「日本の家族は“母であること”を押しつけすぎる」美容家・佐田茉莉子さんがシンママでセクシー女優になった理由

美容サロンを経営し、お客様からの相談を受けているうちに、“女性としての性”に関する興味関心が深まっていったという美容家の佐田茉莉子さん。10歳になる娘を持つ佐田さんは、41歳にしてセクシー女優としても活動を始めました。お子さんにも仕事のことを話しているといいます。彼女はなぜセクシー女優として活動することを決めたのでしょうか。その理由と、女性一人で生きていくために考えていることをうかがいました。

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母であっても、女であり続けていい

ーー佐田さんは長く美容業界で働かれていたそうですね。サロンを経営し、その道でも成功されています。なぜ40歳を過ぎてから、セクシー女優として活動しようと思われたのですか?

佐田茉莉子さん(以下、佐田): 端的にお答えすると「その時自分が興味を持ったことをやっているだけ」なんです。

私の世代は美容業界にまだ夢があった時代で、カリスマ美容師たちがもてはやされていました。昔から「なんでもいいから、自分のお城を築きたい」という思いがあって、美容業界でなら経営者になれるかも、と思ったことが美容業界を目指したきっかけでした。

美容師としてスタートし、需要に合わせてヘアメイクや美容コンサルもするようになり、トータルビューティーサロンを経営することになりました。まったく異業種とも言えるセクシー女優に興味を持ったのは、サロンのお客様たちからセックスレスの相談を受ける機会が増えたからです。

美しくなりたいと望む女性の中には「美しさ=女性らしさ」だと考えている人も多いんです。結婚しても一人の女性として、美を求める人もいます。その心は、と聞くと、夫に気づいてほしい、というかわいらしい女心だったりするんです。とはいえ、セックスレスになってしまうと、性行為に対しては結局受け身で、諦めてしまう人も多いのだという事実を知りました。

私はもう離婚してしまっているので、既婚セックスレスの当事者ではないけれど……年齢を理由に自信をなくしてしまう人たちに、もっと自分らしくあってほしいなと思いました。そのためには、性に対して主体的であるべきだと思ったし、私自身が体現するきっかけがほしかったんです。

ーーそれで、デビューを決意されたのですね。アダルトビデオに対しての偏見や、出演するということへの不安はありませんでしたか?

佐田: 私はネットネイティブではないので、正直このようなコンテンツとは無縁の人生を送っていたと思います。映像を見たこともなかったですが、不思議と偏見はなかったですね。

私が最初に存在を認識したのは、小学生くらいの頃です。飯島愛さんがタレントとして活躍し始めた頃に「ああ、これが男子が騒いでいるエロビというものに出ている女性なのか」とぼんやり感じました。父が買ってきては放置している週刊誌の袋とじを見ても、嫌な気持ちは全くなく、女性の曲線美とは、こんなにも美しいものなのだなあとシンプルに憧れていました。

ーーなぜ子どもの頃から偏見がなかったのでしょうか?

佐田: 私が嫌悪感を抱かなかったのは、母が性教育に関心があったからだと思います。我が家では性にまつわることが、NGワードになっていませんでした。ドラマや映画で、お茶の間を気まずくさせるシーンが出てくることがありますよね。母はそれを避けるでもなく、その行為がどういうことなのかを「愛」という言葉を使って私に説明してくれました。そのおかげで、多くの日本人が感じるほどは、私は性に対して偏見がないんです。

ーーご自身のお子さんに対して、なにか説明をされていますか?世間からのイメージへの不安や違和感はありませんでしたか? 

佐田: 私は日本の家族が女性に「母であること」を押し付けすぎていると感じています。私も母ではあるけれど、子どもは私の所有物ではないし、逆もまた然りだと思っています。

子どもに対しても周りに対しても、隠して活動する気は全くありませんでした。この活動には女性への鼓舞の気持ちも大きいので、隠してやるくらいならやる意味がないと思っています。

特に娘に対しては、しっかりとこの仕事をすることについても話し合いました。まだ10歳なので、細かく教えているわけではありませんが……まずは娘に、私がセクシー女優として働くことを許してくれるかどうか、了承を得ました。私が裸で仕事をすることで、友だちになにか言われる可能性があるけれどそれでもいいか、と。

見下す人がいるかもしれないけれど、お母さんは誇りと目的を持ってその仕事をするのだと伝えたら、娘も「お母さんの好きにしていいよ」と言ってくれました。今では売上げランキングを一緒にチェックするくらい、応援してくれています。

男性に頼らず、自分の足で立って生きていきたい

ーーご自身もお子さんに対する性教育をしっかりされていきたいと考えていますか。

佐田: 性に対することを隠すのは違うと思っています。ドラマのシーンなどで、本人が疑問に感じたことを聞いてきた時は、ちゃんと教えてあげています。

性に関することって、意外と生活のいろいろなところにあふれていますよね。うちでは動物をたくさん飼っているのですが、動物は本能的なので、どうしても性的な活動をしてしまう瞬間がある。犬のマウンティングや、魚の交尾など、その瞬間に立ち会った時は、その意味をしっかりと教えています。

ーーお子さんとの時間も大事にしてらっしゃるんですね。

佐田: サロンワークをこなしていた時期はがむしゃらに働いていたので、娘と一緒にいてあげられないことも多かったから……。今はなるべく週末を娘との時間にしてあげたいと思っています。

今はこういう仕事も始めたので、サロンはほぼ外注しています。その分は不動産収入で補填しています。

ーーサロン業に女優業に、不動産収入も。どうしてそこまでマルチに稼ごうと思ったのですか?

佐田: これまでの人生で私が培ってきた、女一人で生きていくための知恵なんです。男性って、本能的には女性を管理したいんだと思うんです。例えば、収入のチャネルがひとつしかなかったら、それを取り上げられたら終わってしまう。そういう経済的DVを潜在的に受けている女性は、けっこう多いのではないでしょうか。

そうならないためにも、収入のチャネルは多く持っておきたい。少なくとも娘には、気苦労をかけたくないですしね。

ーー恋愛面でも苦労されているのですね。また結婚したいと考えてらっしゃいますか?

佐田: 私はもういいかなと思ってます。昔は「結婚=幸せ」だと思っていたけれど、そうとは限らないということもよく分かりましたし。

私にとっては、誰かに頼って生きるよりも、自分の足で立って歩いた方が楽だったんです。どうしても必要だなと思ったらするのかもしれない、というくらいですね。

ーー最後に、セクシー女優という職業に、年齢制限はあると思いますか?

佐田: 私はないと思っています。80歳の現役女優さんもいるくらいですから、ニーズって意外と広いんです。私はそういう女性をリスペクトしていますし、自分がやりたいと思える限りは、続けていきたいですね。

1992年生まれ・フリーライター。広告業界で絵に書いたような体育会系営業を経験後、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿。Twitterでは恋愛相談にも回答しています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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