『JJ』元専属モデル・筧美和子さん「JJは、温かい、ホームのような場所でした」

1975年に創刊し、78年から月刊で発行していた女性向けファッション誌『JJ』(光文社)が2020年12月23日発売号を最後に、毎月の発行をやめました。14~19年に専属モデルを務めた女優でタレントの筧美和子さん(26)に、JJでの思い出や、不定期の刊行になることなどについて聞きました。

イメージは「大人のお姉さんの雑誌」

――筧さんの芸能界入りは2012年。その前にJJを読んだことはありましたか?
筧美和子さん(以下、筧) :小さい時、たまに遊びに行っていたおばあちゃんの家で、読んでいました。おばあちゃんがよく雑誌をくれて、その中にJJもあったので、小学生の時から見ていました。

――JJは、コンサバ系ファッションを取り上げる“赤文字系”の雑誌です。当時はどのようなイメージを持っていましたか?
筧 :おばあちゃんの家で見たときは、黒木メイサさんなどが出ていて、すごくかっこいい印象を受けました。「雑誌の中でも、クール系なのかな」って子どもながらに思った記憶があります。中学生や高校生になってからは、大人のお姉さんの雑誌というイメージが強かったかな。当時の私にとっては、遠い世界でしたね。

――子どもの頃から身近だったんですね。中高生になってからはファッションに興味はありましたか?
筧 :洋服もヘアアレンジも好きだったので、おしゃれは好きなほうだったと思います。当時は情報源が雑誌しかなかったから、色んなファッション誌を読んで、真似していました。美容院に行くときも、ヘア特集の切り抜きを持って行ってましたね。
モデルの長谷川潤さんがすごく好きだったので、『ViVi』と『GLAMOROUS』(ともに講談社)をよく読んでいました。『sweet』(宝島社)などに出ていた梨花さんも好きでした。ガーリーで個性的なファッションが載っている“青文字系”雑誌や、JJも読んでいたので…結構幅広かったですね。

モデルになれず、自分の見た目を責めていた

――芸能界に入り、グラビアの仕事や、フジテレビ系リアリティーショーテラスハウスの出演などを経て、20歳でJJの専属モデルになりました。もともとモデルの仕事に興味があったのでしょうか?
筧 :スカウトされて芸能界に入った当初は、自分が何をやりたいか、ハッキリしていなくて。まずはどんなお仕事でも興味があるものには触れてみたいと思っていました。その中で「モデルをやりたい」という思いもありましたね。昔からファッションが好きだったので。でも、モデルのオーディションを受けても、なかなか通りませんでした。「何がダメなんだろう」と考えて、最終的にはいつも、自分の外見ばかり責めていました。「そもそも身長も160センチ前半で足りない」とか、痩せたり太ったりを繰り返していたこともあって…改善できるよう、努力しているつもりでした。だけど、自信のなさがにじみ出ることで、オーディションに落ちる…といった悪循環を繰り返していたのかもしれません。

――どういう経緯でJJの専属モデルになったのでしょうか?
筧 :グラビアや、テレビに出ている私をJJの編集部が知ってくれて、面接とカメラテストを受ける機会を頂けることになりました。
「難しいのかな」と思っていたけれど、モデルは諦めきれない――そんな時期だったので、すごくうれしかった。深夜にマネージャーから「合格したよ」と電話がかかってきて、跳び起きた記憶があります(笑)。

JJは温かい、ホームのような場所

――JJの主な読者である女子大生については、どう見ていましたか?
筧 :職業は違ったけれど、年齢的には同じなので、私も読者と同じ感覚でいられたように思います。勉強になることも多かったし、共感できることもたくさんあった。
最初は先輩モデルたちの背中を追いかけることしかできませんでしたが、途中からは、「私ならではの表現」を探すようになりました。

――「私ならではの表現」とは、どんなことだったのでしょう?
筧 :私のように、グラビアを経験した人がファッション誌の専属モデルになるのは珍しかったんですよね。それに、JJ専属モデルになった頃は、ちょうどお芝居を始めた時期でもありました。「グラビアや演技を経験しているからこその表現ができたらいいね」と、編集部の方にも言ってもらえて。私が経験してきたことを写真の中で表現できれば、それはすごく意味があることだと感じました。
グラビアとファッション誌って、撮影の仕方が全然違うんです。グラビアは、写真の背景にあるストーリーなどをイメージしながら時間をかけます。「動きの途中」みたいなポーズもある。一方で、ファッションは、ワンカットずつポーズを決めて、テンポ良く撮っていくので、グラビア出身の私はJJの撮影でも、それまで培った“繊細な表情や動き”や“きめすぎない動作”を意識していました。

――約5年間、JJ専属モデルを務めました。筧さんにとってJJとはどんな存在だったのでしょうか。
筧 :温かい、ホームのような場所であり、同時にいい緊張感を持たせてくれた場でもありました。毎月チャレンジさせてくれて、私の可能性を広げてくれた。自分の好きな「ファッション」というジャンルだから…というのもあったかもしれません。

――毎月撮影があると、いい刺激になりそうですね。
筧 :自分の写真はもちろんですが、色んなファッション誌を見て、モデルさんのポーズや表情を研究しました。「次はこれに挑戦してみよう」ってイメージを持って、毎月撮影に行くのが楽しみでしたね。

――今後は不定期での発行になります。
筧 :聞いたときは驚いたし、個人的にはすごく思い入れがあるので、さみしい気持ちはあります。でも、いまの時代を考えたら仕方ないのかなと、冷静な自分もいる。
JJは、ファッション界には欠かせない存在だったし、これだけ長く続いたこと自体が、すごいことです。それに、時代が変わって再び求められるようになれば、また復活するかもしれない。これはこれで一つのかたちだと思います。

●筧美和子さんのプロフィール
1994年、東京都生まれ。2013年にリアリティーショー『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演。14~19年に、女性誌『JJ』の専属モデルを務めた。女優としてドラマや映画に出演。主な作品に、『犬猿』(18年)、『スマホを落としただけなのに』(18年)など。

1989年、東京生まれ。2013年に入社後、記者・紙面編集者・telling,編集部を経て2022年4月から看護学生。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理、銭湯。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。