秋冬の紫外線対策!皮膚科医が教える、シミやシワなど“光老化”を防ぐ方法
紫外線は1年中!冬も紫外線対策は必要
紫外線の量は5~6月から徐々に増え、7~8月の真夏の時期にピークに達します。9~10月でも、実は5~6月と同程度で、ピーク時の6割程度。1年の中で最も紫外線量が少ない12月~翌年2月でさえ、晴れの日はピークの4割程度と言われています。紫外線は1年を通して降り注いでいるので、冬も注意が必要です。
冬の紫外線の特徴
総量が少ない冬の紫外線ですが、特徴があります。
①夏よりも低い位置から紫外線が当たる
太陽の位置によって、紫外線の当たり方は変わります。真上から紫外線が当たる夏は、髪の毛や鼻、頰の高い位置などが日焼けしやすい一方で、顔全体や首などは紫外線が当たりにくい。冬は太陽の位置が低いため、顔全体や首などに紫外線に当たりやすく、影響も違います。
②肌の色など目に見えるような変化がない
夏は紫外線量が多いので日に当たると肌の色がすぐに黒くなりますが、冬は紫外線量が少ないので、目に見えるような変化が現れません。そのため対策を怠りがちで、知らず知らずのうちに、たくさんの紫外線を浴びてしまう可能性があります。
UV-A波とUV-B波の二つの紫外線
紫外線には、UV-A波とUV-B波があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
UV-A波の特徴
紫外線のほとんどは、UV-A波です。浴びたA波の2~3割は、肌の弾力を保っている「真皮層」といわれる部分に到達し、活性酸素を発生させます。活性酸素は真皮層に蓄えられているコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力に欠かせない物質を壊すため、シワやたるみができやすくなります。また、A波はメラニン色素の合成を増やし、シミの原因にもなります。
窓ガラスやカーテンを通り抜けて肌に作用するなど、物質透過性が高いのも、A波の特徴です。室内でも日の光が入るような場所だと、ブロックできません。薄い色の服では通り抜けますが、黒や紺といった暗い色の服や、何枚も着込んでいる場合は、その影響を防げると考えられています。
UV-B波の特徴
B波は肌の表面にある「表皮」に影響を与え、細胞を壊して赤みを生じさせたり、メラニン色素を沈着させて肌を褐色にしたりします。A波と違って表面に作用するため、真皮層にダメージを与えることはほとんどありません。夏に「日に焼けた」と感じるのは、このB波による影響でしょう。
紫外線による肌トラブル
冬に紫外線を浴びることで、知らず知らずのうちに肌の老化が進んでいる可能性も。どのような具体的な影響があるでしょうか。
シミの原因になる
紫外線にさらされた肌は、真皮層でメラニン色素の合成が増えたり、色素自体が沈着したりして、シミやソバカスができやすくなります。
シミやたるみの原因になる
UV-A波が真皮層に作用すると、体内の活性酸素が増え、コラーゲンやエラスチンなどを壊すので、ハリや弾力が失われます。皮膚が固くなるので、シワやたるみの原因に。結果的に肌の老化をもたらします。
乾燥を感じやすくさせる
UV-B波によって皮膚が炎症を起こしていると、表皮が傷つき、肌本来が持つバリア機能が低下します。肌に必要な水分や油分が蒸発するため、乾燥を感じやすくなります。9~10月でも5~6月と同じくらいの紫外線量があるので、この時期に対策をしないと、湿度がより下がる冬に乾燥を強く感じることになります。
冬の紫外線対策と肌ケア
冬は手袋やマフラーなどをする人も多いでしょう。夏に比べて肌が露出する部分が少ないので、自然と紫外線対策ができていることもあるかもしれません。外に出る時間が長い日は帽子などの紫外線対策グッズも使いたいもの。ここからは冬にするべき対策について。
①日焼け止めを塗る
冬であっても顔など肌が露出する部分については、日焼け止めを塗ることをおすすめします。
日焼け止めにはSPF値やPA値が記載されています。SPF値はUV-B波をどのくらいブロックできるかといった指標。一方で、UV-A波へのブロックの強さを表しているのはPA値です。
夏の炎天下ではSPF50やPA++++のものがおすすめですが、冬はSPF20~30、PA++程度で十分です。SPFもPAも値が高いと肌への刺激も強くなる傾向にあるので、季節に応じてなるべく優しいものを選びましょう。
肌が弱い人は、日焼け止めの中身にも注意してください。「紫外線吸収剤」が使われていると、肌荒れを起こしてしまうことも。
その場合は「紫外線散乱剤」が入っている日焼け止めを使うといいかもしれません。「吸収剤不使用」などと明記され、ドラッグストアなど売られています。
②抗酸化作用のある食品をとる
紫外線を受けると、体内の活性酸素が増えて、これが真皮層のコラーゲンやエラスチンなどを壊し、皮膚の老化を引き起こします。発生した活性酸素に対抗する「抗酸化作用」のある食事を取ることも、老化を防ぐことにつながります。ビタミンCが多いキウイやトマト、ビタミンEが多いナッツ類や大豆といった果物・野菜をとると効果的でしょう。
水分をとる
紫外線によるダメージを受けた肌は、湿度の低い冬、乾燥をより感じやすくなります。乾燥した肌に対しては外から保湿するだけでなく、積極的に水分を摂取することも大切です。目安は1日1~1.5ℓくらい。特に冬は夏に比べて、水を飲む量が減りがち。例えば午前中500㎖のペットボトル1本、午後も1本、夜1本…といった感じで、目安を決めて少しずつ飲むようにするのがよいと思います。
冬の紫外線対策できれいな肌になろう
ここまで冬の紫外線の特徴や、その対策などを解説してきました。正しい対策をして、きれいな肌を手に入れましょう。
●笠井美貴子さんのプロフィール
皮膚科医(シロノクリニック銀座院副院長)。サーマクール認定医、ウルセラ認定医。サーマクールやウルセラに、頬の下垂へのヒアルロン酸注入などをあわせて複合的に行う、たるみ治療が得意。
●取材協力:シロノクリニック