土屋太鳳さん「竜也さんにたどり着きたい」叶った共演は「夢のよう」 映画『鳩の撃退法』

かつては直木賞も受賞した天才作家・津田伸一(藤原竜也)が執筆中の小説に入り交じる虚構をめぐって物語が展開するミステリー映画『鳩の撃退法』が、27日から全国公開されます。小説に魅了され、翻弄される担当編集者・鳥飼なほみを演じるのは、女優の土屋太鳳さん。映画の見どころや、役作りについて聞きました。

「分からなさ」が面白い

――『鳩の撃退法』は天才作家の津田が、富山で経験した出来事を元に書いた小説が物語の中心。「神隠しにあったとされる家族」「舞い込んだ大量の偽札」「裏社会の男」など様々な要素が複雑に絡み合い、虚実ない交ぜになった物語です。

土屋太鳳さん: 演じている私も本当に難しくて、翻弄されました。すごく大きな「はてな」が頭の中に浮かんで……多分、みなさんと同じ感想だと思います。
人ってあらゆるものに答えを求めがちで、「楽しい」とか「怖い」みたいな分かりやすい感情にさせてくれる映画が多いと思うんです。でも、この映画は時間や場面が行ったり来たりもして、不条理なんです。舞台のような 、夢を見ているような感覚に近いのかな。どのシーンが、映画の中の“本当のこと”なのかすら分からないまま、ストーリーが進んでいきます。
その「分からなさ」が面白い。見た後に「あれって、結局何だったの?」ってディスカッションができるエンターテイメントだと思います。

©2021「鳩の撃退法」製作委員会  ©佐藤正午/小学館

――土屋さんが演じるのは、津田の担当編集者である鳥飼なほみ。津田の小説の内容がフィクションとは思えず、現場に行って検証する役です。

土屋: なほみは、津田さんの小説を読みながら「ここに書かれていることは本当にあったことなんじゃないか」と疑い、出てくる土地を訪ねて真実を探る役。この映画を見てる人と同じことを考え、みんなの代表として情報を集めに行くんです。お客さんと映画をつなげ、津田さんの小説の「噓じゃない、現実の部分」を伝える重要な役だと思っています。

――役作りはいかがでしたか?

土屋: 真実を知りたがる役なので、台本をあまり読み込まないほうがいいと考え、自分が出るシーン以外は、あえて流しましたね。
興味があることに対して、自分で動いて情報を集めに行くあたり、私となほみって結構似てるんです。私も直接知りたいって思うタイプで、人づてはあまり好きじゃないんですよね。
ただ言葉づかいは、すごく違ったかも。なほみって「そうっすね」や「うっす」みたいな言葉を使います。私もたまに、ふざけて「あざーっす」って言うことはありますが 、本当にたまになので。マネージャーさんが「やばいっすね」って普段話しているのを聞いて、盗む感覚で真似しました(笑)。

――書きかけの小説の続きが気になったなほみが、津田から「読みたければ20万円払え」と求められるシーンがありました。土屋さんだったらお金を払ってでも読みたいですか?

土屋: 面白かったら続きが気になっちゃうんじゃないかな。そこに真実があると思ったら、「そのために働いてきたんじゃい!」ってお金を払っちゃうかもしれないです。

竜也さんとの共演、ドキドキ感が押し寄せて

――藤原竜也さんとの共演は?

土屋: 2014年に公開された映画『「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」』で、ご一緒はさせていただきましたが、共演するシーンはなかったので、竜也さんとお芝居したのは今回が初めて。
私、竜也さんが沖田総司役で出ていたNHK大河ドラマ「新選組!」(04年)が大好きなんです。DVDを何度も見返すくらい、はまっていました 。「沖田総司は竜也さんしかいない!」と思うくらい、ファンだったんです。
初めてお会いしたのは、『カイジ 人生逆転ゲーム』(09年)の撮影の時。私は隣のスタジオで別の撮影をしてました。 香川照之さんが「竜也いるから挨拶しよう」と声をかけてくださって。その時、グッと握りしめるような力強い竜也さんの握手に、ハッとさせられて、なぜか「竜也さんにたどり着きたい」という気持ちになったんです。
『るろうに剣心』の打ち上げで再会した時に、「カイジの撮影の時、握手させていただいたの、私なんです」って伝えたら、「あー!あの時の女の子ね。よく這い上がってきたね」って言って下さって。それが嬉しくて「いつか絶対に共演したい」と思っていましたね。

©2021「鳩の撃退法」製作委員会  ©佐藤正午/小学館

――今回の共演はいかがでしたか。

土屋: 編集者のなほみは作家である津田さんのファンという設定。なほみから津田さんに対する思いと、私が竜也さんに抱いている思いが似てる気がしました。
目の前にいる竜也さんとセリフを交わす緊張感が、とにかくすごかった。竜也さんって、ちょこちょこ突っ込んでくるんですよ。「そうなの?」とか「なんで?」って(笑)。そう言われるたびに「え、どうしよう」って言葉に詰まって、ドキドキ感が押し寄せて……本当に夢のようでした。

謎解きを楽しんで

――改めて映画の見どころは。

土屋: タイトルにも物語の中にも「鳩」という言葉が出てきますが、「鳩って何のことだと思いますか?」って、私がみなさんに聞きたいくらい。そういう謎解きを楽しんでもらえたら嬉しいです。
はっきりしているのは、「ちょっとした考え方や選択の仕方次第で、人生はいい方向に変えられる」ということを伝えてくれている。私はそんな映画だと思っています。 

●土屋太鳳さんのプロフィール
1995年、東京生まれ。2008年、映画「トウキョウソナタ」で映画デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」(14年)に出演後、「まれ」(15年)でヒロインを演じた。主演映画に「オレンジ-orange―」(15年)「8年越しの花嫁~奇跡の実話~」(17年)、「哀愁しんでれら」(20年)などがある。今後は「アイの歌声を聴かせて」(10月29日)、「大怪獣のあとしまつ」(22年)が公開。NHK「シブヤノオト」(土曜、23:10~)にてMCも務めている。

『鳩の撃退法』

監督:タカハタ秀太、脚本:藤井清美、タカハタ秀太
原作:佐藤正午『鳩の撃退法』(小学館刊)
出演:藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司 他
配給:松竹 
8月27日(金)全国公開
©2021「鳩の撃退法」製作委員会  ©佐藤正午/小学館

スタッフ=ST:岡部俊輔 (UM)/HM:尾曲いずみ

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1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。