剛力彩芽さん、コロナ禍で「自分の力を試したくなった」

モデルや俳優として幅広く活躍している剛力彩芽さん(28)。21日に公開される映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』では、終活に向き合う夫妻の娘を演じます。昨年には大手事務所から独立。新たなスタートを切ったばかり。独立後に感じていることや今後の目標、結婚観などをうかがいました。

色んな人に守られていたことを実感

――個人会社を設立して9カ月が経ちました。

剛力彩芽さん: 事務所に所属していた時は、本当に色々な人に守られ、助けてもらっていたことを実感しました。見えていない部分がたくさんあったな、と。お世話になれてよかったし、本当に感謝しています。
一方、守ってもらっていたからこそ、できないこともありました。今は「責任が全部自分にくる」っていう緊張感もありながら、すごくワクワクしています。面白そうなことに何でも目を向けられるようになって、視野が広がりましたね。

――具体的に感じている一番大きな変化は?

剛力: 「楽しそう」という直感を信じて仕事ができるようになりました。
とにかく楽しく生きたいんです。“自分の気持ちに反すること”は、やりたくないという思いがあって。考えることも大事だけど私、本当に直感で生きてるタイプなので。最初に感じたことを、もう一度考え直してみても結局、最初のところにたどり着いちゃう。だから考える時間を短くして、楽しそうなほうに進むのがいいかなって思ってます。
人と一緒に「これ楽しいよね」って考えるのも大好き。一人の時間も好きだけど、みんなで楽しいことを想像しながらやりたいです。

――昨年、28歳で独立の決断をするのは、勇気が必要だったのでは?

剛力: 環境を変えたいとは数年前から考えていたけれど、挑戦することへの不安もありました。
でも去年、コロナで生活が変わったことが大きかったです。みんなが外出できない中で、“個人が発信できるツール”が生きる時代だと、強く感じました。これから先は、その傾向がもっと強くなっていくかもしれない、私にもできるかな――と、自分の力を試してみたくなりました。

服が大好き。ファッションの力を人にも伝えたい

――様々な活動の中、アパレルブランド「STYLEVOICE.COM」とコラボして、服のプロデュースも始めました。性別や体形、年齢に関わらず楽しめる服をデザインされています。

剛力: もともと服が大好き。着ることを楽しんでいましたが、「自分でつくる」ことまでは興味を持っていませんでした。
2年前に、結婚した姉のウエディングドレスの試着に付いて行ったんです。姉は背が低くて華奢だから、似合うものが少なくて「どんな服を着たらいいか分からない」というタイプ。でも、そんな姉が好みのドレスを見つけて。試着室から出てきた時の、幸せそうな笑顔がすごく胸に刺さりました。「デザイナーってこういう気持ちなんだ」って、なぜかデザイナーの立場で感動したくらい(笑)。その時初めて、「服をつくりたい」と思いましたね。
母も服が大好きだけど、身長が150センチと低め。そんな姉や母を見てきたから、体形や年齢、性別も関係なく楽しめる服をつくりたいんです。
私自身が小さい頃から服に助けられてきたから、余計にそう思うのかもしれません。

――助けられたというのは?

剛力: 服は、私にとって自分を表現する手段の一つ。
楽しい時には気分に合う服を着たいし、落ち込んでいる時だからこそ、逆に明るい色の服を着ることもある。オーディションを受けてお仕事をもらっていた時期は、お気に入りの服を着て臨んでいました。受かった時には「服のおかげ」とも思ったし、着ることで自信がつくんです。そんなファッションの力を、人にも伝えたい。
ただ、売れるものと自分が求めるものって全然違うので、つくる難しさはすごく感じています。

30歳を迎える時も、「楽しい」と思っていたい

――そんな中、まもなく30歳を迎えられます。映画にもあるように親世代から「結婚しないの?」みたいな圧力を感じることは?

剛力: 私たちの世代の多くは結婚が“ゴール”ではない。だから「結婚しないの?」って言葉は、ちょっとどうかな……。「こうあるべき」という固定観念がなくなって、一人ひとりが尊重し合えるようになればいいですよね。
ただ、「髪切った?」とか「今日の服可愛いね」といったコミュニケーションの取り方は、なくなってほしくないと個人的に思います。私は可愛い服を着るし、お洒落だねって言われたい。そういうのが全部問題とされるのは、ちょっと寂しいな。

――結婚願望はあるのでしょうか?

剛力: 両親が24歳で結婚しているので「24歳で結婚して、20代でママになって…」みたいな理想が、昔はありました。でも、年を重ねて行くごとに「私って結婚にあんまり向いていないかもしれない」とも考えるようになって。入籍にこだわる必要がないと今は思っています。2人で話し合って、お互いが気持ちよくいられるところを探しながら、一緒に人生を歩めたらいいな、と。
「20代のうちにママになりたい」というのも、なくなりましたね。子どもが欲しい気持ちはありますが。

――どのような変化の中で、年齢へのこだわりがなくなったのですか。

剛力: 28歳の誕生日を迎えた途端でした。28歳って大人なイメージだったんですけれど、実際なってみたら何にも変わってない。それに私、今がすごく楽しいんです。
30歳を迎える時にも、「楽しい」と思える自分でいたい。年齢にとらわれて「結婚しなきゃ」とか「産まなきゃ」とか考えるんじゃなくて、「したい時にする」でいいかなって思うようになりました。
振り返れば25歳を超えてから、人生がより楽しくなったんですよね。「早く大人になりたい」という願望が、10代の頃からずっとあって。前の事務所は「25歳まで男女交際禁止」というルールがあったので、20歳よりも25歳のほうが成人した感覚がありましたね。25歳になって、恋愛ではっちゃけすぎちゃったんですけれど(笑)。

――今後の目標を教えてください。

剛力: コロナ下だから、もちろん健康で安全っていうのが第一。そんな中で、みんなが「楽しい」「いいね」と思えるような発信をしていきたいです。“剛力彩芽”という一人の人間として、色々な方法でみんなに表現を届けられるようになりたいな。
人としては、年相応に生きたいですね。自分の気持ちに正直に、楽しんで生きている先輩がたくさんいるので。

●剛力彩芽さんのプロフィール
1992年、神奈川県生まれ。2008年からティーン向けファッション誌『Seventeen』(集英社)の専属モデル。2007年、ドラマ『チョコミミ』(テレ東系)で女優デビュー。「ランチパック(山崎製パン)」や「au」などのCMに出演し11年、『日経トレンディ』(日経BP社)が選ぶ「今年の顔」に選ばれた。代表作に映画『黒執事』(14年)やドラマ『女囚セブン』(17年、テレ朝系)などがある。20年、個人会社「株式会社ショートカット」を設立した。

1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。