「私の仕事は男性のためではない」小倉由菜さんがセクシー女優になりたかったワケ

女性にも絶大な人気を誇るセクシー女優・小倉由菜さん。もともと「芸能人になりたいと思ったことはない」という小倉さんは、高校生の頃からセクシー女優になろうと思っていたそう。デビュー3周年を迎えてた小倉さんに、なぜセクシー女優になろうと思ったのか、SNSのアンチコメントについてなど、お話をうかがいました。

芸能人ではなく「AV女優になりたい」と飛び込んだ

――直球にお聞きします。小倉さんはなぜAV女優になろうと思ったのですか?

小倉由菜さん(以下、小倉): AVに興味を持った理由は、育った家庭が性にオープンだったからかな、と思っています。昔から父とは仲がいいのですが、父がテレビや週刊誌を見ている時に、小池栄子さんや深田恭子さんのようなセクシーな女優さんに対して、デレデレひとり言を言ったりしていて。キレイなカラダの女の人には価値があるんだと、小さい頃からぼんやり思っていました。物心つくようになってからは、自分が女で、まだ若いということにも、なんとなく優越感がありました。

――AVの存在を知ったのはいつ頃でしたか?

小倉: AVの存在をはじめて知ったのは、父が隠し持っているAVを見ちゃった時。そういうのって、よくあることですよね。でも、うちは父が性に対してオープンな人だったので、AVを発見してしまった時も、罪悪感はまったくありませんでした。お父さんってそういう人だし、というくらいで、あとは好奇心だけ。だから、私の中でAVは「怖いもの」ではなかったんですよね。

AV女優という職業のことは、高校生になってSNSを本格的に使いはじめた時に知りました。タイムラインにたまたま流れてきた紗倉まなさんのツイートを見て「AVに映っているのは女優さんなんだ」ということを知って、合点がいきました。興味を持っていろいろ調べたら、女優さんはみんなかわいくて、身体がキレイな人ばかりで。シンプルに憧れてしまったんです。私もこの人たちみたいになれたらなあって。

――では、芸能活動に興味を持ったからではなく、AV女優そのものに興味を持った、ということですか?

小倉: モデルやタレント、芸能人になりたい、と思ったことはありませんでした。AV女優一択でしたね、私は。学校での進路調査には「芸能」も「AV女優」もなかったので、もしもAV女優になれなかったら、趣味の語学で進学したいと思っていました。私じゃなれないかもと思っていたから、最初はなかなか周りには言えなかったんです。

――周りに言えなかったのは、AV女優という職業に偏見があったからですか?

小倉: 偏見はまったくなかったですね。田舎で育ったせいかもしれないけれど、周りの子も暇だから、盛り上がるトークといえば、彼氏とのセックスのことばっかりって感じで。紗倉まなさんや明日花キララさんなど、マルチに活動している女優さんもいたので、教室でも男女問わず普通にAV女優さんの話が出る雰囲気でした。

むしろ、とにかくきらびやかで憧れの世界だったので、なれなかったらかっこ悪いなと思っていて……。昔はどんな人でもできる仕事だったのかもしれないけれど、私から見たAV女優は選ばれた人しかできないもので、誰でもできるものではありませんでした。SNSで見る限り、AV女優はかわいくて素敵な女の子ばかり。私は顔や体型に自信がなかったから、目指すと公言するのもおこがましいかもと思っていました。

――ご両親には希望する進路のことは相談しましたか?

小倉: 両親には進路のことを決める時にはっきりと「AV女優になりたい!」と相談しました。もちろん複雑な思いもあったのかもしれませんが、無趣味で流されやすかった私がはじめて強く主張した気持ちを、しっかり受け止めてくれました。今は父の友だちまで「新聞載ってるのみたよ!」と声をかけてくれたりします。周りの友人たちも、大きなリリースがあると「がんばってるねー!」と応援してくれて……本当にうれしいです。

憧れの紗倉まなにはなれない。でも、自分にしかできないことがある

――2017年末にデビューして3年が経ちました。実際にAV女優になってみて、想像と違ったことはありますか?

小倉: いい意味で、予想以上に幸せになれているなと思います。ハードな撮影でも、制作さんやマネージャーさんたちは本当に私の心も体も気遣って、細かくケアしてくれます。それに、AV女優になることができたからこそ、高校生の時に考えていた語学の道は諦めてしまったのに、今は語学を活かして働くことができています。YouTube発信もしていて、私は韓国語が得意なので、韓国のYouTube事務所に所属しているんです。

――韓国はAVが合法化されていない国ですが、実際の反応はどうですか?

小倉: 韓国にはAV女優という職業がないので、韓国の方からすれば私は得体のしれない人なのかもしれないですね。韓国にはまだAVへの偏見もあって、憶測でひどいコメントがきたり、通報されたりして、Instagramアカウントが凍結してしまったこともありました(笑)。でも、知らなかったからこそ興味を持って、応援してくれる人も多いんです。

――職業に対する偏見の強いアンチコメントを見てしまって、へこむことはないですか?

小倉: アンチのことはなんとも思わないですね……。むしろ私のことが気になって仕方ないんだろうし、恐ろしく長い文章が来る時など、逆に尊敬しちゃうこともあります(笑)。

アンチよりも、内部の人に仕事のダメ出しをされる時の方がへこむかも。指導だということは分かっていても「ちょっと太ったんじゃない?」とか「売上が落ちてるよ」とか、そういう指摘される時の方がへこみますね。

――仕事でへこんだ時はどうしていますか?

小倉: そういう時は、とにかく寝る。周りからは明るいねと言われることが多いし、みんなには「いつも元気なゆなちゃん」って思っていてほしいから、へこんだ時はよく寝て、一人になる時間を作って、自分で消化します。

――憧れている女優さんや、なりたい女優像などありますか?

小倉: 憧れているのは、事務所の先輩でもある紗倉まなさんです。一緒の事務所に入れた時は、本当にうれしかった。多岐に渡る活動をしていて、すごいなと思うと同時に、いろいろな可能性があることを教えてくれる人です。私たちはなんでもできるんだから、自分もできることを見つけたいと思えるんです。

AVは女の世界なので、上下関係がしっかりした現場もあるのですが、まなさんは本当に優しくて話しやすい方。才能があるのに、それをひけらかさない……私にとっては絶対的な存在です。でも、いくらなりたくても、まなさんみたいにはなれない。私しかできないことを見つけていきたいです。やっぱり私の強みは語学なので、これからも韓国をはじめアジアに向けた発信をがんばりたいです!

おばあちゃんになったら、孫に自分のグッズを見せてあげたい

――このお仕事をしていて、よかったと思う瞬間はどんな時ですか?

小倉: たくさんありすぎて難しい……! お仕事で大好きな海外に行けることもうれしいし、作品がリリースされる時は毎回、自分の生きた証が残っていくことがうれしい。

でも、やっぱりファンの方の応援を目の当たりにした時が一番うれしいです。作品がどのくらい売れてるのかは、私の耳には届いてこないから、明確な数字がわからないんです。契約が終わっていなくなっちゃう女の子もいて、いつまで続けられるかもわからない中で、イベントで直接お会するファンの方の声は、確実に本物だから。本当に支えになっています。

――今後の目標はありますか?また、10年、20年経った時に、どんな女性になりたいですか?

小倉: AV女優として需要がある限り、小倉由菜でいたいです。30歳になった時には女優をやっていないかもしれないし、結婚して子どもがいたりするのかもとか、全然わからないけれど……。胸を張って生きられたら、それでいいのかなと思います。
今までに出したカレンダーや写真集とか、全部大切に保管しているんです。いつかおばあちゃんになった時、孫に見せてあげたい。未来のために、今できることを考えたいです。

――ありがとうございます。最後に、telling,読者にメッセージをお願いします。

小倉: AV女優の記事に興味を持ってくださって、うれしいです。私は男性のためにAVに出ているとは思っていません。SNSやYouTubeなど、女性に向けても発信をしています。AVを見なくても、フォローしてくれるだけでもいいので、女性にも堂々と好きだと言ってもらえるようにもっとがんばります。私を通して、女性が性について話す機会が増えたらいいな。そういうきっかけができたら、私の作品を手に取ってみてください。

1992年生まれ・フリーライター。広告業界で絵に書いたような体育会系営業を経験後、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿。Twitterでは恋愛相談にも回答しています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。