんだけど、」
■放送日時:毎週水曜深夜0時30分から放送中
■配信:動画配信サービス「Paravi」で、毎週水曜夜9時より毎話独占先行配信中
■監督:棚澤孝義、古林淳太郎
■脚本:梅田みか
■原作:円城寺マキ「つまり好きって言いたいんだけど、」(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊)
■出演:大原櫻子 櫻井海音 森田望智 松井愛莉 東啓介・宮尾俊太郎・石川瑠華 佐藤江梨子 西村まさ彦 黒木瞳