「ブレーキをかけない」プロレスラー・白川未奈さんの生き方 会社員からグラビアアイドル、そして――。ユニーク過ぎる転身を続ける”理由”

ブライダル関係の会社員、グラビアアイドル、そしてプロレスラーへ。異色のキャリアを歩んできた白川未奈さんに、これまでの決断を振り返ってもらいつつ、”なかなか一歩が踏み出せない人”へ伝えたいことなども語ってもらいました。

私、このまま死ねないぞ!

――2018年夏にプロレスデビューをした白川さん。大学卒業後はブライダル業界へ就職し、その後グラビアアイドルへ、そして現在というキャリアを歩んでいます。

白川未奈さん(以下、白川): 厳しい家庭で育ったので、大学卒業後は就職するのが当然との雰囲気があり、一度はブライダルの道へ進んだんです。
好きな仕事で不満はなかったのですが、小さい頃から芸能界への憧れがずっとあったので、物足りなさというか、「私、このまま死ねないぞ」という強い思いを抱いていました。そこで、チャレンジしてみようと思ったんです。

その時すでに24歳。1から芸能事務所などのオーディションを受けるのも違うだろう、と思い、原宿の竹下通りを6往復してスカウトされるのを待ちました。
いくつかの事務所から名刺をもらうことができたのですが、どの事務所からも「グラビアをやらないか?」と誘われました。
そもそも歌手志望でしたが、「求められたことをしてから、自分がやりたいことにシフトチェンジすればいい」と思い、グラビアの世界へ飛び込んだんです。

リングでの白川さん(右)ⓒSTARDOM

――当初の夢とは違う形での芸能界入り。グラビアのお仕事はハードな場面も多いと思います。心が折れることはなかったですか?

白川: ブライダルの会社を辞めて、グラビアの活動を始めたことを1、2カ月は同居していた両親に内緒にしていて。会社に出勤するふりをして漫画喫茶で時間を潰していたこともありました。
その後バレてしまったのですが当然、家族は大反対。現在に至るまで活動を応援してくれていません。
支えてくれる身内がいないことや、人前で水着になることへの精神的なストレスはやっぱり大きかったですね。はじめてのDVD撮影ではカメラが止まった瞬間、大号泣しました。

――それでもグラビアを続けられた。転機はあったのでしょうか?

白川: はじめて2、3カ月ぐらいの頃。プロレスの試合を偶然、観に行ったらレスラーの方が命をかけて試合をしている姿を見て――。仕事への意識が変わりました。体を張ってお客さんを楽しませていて、「私なんて、まだまだ」って、自分が恥ずかしくなったんです。

それからはスタッフさんと良い作品を作っていこうという気持ちが芽生えてきて、切り替わりました。バストがHカップというわかりやすい特徴に注目してもらえて、バラエティ番組のお仕事をいただくこともできた。
「売れるために頑張ろう」って、どんどんポジティブな気持ちになっていきました。

――そんな中で、プロレスデビューしようと思ったのは?

白川: もともと両親と「30歳までに地上波のテレビのレギュラー番組を持てなければ、芸能界を辞める」と約束していたんです。でも、実現できなくて。
その少し前から、「プロレスをやってみないか」とオファーをいただいていました。でもプロレス観戦が大好きだっただけに、「生半可な気持ちではできない」とずっとお断りをしていたんです。
ただ、どうしても人前に立つ仕事を続けたかった。だから、やってみようと思ったんです。

――大きな決断です。

白川: それに私は、自分がお棺に入るときに「あぁ、あれをやっておけばよかった」という思いをしたくないと常々思っていて。「チャレンジしないときっと後悔する」と思って、Yesの返事をしました。

結婚しても、「夫に養ってもらう選択肢はない」

――レスラーになって、環境の変化はありましたか?

白川: 実家を出て、ひとり暮らしをするようになりました。グラビアアイドル時代は、プロモーションなどで稼働が多い割には、お給料が厳しかった。ですけど今は、贅沢をしなければ生活できるほどのお金は、いただけるようになったので。
ひとりで住むようになって両親も、自分の足で立てていると思ってくれているようで。まだ活動を認めるとまではいかないけれど、見る目が少し変わっているように感じることもあります。

――頑張っているんだなと。

白川: 少し変かもしれないですけど、自分のやりたいことをやり続けることと同時に、両親に認められたいという気持ちが、やっぱりどこかに私にはあるんですよね。
会社を経営している父が乗っている高級車に、自分の力で買って、乗れるようになるぐらいになりたい!とも思っています。

ロメロスペシャルをかける白川さん(下)ⓒSTARDOM

そんな私は結婚して夫に養ってもらって……というイメージは全くなくて。結婚してもバリバリ稼いで、自分のことは自分でするというスタンスが理想ですね。

――結婚願望はいかがですか?

白川: いつかはしたいですけど、今はないですね。まだ叶えたい夢もあるし。大学時代の友人の中には結婚して子どもがいる人もいて、たまに比べて「これでいいのかな?」って思ってしまうこともあります。でも、人生で大事にしたいものや、何を大事にするべきかのタイミングは人それぞれ違うと思うので、今の私はプロレスを頑張っていきたいなぁって思います。

――白川さんのように、自分の気持ちを大事にしてチャレンジし続けられるようになるために必要なこととは?

白川 :  「自分にできるはずがない」って思ってしまう人って、きっと周りから言われてきた過去の言葉が原因なんじゃないかな。「あなたには無理だよ」「今からチャレンジしても無駄だよ」という”圧”。でも、そういうことを言う人って根性がなくて、挑戦を諦めた人たちなんだと、私は思います。
限りある命、失敗したとしてもやったことが次に繋がる。
踏み出す前ってすごく怖いけど、その先には絶対、楽しいことが待ってるはず。
周りのことなんて気にしないで、自分が自分のことを大事にしてあげるのが一番の幸せへの道です。人を傷つけない範囲で、自分を最優先にして、誰よりも自身を愛し、キラキラしていれば、結果として周りのことも幸せにできるんだと思います。踏み出すことを恐れないで!

●白川未奈(しらかわ・みな)さんのプロフィール
東京都出身。青山学院大学文学部英米文学科を卒業後、ブライダル業界を経て、グラビアタレントとしてミスFLASHセミファイナリストに選ばれるなど活躍。 2018年8月にプロレスデビューし、「グラドルレスラー」と呼ばれることも。

■白川さんも出場する直近のスターダムの大会
『スターダム10周年記念イヤー夢の祭典~プロローグ~OSAKA DREAM CINDERELLA』

日程:2020年12月20日(日)開場15:00/開始16:00
会場:エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)第1競技場

現在肩書き無し。30歳の夏、港区での彼氏との同棲を解消、同時に8年マネージャーとして勤務した芸能事務所を退社する。ライター業ではお笑いやサブカルチャーに関するコラムをwebサイトに寄稿など。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。