プロレスラー白川未奈さん 「おいババア!」と言われてもリングに立ち続けるワケ

プロレスラーとして現在、活躍している白川未奈さんは30歳を過ぎてからリングに立ちました。年齢にとらわれず挑戦を続ける理由とは――。ご両親との関係や今後の目標などもあわせて、お話をうかがいました。

どうして日本って年齢で区切ってしまうの?

――30代でプロレス界に進出した白川さん。グラビア活動をしていた頃は年齢について揶揄されたこともあったそうですね。

白川未奈さん(以下、白川): 30歳になる時は相当いろんな人に言われました、「これからどうするの?」「グラビアなんてもうできなくない?」って。こんなに男性って女性の年齢を気にするんだって思いましたね。
プロレスデビューをした時も同じ。「その年齢でやれるの?」って散々言われましたから。

でもきっと、同年代の女性も同じような経験をたくさんしているはずですよね。「まだ結婚しないの?」って会社の人に言われたり、年齢で周りの人からブレーキをかけられたり・・・。
どうして日本って、年齢で区切ってしまうんでしょうか。男女ともにそうですよね。
年齢という数字だけ見るって、その人自身へのリスペクトが全然ないじゃないですか。
私も試合中に観客や試合相手から「おいババア!」とか言われることもあるんですよ。

――そこまで露骨に!

白川: でも、年齢のことでしか人を悪く言えない人は、「ボキャブラリーがないんだな」って気にしないようにしています。
アメリカには、結婚しても、ママになっても、年齢を重ねても、活躍しているレスラーの方がいっぱいいます。私もまだまだ体力もありますし、若い子たちと同じぐらい動ける自信もある。だから、「○○歳なんだから」という声に惑わされず、自分の身体を大事にメンテナンスして、やれるところまで頑張り続けたいと思っています。
どんなことを言われても、最後にリングで立っている方が勝ちという世界です。「絶対に立ち続けるんだ」「私の姿を見て元気になってもらうんだ」という気持ちでやっています。

――とても心強いです。

白川: もちろん辛いですよ。命をかけてやってますからね。毎回、死ぬかもしれないと思ってリングに立っています。全身打撲で動けないことなんてしょっちゅうだし、毎日どこかしら痛いのが、当たり前で。

リングでの白川さん(上)ⓒSTARDOM

そもそもスポーツの経験がなかったので、プロレス入り直後は基礎的な倒立もできませんでした。バランスを崩し、膝が鼻に当たってしまって顔が思いっきり腫れたときには整形疑惑が出たことも・・・。
だからこそ、きちんとケア。整体に行ったり鍼をしたり、日常のトレーニングにもお金がかかります。でも、表に出る人間として「輝いていたい」って思って続けています。
グラビアアイドルとして30歳を迎えた時にも「崖っぷち」とか言われたけど、文字どおり崖っぷちの、くすんでいる女性にはなりたくないんです。

自分のために涙を流してくれるファンがいる

――グラビアとプロレスで、大きく違う点はありますか?

白川 :  グラビアの仕事ではDVDを出したときなどにファンの方から「かわいいね」「癒されたよ」と言葉をかけてもらっていた。一方、プロレスでは涙を流したファンの方から「感動した」って言ってもらうことがある。人を感動させられるって、すごく大きなやりがいです。生きる活力になれてると痛感します。

――貴重な経験ですね。

白川: それにグラビアの仕事では男性のファンがほとんどだったんですけど、プロレスを始めてから女性のファンが増えました。うれしいですね。「ちゃんみな(白川さんの愛称)が頑張ってるから、私も頑張る」とか言ってくださるんです。
「巨乳グラビアアイドル」という職業柄、女性に敬遠されてしまう面もあったから、こんな風に”人間・白川未奈”を応援している、と同性の方にも言ってもらえることは、すごいことだなぁと思います。

試合で技をかける白川さんⓒSTARDOM

――フィールドが変わって新しい世界が広がってるのですね。

白川 : 本当に変わりましたね。30歳になるまでは、年齢のことやキャリアのことなど、周りに言われすぎて・・・。どうしても年齢を意識せずにはいられなかったけど、プロレスを始めてから「なんだ、まだまだ全然できることあるじゃん!」って思うようになりました。

両親の結婚記念日に一緒に食事に行ったときにも驚きがありました。ずっと私の仕事に反対していた父がシェフに「この子、プロレスやってんだよ、応援してやってよ」って話してくれたんです。それまでの父は、私の仕事のことを周囲に隠していたんですよ。びっくりしました。
まだ「認めている」という心からの言葉はもらえてないけど、私の本気度は伝わっているのかな。

――今後の夢はありますか?

白川 : プロレスラーとして活躍することはもちろん、「おもしろいお姉ちゃん」になりたいとずっと考えています。下町出身で飾らない性格も生かした”おもしろい女子プロレスラー”が夢。
来年はレスラーとしてバラエティ番組などにもいっぱい出たい。「今のプロレス界ってこんな子もいるんだ」と思ってもらえたら、うれしいですね。

――アメリカにはママレスラーはたくさんいるとのことですが、日本にはいないのですか?

白川: 日本でもママになってからもレスラーとして活躍していらっしゃる方はいます。でも私の所属するスターダムにはいないんですよ。結婚願望はありませんが、将来はスターダム初のママレスラーを目指すのもいいかな!
私はとにかく、その時、その瞬間に置かれたポジションで、最大限のパフォーマンスをして、プロレスを観る方の力になりたいんです。ボロボロになっても、やり続けますよ!

●白川未奈(しらかわ・みな)さんのプロフィール
東京都出身。青山学院大学文学部英米文学科を卒業後、ブライダル業界を経て、グラビアタレントとしてミスFLASHセミファイナリストに選ばれるなど活躍。 2018年8月にプロレスデビューし、「グラドルレスラー」と呼ばれることも。

■白川さんも出場する直近のスターダムの大会

『スターダム10周年記念イヤー夢の祭典~プロローグ~OSAKA DREAM CINDERELLA』 日程:2020年12月20日(日)開場15:00/開始16:00
会場:エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)第1競技場

現在肩書き無し。30歳の夏、港区での彼氏との同棲を解消、同時に8年マネージャーとして勤務した芸能事務所を退社する。ライター業ではお笑いやサブカルチャーに関するコラムをwebサイトに寄稿など。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。1歳のビッグボーイ育児中。