#ミレニアルズのモヤモヤ考察

占いは毎日の処方箋。人生100年時代の占いのススメ

働く女性たちを徹底研究している「博報堂キャリジョ研」のメンバーが、同世代のミレニアル女性たちのモヤモヤについて、熱い思いと豊富な分析資料を交えあれこれ考える連載。今回のテーマは占い。わたしたちはどうして占いをするのだろう?

●#ミレニアルズのモヤモヤ考察11

占い師に診てもらったことありますか?

つい先日、友達と横浜の中華街でご飯やショッピングを楽しんだあと、街中の占いが目に留まり、何気ない気持ちで行ってみた。いままで雑誌やテレビの占いを見て楽しむことはあったが、占い師に診てもらったことは一度もなかった。ドキドキしながら入って占ってもらうと、占い師に「あなたは頑張るために生まれてきたのよ!」と言われ、わたしは驚いてしまった。思い返せば今までの人生の中で、受験やサークル活動など頑張ってきたことがあったことを思い出し、認められたような気持ちになったのである。その時のわたしは、仕事も忙しく、目の前のことに追われて少し疲れを感じていたときだったが、この言葉がきっかけとなり、たまには自分自身について振り返ったり、労わったりすることも必要なのではないかと思えたのである。そして後日、ゆっくりと「自分は、本当は何がやりたいのか」「人生に求めているものは何か」といったことを考えることができた。
これまで、占いをあまり信じてはいなかった。しかし、実は占いは周りの人の意見からは気づかなかったような新たな視点を得られたり、自分の状況を俯瞰し、今後の人生について考えられたりするきっかけになる存在ではないか、と考えるようになった。

わたしたちの身近にあふれる占いコンテンツ

12星座、血液型、手相、タロット・・・世の中にはたくさんの種類の占いがある。最近では、あるウェブサイトの週間の12星座占いが当たると話題になり、SNS上でもトレンドになった。女性誌には必ずといっていいほど載っているし、友達と「あの週間占い見た?」といった会話が生まれるくらい、わたしたちにとって身近なものだ。とはいえ、信じすぎてしまうのもなんだか後ろめたい気持ちになったりもする。わたしたちは何を求めて占いをして、そこから何を得ているのだろうか。

どんなときに占いを利用する?

博報堂生活総研の「生活定点」調査によると、「信じるものは何ですか?」という質問に対し、「占い・おみくじを信じる」と回答した人は、男女合わせて28.7%。男女別にみると、2018年時点で女性37.5%、男性20.0%という結果だった。女性の方が占いを信じやすく、その中でも特に20代、30代など若い人の方が信じやすい傾向にあるようだ。
では、20~30代の女性は実際、どのような占いを利用しているのだろうか。

20~30代の女性200人にアンケートを実施した。利用したことがあるのは、「朝のテレビ番組の占い」がトップで81%、「雑誌の占い」が37%という結果に。「街中の占い」や「チャット・電話の占いサービス」は少数派だった。気軽に利用できる雑誌やウェブサイトが人気のようだ。

では、どんなときに占いを利用しているのだろう。アンケート結果によると、「日々の行動の参考にしたいとき」がトップで61%。次いで「自分の中で答えが出ないとき」「恋愛の参考にしたいとき」がそれぞれ24%という結果になった。
とある女性の先輩は、毎朝服装を自分で決めることを億劫に感じ、朝のテレビの占いのラッキーカラーに合わせて服を選んでいるそうだ。常にいろいろな悩みを抱える忙しい女性たちにとっては、考えることをやめるためにも占いは有効そうである。

わたしたちにとっての占いとは

また、週間占いでは、「やりたいことを書き出してみましょう」や「自分を褒めてあげましょう」など、1週間を乗り切るコツを教えてくれることがある。具体的な行動でなくても、ラッキーカラーや運気が上がるアイテムなど、手軽に取り入れられそうなアドバイスをしてくれることもある。
そういった、前向きなアドバイスをしてくれる占いが人気な理由は、辛いことやモヤモヤするような出来事があったときに、こういった占いの言葉に救われ、「何かいいことがあるかもしれない」と前向きな気持ちになれるからではないか。わたしたちは、日常の中で自分の頑張りを肯定してくれたり、導いてくれたりするような存在がほしいのかもしれない。

また、アンケートで回答が多かった「自分の中で答えが出ないとき」や「恋愛の参考にしたいとき」にも、占いは役立つことがあるのではないだろうか。例えば彼氏と別れようか迷っているとき。占いに「今の恋人との関係を見直すチャンスです」とか、「環境を変えてみるのが良いでしょう」などと書いてあったら、「彼氏と一度話し合おう」と行動に移す気になれるだろう。誰かに背中を押してほしいとき、行動のきっかけをつくってくれたりするのも、占いなのである。

人生100年時代と言われるようになり、長期的な視点で自分の人生と向き合うことが求められている。博報堂キャリジョ研では、長い目で人生を見たときにラクであるもの、身になるものを選び、ムリせず持続可能であることを選択する生き方・暮らし方、つまりは「サステナブルライフ」を志向する女性たちが増えてきていると考えている。

わたしたちは、そうした中で自分をうまくケアして人生を設計していくことが必要になってきている。そのためには、先輩や友達に相談してみるとか、カウンセリングを利用してみるとか、色々な手段がすでにあるが、その中に新たに「占い」という選択肢を持ってみるのはどうだろう。日々の処方箋のように占いを使うことで、もしかしたらこれまでよりも、ちょっと前向きに、ちょっとラクに、毎日を過ごすことができるかもしれないと思うのである。

グラフ出典
●博報堂 生活総研「生活定点」調査

●博報堂キャリジョ研 自主調査
2020年10月実施 インターネット調査(全国)、20-30代女性200名対象

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「働く女性」(キャリジョ)をテーマに、博報堂&博報堂DYメディアパートナーズの女性プランナーやプロデューサーで立ち上げた社内プロジェクト。女性のトレンドを集めたインサイト分析や有識者ヒアリング、定性・定量調査やクラスター調査などから「働く女性」を徹底的に分析し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしています。