女子アナの立ち位置。

おいしい食べ物やお酒と一緒にくつろげる。おひとりさま向け「行きつけ」指南【古谷有美】

ミレニアル世代ど真ん中のTBSアナウンサー古谷有美さんによる、テレビとは一味違う本音トーク。なんとなく一人でぷらっと飲みに行きたい。でも店に入る勇気がない。行きつけの店、古谷さんならどうやって見つける?

●女子アナの立ち位置。

<なぴさんからのご質問>
関西の田舎から上京してきて1年が経ちました。 私もビールが好きで友人同士、同僚、とはよく飲みに行くのですが、1人ぷらっと行きつけの飲み屋を見つけたりするのに、なかなか勇気が必要です。1人で冒険してみたいもののなかなか行動に移せず。 最初のころどのように行きつけを見つけるなど、行動されていましたか??

ジャンル別のお気に入りリスト。人に尋ねるのもいい

なぴさん、コメントありがとうございます!
私は大学進学のために、北海道から上京してきました。なので、上京したてはまだ学生。あんまりお金がなかったから、最初のうちは外でお酒を飲んだ覚えもなく……家から近いカフェくらいしか、よく行くお店はなかったように思います。

社会人になってはじめに住んだのは、小田急線の参宮橋駅です。当時から人気の代々木公園や代々木上原にほど近く、でも家賃の相場は抑えめで、こぢんまりとした個人経営のお店が多くて。ご近所から始まり、上原あたりのお店もどんどん開拓するようになりました。そのうちに少しずつ、自分なりのジャンル別お気に入りリストがつくられていったんです。お茶するならここ、中華を食べるならこのお店、和食だったらここ……というふうに。

いいお店を見つける一番簡単な方法は、人に尋ねること。ほら、お友達や会社の同僚に、誰か一人くらいは「食べるのが好きな人」っていませんか? そういう方に「〇〇あたりでおいしいお店、ご存じですか」と聞いてみれば、意外と候補が出てきたりするものです。私は、教えていただいたお店には後日かならず行って、感想をお伝えするようにしています。

「一人の冒険」は、ビギナー感を前面に出してしまおう

それから、なぴさんは「一人での冒険」がなかなか行動に移せないとのこと。確かに、ソロだとちょっと入りづらいお店ってありますもんね。私自身は、わりと一人でもふらりと入れるほうなのですが、お気持ちはよくわかります。

もし、ガラス張りで中の様子が見えるようなら。まずはお店の前をなんとなく通って、外から眺めてみてください。じつは、同じようなおひとりさまが、意外といらっしゃるかもしれません。そんなふうに、なるべく入りやすそうなお店から、少しずつ冒険の場数を踏んでいきましょう。行きたいけど行けないお店が増えてきたら、仲良くなりたい人や、沿線に住んでいる方を誘ってみるのもいいですね。

頑張って一人で入ってみたなら、隠さずに「はじめてです」「心細いです」感を出してしまえば、きっと周りが良くしてくださると思います。
私は店員さんにメニューの相談を必ずしちゃいます。
「このお店に来たら、これだけは食べておけ! っていうものありますか?」「次は日本酒にしようと思っていて、あとちょっとだけ食べたいんですけど……」なんて素直に言ってみれば、たいてい親切に教えてくださいます。

注文が終わったあとに手持ち無沙汰で気まずくならないよう、一人で快適に過ごせるアイテムを持っていくのもおすすめ。スマホでもいいけれど、本を読んだりタブレットで作業したりしていると、待っている時間も心細くなりません。

作業してるふり、でもいいんです(笑)。大事なのは、緊張せず、自分のスタンスを保てること。一人でいる時間を楽しめるようになることなんですから。

思いやりの矛先が「行きつけのお店」

実際にできるまではちょっと大変かもしれないけれど、行きつけのお店って、本当にいい存在です。先日まで、新型コロナウイルスによって、さまざまな飲食店が自粛を余儀なくされていました。でも、お気に入りのお店から「テイクアウトをはじめたよ」「デリバリーもやってます」と聞いたら、いつもおいしい食事を用意してくださる方々のために、なにか買いたいと思えたもの。

それは、飲食店だけに限りません。好きなお花屋さんやアパレルショップ、お菓子屋さんなんかもそう。いつも私のことを癒してくれる、あの空間を提供し続けてもらいたい。だからこそ、いま苦境に立たされているお店の力になりたい……って思えたんです。

自分の気持ちもふさぐような自粛中、誰かの役に立ちたいと思うけれど、なかなかそうもいきませんよね。そんな気持ちの矛先が、行きつけのお店だった。直接は行けないけれど、そんなお店があってよかったと感じました。

ちなみに。なぴさんと同じように、私もビールが好きです。でも、味や銘柄にこだわりはなくて「あのお店の唐揚げを食べながら」「しょっぱいしじみと一緒に」みたいに、食べたいアテで飲むお店を選びます。ときには「あそこで流れているジャズを聴きながら飲みたい」なんて日も。こんなふうに“ゴールデンコンビ”を探す、というのも面白いですよ。

なぴさんにも、素敵な行きつけが見つかりますように。おいしいビールとお食事が楽しめる場所を見つけたら、ぜひ教えてくださいね。

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。

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