フリーアナウンサー・林みなほさん「コンプレックスを強みに」やりたいことを見つける視点の変換とは(後編)
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- 前編はこちら:「青天の霹靂で独立。かっこ悪いぐらいがむしゃらだった」フリーアナウンサー・林みなほさんの仕事術
自分の頭で考える子を育てる
――フリーアナウンサー、美容サロン経営と活動的にお仕事をされていますが、家庭との両立はどのようにされているのですか?
林みなほさん(以下、林): 正直、家事はおろそかになっています。部屋も散らかっていることが多かったり、洗濯物が山積みになることも(笑)。でも、ありがたいことに、夫はそれに対してなにも言わないんです。うちはシェアハウスをしているくらいの感覚で、それぞれがやりたいことをやって、家事もできる人ができる時にやるというスタイル。こういう家庭を持てたことが、何よりの強みかもしれません。
夫婦円満の秘訣は、必要以上に求め合わないことです。だから過剰な期待もしない。これって一見寂しいことのように聞こえるかもしれないけれど、人は期待をするから、裏切られたときにストレスや悲しみを感じてしまうのだと思うのです。これでうまくまわる理由は、夫も私も根底に絶対的な信頼とリスペクトがあるからではないでしょうか。子どもの食事に関しても、「つくりおき.jp」という食事宅配サービスを活用しています。週替わりで栄養満点のメニューが届くので家事の負担もぐっと下がり、とっても助かっています。イマドキの便利なサービスに思いっきり頼ってしまおうと思っています。
――先ほど旦那さんに「期待しない」とおっしゃっていましたが、お子さんにもいい意味で期待せず、やりたいことをやらせる、ということですか?
林: そうですね。過剰な期待はしないですね。子ども扱いをしすぎることもないですし、あれもこれも全部を教える子育てはしないのでその分、自分の頭で考えられるように育ってくれているなと感じています。ありがとう、ごめんなさいなどの挨拶ができて、思いやりのある人に育ってくれたらそれ以上に強く望むことはないかなと。やりたいことをやらせたいですね。YouTubeを見ることやゲームをすることに対しても全否定をすることはありません。両親ともに好きなことに没頭するタイプなので、本人が集中してやっていることであれば無理にとめることはしない、という考え方です。大人の都合で、彼の中の知的好奇心を奪うようなことは絶対にしたくないなと思います。
人の役に立つためにも、インプットを増やしたい
――林さんが次にチャレンジしようと思っていることは何ですか?
林: センスを磨くこと、経験・知識を増やすことです。私はスイッチが入って、語り出したときの熱量がすごいとよく言われます(笑)。昔から、いいモノ・コト・情報をシェアして、人の役に立てたら、という気持ちが強くて。熱量は人を動かす力になりますが、だからこそ、きちんと“本物”を見極めてから伝える必要がある。経験と知識を元に、その魅力を正確に捉え、伝えることができるし、説得力につながると思うのです。
このマインドはアナウンサーになって培われた部分だと思います。やはり最終的には、「言葉で伝える」ことに行き着くのかなと。その引き出しを増やすためにも、インプットが必要。独立以降、がむしゃらに走り続けて時間を作ることができなかったので、今年は学ぶ時間も取り入れていきたいと考えています。
――林さんの行動力には驚きます。そのモチベーションはどこから出てくるのでしょうか?
林: 「人に還元したい」「人の役に立ちたい」という気持ちが強いのかな。「自分は何をしたらいいのか分からない」「私には稼ぐ力がない」という相談をされることがよくあります。私自身、自分で仕事を見つけたり稼いだりできる力をつけたことで、心がすごく安定しました。だから、自分がもっと成長して「あなたにもできるよ」ということを伝えられる人間になるのが今の目標です。
人生のなかで「ワクワクする瞬間」を見つける
――30歳前後の女性はライフステージの変化もあり、周りと比べて自信を失いがちです。そういうとき、林さんだったらどうしますか?
林: いくつになっても自信をなくしたり、落ち込んだりする日はあると思います。私も根はかなりのネガティブ思考。今でも隣の芝生は青く見えてしまうけれど、比べたって仕方ないこともわかる年齢になりました。完璧な人はいないので、自分にがっかりすることも、嫌だなと思うこともあるけれど、これが私だと、あきらめ半分、愛おしさ半分の気持ちで、かわいがるしかない。人生で誰よりも長い付き合いになるのが自分だから。
自分自身を受け入れて、ありのままの自分を好きでいてくれる人や評価してくれる場所に身を置くことで、生きやすくなるのではないかなと思います。ネガティブな自分の性格を熟知した今だからこそ、視点の変換も自分を救うひとつの手段だなと思いますね。
――「視点の変換」とは例えばどのようなことですか?
林: 私はずっと太っていることがコンプレックスだったけれど、だからこそ「痩せられた」というドラマが痩身サロンの経営に活きています。ずっと痩せている人がダイエットについて語るより、万年ダイエッターで長年太っていた私が痩せて、そのメソッドを届ける方が、説得力があると思いませんか。長く付き合ってきたコンプレックスだからこそ、その引き出しは豊富だったので。こうして捉え方次第で、大きな強みに変わるんだなと改めて感じました。
――「やりたいこと」がない、見つからないという人もいます。どうやったら見つけられると思いますか?
林: これまでの人生で「ワクワクした瞬間」を振り返ってみてほしいです。これをやっている瞬間は心から楽しいとか幸せと感じていたな、とか。自分の中では努力をしているつもりなく、毎日やっているようなことだったり、無意識でやっていることもあるのでは。それを直接仕事に繋げるのもありだし、必ずしも仕事にしなくてもいい。プライベートにワクワクを取り入れて、自分の人生をプラスの感情で過ごせたらいいと思うんです。やりたいことが必ずしも大きなことである必要はありません。自分がワクワクしている瞬間に気付くことで何か変わるきっかけがあると思います。
あとは、「人生一度きり」だから、少しでも気になったら、その世界を覗くための一歩を踏み出してみる。大人になるとその一歩が重くなりがちだけれど、変化を恐れる必要もないし、身構えすぎることはありません。ちょっと勇気を持って踏み出すことで、人生は豊かになる。私はそう強く感じたので、とにかく一歩、半歩でもいいから踏み出してみるのがいいと思います。
――最後に、これから一歩を踏み出そうとしているtelling,読者に、メッセージをお願いします。
林: まずは、小さなことでも成功体験を積み重ねることで、チャレンジする勇気が持てるようになるかもしれません。そして、一歩踏み出す時には、手放す不安があると思うけれど、それまでに得た経験やキャリアは決してなくならない。進んだ先でも必ず生きて、自分の助けになる。人生の答えはひとつではありません。自分にとっての幸せとは何かを知って、それに素直になることが大切なことなんじゃないかな、と思います。
人生の中に、「ワクワクの要素」を見つけることで、モヤモヤが少し晴れるかもしれません。
■林みなほさんのプロフィール
フリーアナウンサー、美容サロン経営。2012年アナウンサーとしてTBSテレビに入社。情報番組やバラエティーなど、幅広く活躍し、 2019年に退社。現在はフリーアナウンサーとして活動しながら、本格的に美容業界に進出。トータルビューティサロンQuality Of Beauty(QOB)を経営し、エステティシャンやヘアメイクアドバイザーとして多くの悩める女性をサポートしている。2021年4月15日に発売を開始したファッションブランド「KOL」でディレクターを務めている。