紗倉まな×ウイ対談

紗倉まな×ウイ対談02「純愛したいって声を大にして言いたい」

AV女優で文筆家としても活躍中の紗倉まなさんと、紗倉さんの書く文章の大ファンというコラムニストのウイさん。ウイさんの処女作でもある『ハッピーエンドを前提として』(KADOKAWA)の中でも大事なテーマとなる「運命」について語りました。

●紗倉まな×ウイ対談〈後編〉

紗倉まなさん(以下、紗倉): 運命ってあると思います?

ウイさん(以下、ウイ): 運命って便利な言葉なので、使い方も難しいですよね。こういう人がいたらいいな、って条件をあげることには興味がありますが。紗倉さんはどうですか?

紗倉: ウイさんの本には、「“運命的に出会った人=運命の人”ではないようです。運命の出会いなんか幻想です」と書かれていて共感しました。でも、やっぱり運命を求めてしまう乙女心もあるんですが……(笑)。

ウイさんの運命の人の話も面白かったです。昔大好きだった人と同じ香りがする女性とすれ違って、思い切って香水の名前を聞いて「ファブリーズ」って返される話。結局その女性は既婚者だった、っていうオチなんですけど(笑)。ネタとして昇華したくなるほどの、エンタメあふれる出会い。それは自分にとって刺激、ときめきがあれば運命なのかなっていうのが私の中での着地点です。

「出会いは神経衰弱みたいなもの」(紗倉)

紗倉: 本には、容姿も中身も優れている女性との交際を断る場面が出てきますが、それも刺激やときめきが欠如していたのかな、と。自分の中での心の値打ちってそういうところで決まるんじゃないかなって考えてしまいました。

出会いって神経衰弱みたいなもので、タイミングがあわないと、いつまでたってもペアにならないじゃないですか。

取材に応じた紗倉まなさん

ウイ: あれ、あのカード、どっかにあったけど、どこだっけな。さっきでたよな、この辺にあったんだけど……とかやってるうちに、他の人にとられちゃう。

紗倉: そうそう、あーそんなわかりやすいところにあったのか!って。

「本当は恋愛結婚をしたい」(ウイ)

紗倉: ウイさんは絶対忘れられない人とか、引きずりすぎて自分の恋愛に支障きたした、みたいな人っているんですか。

ウイ: 女性とはいい思い出の方が少ないですよ。ブログで公表したこともあるんですけど、家がカルト集団だったり、霊的な物のお世話になったり、相手がストーカーみたいになったりしたこともありました。

だからこそ契約結婚とかをブログで提唱しながら、正直に言うと第一希望は恋愛結婚したいっていう思いを抱いちゃうんでしょうね。

取材に応じた紗倉まなさん(左)とウイさん

紗倉: 世の中の事情と、相手と自分のタイミングとご縁と……で恋愛結婚を諦めた上で、本当はね、という気持ちはわかります。普通に恋愛をして……普通といっても浅いもんじゃなくて、お互いに尊重し合える模範解答みたいな恋愛をしたい。相手と自分の気持ちの天秤がうまく釣り合っている状態の恋愛から、結婚をしたいと思っているんです。

ウイ: 僕も36歳になって、結婚しなきゃ、というよりは結婚したいと思えるようになってきました。

「私は結婚や出産に抵抗がある」(紗倉)

紗倉: 「結婚したい」という気持ちになるまで、男女で時差はありますよね。女性に出産時期があるからなあ。もし、50、60代でも産めたら、20、30代で焦る必要もないのに。女性が焦ってしまうのも仕方ないし、それに付き合わなきゃいけない男性も酷だよなあって思います。

私は産んでも育てられる気がしないので、産みたいと思ったことがないんです。私の性格が悪いんですけど、赤ちゃんだからっていうことで無条件にかわいいって思えないんですよ。母性の欠如があるのかな。結婚や出産に抵抗がある。こういう女性と、結婚してくれる男性はいるのかなあ。

ウイ: 紗倉さんのエッセイ『働くおっぱい』の中でも“結婚と出産。二大イベントなのか。二大恐怖なのか。二大幸福なのか”と書かれてますもんね。

紗倉: ウイさんの「結婚したい気持ち」はどこから湧いてるんですか。

ウイ: シンプルに「憧れ」です。先日読んだ本の中で、放送作家の鈴木おさむさんが、妻である森三中の大島美幸さんについてお子さんが産まれる前のインタビューでこう語っていたんです。「妻が死んだら僕も死ぬ。僕の生きる意味は妻だから、妻が死んだら生きる意味がない」と。背中に美幸って墨を入れていて、ああ愛だなと。それくらいのめり込める人と出会いたいなと、これが結婚の理想形だと自分の中で発見しました。

紗倉: こういうことを言うと、あざ笑う人もいるじゃないですか。一人の人を愛し続ける覚悟もないし、あわよくば浮気しちゃえって思う人。そういう、純愛をばかにする人たち、私はすごく苦手です。できれば純愛で愛し、愛されたい。でも、そう思う人ってまれだと思う。

ウイ: 僕は純愛したいって声を大にして言いたいですね。36歳の独身のおっさんが何を言っとんねん、ってたたかれそうですけど。

芸能人のニュースや友達を通して不倫やDVやモラハラなど結婚の悪い面も見てしまっている。だけど、その両方を見てもなお、やっぱり結婚っていいなって思うし、幸せな結婚をみんなにもしてほしい。っていうかしたいって常日頃から思ってます(笑)。

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次回は紗倉まなさん×ウイさん対談の番外編。お互いの著書のファンだというお二人に、それぞれの本の魅力についてお話していただきました。
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●紗倉まなさんプロフィール
1993年生まれ、千葉県出身。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。著書に小説『最低。』『凹凸』(KADOKAWA)、エッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)などがある。

●ウイさんプロフィール
1982年、山形生まれ。彼女なし。自称恋愛結婚不適合者。会社員のかたわら、月間PV約100万のブログ「ハッピーエンドを前提として」を運営。3月に同名の書籍を発売。恋愛ハウツー記事が人気で、ツイッター(@ui0723)のフォロワーは約4万人。

働くおっぱい

著:紗倉まな

ハッピーエンドを前提として

著:ウイ

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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